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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ダーリンを食卓へ

「佐藤さん、時に愛とはどんなものだと思う?」

先輩はそう言った。

「愛のカタチは人それぞれだよ。」

「互いを想いあって、互いの時間を共に過ごすものもあれば、感情をぶつけ合って、身体で、感覚で共有するものもある。」

「一度踏み込んでしまったら戻れないよ。もう、知ってしまったから。」


「泉先輩、今日も傷だらけですよ」

「ああ、昨日色々あってね。」

「また奥さんですか?」

「そうだね」

「先輩、このままでいいんですか?このまま先輩だけがずっと傷付いて行く様なんて見てたら、私…」

「佐藤さんは相変わらず心配性だね

僕は大丈夫だよ、ほら、早く仕事に戻った戻った」

泉先輩は、いつもボロボロで出勤してくる。でも、新卒で先々月から入社した私以外、そんなことは誰も気に留めない。先輩が元々浮いているのも理由だけど、やっぱり、一番の理由は、皆先輩の「奥さん」を知っているからなんだろう。誰に聞いても、先輩の奥さんのことは話してくれない。なんでなんだろう。


「先輩、資料のチェックお願いします…って先輩!!どうしたんですかその首の跡!!」

「ちょっと、あまり大きな声出さないでくれ。」

「すみません、、でも心配ですよ」

「大丈夫だよ、今日の朝首を少し絞められただけだよ」

「首を絞められたって…先輩」

「まぁそんなことはどうでもいいさ、ほら、資料みせて。」

先輩の傷はどんどん増えていく。優しい先輩が傷付いていく姿は見るに堪えない。


ある日、先輩の家に訪れる機会があった。有給を取った先輩に、手渡しで資料を届けなければ行けなかったからだ。データで送ることも出来たが、部長に「泉の様子を見てこい」と言われ、渋々向かった。先輩か住んでいたのは、小さいが、やや新築のアパートだった。インターフォンを押し、最初に出てきたのは、すらっとした長身の、半袖に短パンの女性。泉さんの奥さんだろうか。

「どちら様でしょうか」

「えー、泉先輩に指導して貰っている、佐藤です

本日は資料をお届けに」

「あぁ、そう、佐藤さんね!わざわざありがとう

さぁ、上がって上がって」

「え?はぁ、、」

彼女に言われるがままに、先輩の家に上がった。中は至って普通だ。先輩は窓際のソファで寝ていた。

見た目は普通の家だ。ただ、芳香剤で隠しきれていない、血腥い匂いに少し違和感を覚えた。

「さぁ、お茶どうぞ。ごめんね、和真寝ちゃってて。」

「いえ、全然。わざわざありがとうございます。」

それから少しだけ、彼女と話した。たわいの無い会話だ。そうだ。わかった、この家は狂ってる。先輩への暴力は、あたり前なんだ。そう思った。ソファで寝ている先輩を見ると、首の跡が増えている。しかし、狂気は感じない。そこに違和感を感じた。

「佐知子さん、今日はありがとうございました。」

「いえいえ、また来てくださいね〜」

私は先輩の家を後にした。そして決めた。あの女は殺さなければいけない。私のかわいいかわいい、かわいそうな先輩を守るためにも。殺さなきゃ。殺さなきゃ。


それから、先輩の奥さんと仲を深めた。結構な月日をかけて。先輩の、縄のようなもので強く絞めたような傷は、首だけでなく、腕や足、腰にも移っていった。

「最近、僕の妻と仲良くしてくれてるらしいね」

「はい、よく、カフェなんかに行ったり、」

「嬉しいよ、友達が少なかったから、最近元気でさぁ」

元気なのに、先輩を傷つけてたんだ。もう我慢できない、これ以上、先輩を傷つけないためにも、あの女を一刻も早く殺さないといけない。あの女の前では平静を保ちつつ、好物を知り、趣味を知り、弱点を知った。

ナイフを買った。あの女を休日にカフェに呼び出して、さぁ、決行だ。夜の住宅街、暗い、車道の上。帰り際に、彼女の腹をめがけて、鋭い銀色のナイフを突き刺そうとした。

目を瞑った。

何かに刺さった。

予想よりワンテンポ早く何かに突き刺さった感触に違和感を覚え、目を開くと、突如目の前に現れたのは、泉先輩だった。私が手に握っていたナイフは、先輩の腹に突き刺さったっていた。

「和真!!」

よろけながらダッシュで向かってくる佐知子に、先輩は手のひらを向けて「少し待って」の合図を出したかと思えば、自分の腹に突き刺さったナイフを抜いて、言った。

「いっしょに、しのう、佐知子」

自分の妻を押し倒しナイフを突き立てる先輩と、それを受け止める女。その、映画のワンシーンのような光景に、私は見ていることしか出来なかった。

「佐知子、僕を食べて」

「佐知子、愛してる」

私の知らない先輩だ。

「いただきます、和真」

こんなの、人間じゃない。

女が男の腹を切り裂いて、濁った赤の飛沫を浴びながら、ぐちゃぐちゃの内蔵を口に入れ、飲み込もうとする。辺りは先輩とその妻の血と臓器で地獄絵図になった。

食卓に並べられた、先輩の臓器のソテーと血のスープを頬張るその女に、少し嫉妬した。直感で理解した。あぁ、これが愛なのか。

しばらくして動かなくなった二人。近くに落ちていたナイフで、ノールックで自分の腹を裂いて、手のひらいっぱいの私の血を、先輩の口に注ぎ込んだ。それを繰り返したり意識が薄れても、自分に血が残っている限り。これが私なりの、いや、私たちなりの愛なんだって、言い聞かせた。あぁ、何してるんだろう、私。


「速報です。昨夜未明、身元不明の男女3名の遺体が、世田谷区の住宅街で発見されました。

遺体は刃物で切りつけられたように激しく損傷しており…

深夜テンションで書きました

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