1.黄昏
あなたは神を信じますか?
一昔前までは宗教勧誘でよく使われたセリフらしい。
では何故、今このセリフは使われないのか?
それは、実際に神が世界に降りてきたからだ。
神とは如何様な存在か。その問いには十人十色の答えが返ってきたと云う。
ある人は「絶対的な存在」と
また、ある人は「八百万の存在」と
そして、ある人は「そんなもの存在しない」と
しかし、それは昔の話だ。現代の人々はほとんどがこう言うだろう
「強大な力を人々に与える存在」だと
今からちょうど50年前、地球に神様が降りてきた。降りてきたと言ってもそんな壮大なものじゃない。だって
神様達は喧嘩しながら降りてきたのだから。
神暦0年、ギリシャ、神様達はまわりの物を破壊しながら地上で喧嘩をした。後から聞いた話だと、喧嘩がうるさいから天界を一時的に追い出されたらしい。ちなみに、天界ってのは神様達が普段いる場所のこと。神様達の喧嘩はスケールが違くて、地球は滅亡の危機に瀕した。これが、神暦に入ってから、つまり神様が降りてきてから最初の地球の危機だ。この時、勇気ある若者が神様達の前にどうにかたどり着き、「喧嘩をやめて下さい」とお願いした。そうしたら、神様達は「じゃあ代理をたてて戦おう」という事になり、神様の代理となる人に力の一部を貸し与えた。これが歴史的に記録された最初の神降ろしとされる。
結局、その喧嘩は無事収まって、他の神様達は人類を哀れに思ったのか喧嘩の被害をなかったことにしてくれた。建物や土地の被害だけじゃなく、負傷者や死者まで。
しかし、それで終わりとはならなかった。二柱の神様達が争ったのを見て神様達の間で流行ったのだ。そう、神降ろしが。
神様達は自分の気に入った人間に自分の力を貸し与え、その人間を観察することが増えた。つまり、人類に神様の力を貸し与えられた人間が増えた。
ところで、神様にも個性がある。喧嘩してる神様もいればいわゆる変人(神)な神様もいる、神様もかなり人間らしいところがあるらしい。いや、神様らしく神様が人間を作ったのかもしれない。
神様にも個性があるということは、善性も悪性も持っているということだ、悪性を持った神様達が悪人に力を与え、悪人達は世界を自分達のものにしようと全世界で神様の力を使ったテロを起こした。これが2回目の地球の危機だ。
その後他の神を降ろし人達がどうにか悪人達を止め、神様関連の法整備を各国の政府がしたことで、どうにかテロは収まったが、神様達は前回みたいに復興してはくれなかった。人間が起こした問題だから、人間がどうにかするべきだってことらしい。大方の人はそれで納得したが、納得のいかなった集団もいた。主にテロの被害者家族で構成されたその集団は反神派と呼ばれ、今でも反神運動をして勢力を拡大している。
テロや反神派の裏に隠れ、密かに行動していた集団もいた。神様は現代確認できているだけで、ギリシャ神話や日本神話、あげくクトゥルフ神話などの数多の神様が確認されている。他にも下級神などの名前のない神達(靴下の神や勉強机の下から2番目の引き出しの神など)まで確認されている。
それを受け入れられない集団は、一神教の信者達で、今確認されている神達を偽物の神を騙る何かだとし、10年前、その偽物の神の力を使ってテロ行為を起こした。悪人達のテロ行為とは違い、綿密に計画されたテロ行為は、神降ろし人による軍隊の編成など、抑止力が数多くあるなかで甚大な被害を及ぼしたとされる。これが3回目の地球の危機とされる。
「ふぅ…」
僕は息を吐き学園から届いた現代史Aの教科書を閉じた。
明日は学園の入学式だから早めに予習は終わろう。
そうして、僕は夜の街に繰り出した。
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