さつこいNEXT! 特別編 女の子、神様と再会しました
うほーいっ! 瑠璃ちゃんと知り合った2日後の日曜日、今日も瑠璃ちゃん、麗ちゃん、見知さんの三人が家に遊びに来るぜ!
ということで、俺は昨晩からキッチンに籠って徹夜でラーメンのスープを仕込んでいる。今まで料理なんかほとんどしてないからといって不安になる俺じゃない! 実際かなりイイ薫りのスープが出来たぜ! あとは三人が到着したら麺を茹でて完成だ!
ピンポーン、ピンポーン。
おっと、約束の10分前、11時50分、三人の到着だ! 俺は元々弱いコンロの火を極限まで弱めて出迎えた。
「おうおう待ってたぜ美女ふたりとちびっ子よ!」
うほっ! 瑠璃ちゃんと麗ちゃんはお揃いの白ワンピ! まるで姉妹だぜ! 脇からチラッと覗く雪肌とブラにちょいと心臓を刺激される。
見知さんはつばのある黒い帽子と『じゃがいもっこりTシャツ』にベージュの短パン。おいおい、競馬観戦しに行くオヤジか? ってか俺のTシャツが見当たらないと思ったらそういうことだったのか。いつの間にパクリやがったんだ?
「ちびっ子と言って何故るりりんではなくわたしを見たのだい?」
「まぁまぁ見知さん、細かいことは気にすんな! さぁさぁ入った入った」
「「おじゃまします」」
「おじゃまするよ」
おーっと見知さん、ちょっと不機嫌そうだぜ……。
とりあえず客間に三人を通した俺は、天然水とゆでたまごを出して麺を茹で始めた。ゆでたまごには味覚を整える作用があるらしいから、俺の自信作の前菜にと用意しといたんだ。
「待たせたな! 自信作の完成だ!」
10分後、俺は堂々完成した湯気立ち上るアツアツの自信作を三人のもとへ届けた。
ジト~。
なのになぜだ!? なぜ麗ちゃんと見知さんは俺をジト目で見るんだ!? 今回はワンタンコーラとかメーロン茶みたいな組み合わせはしてないぞ!?
「あの、これは、なんですか?」
瑠璃ちゃんが恐る恐るの表情で俺に訊いた。
「これはな、瑠璃ちゃんのために俺が考案した『瑠璃しおラーメン』だ! スープが瑠璃色で綺麗だろ!」
「はい……」
あれれれれー? なんかウケが悪いぞー?
「まぁまぁアレだ、見た目は変わってるけど食えば美味いからダイジョブだぁ! いただっきまーす!」
手合わせをしながら『いただきます』を言った俺は、先陣を切ってラーメンを啜った。
「うまーい! 俺って天才! さぁみんなも遠慮なく召し上がってくれ!」
「うむ、とりま一口、いただくとしようか」
「うん。いただきます」
「いただきます」
三人はラーメンを慎重に口へ運ぶ。本当は先にスープを味わってほしいのだが細かいことは気にしないようにしよう。いくらスープが綺麗だからってケチケチすんなよ。
「おいしい」
口に入れた瞬間、瑠璃ちゃんの表情はパッと華やいだ。
「おっ! そうだろそうだろ!?」
「はい!」
いやぁ、瑠璃ちゃんは素直で可愛いなぁ! ほらほら汚れた色眼鏡二人はどうだ!?
「うむ、ソーダ味のラーメンかと思って構えていたけれど、味は透き通るようなサッパリした塩味で逆に不気味だよ」
「うん、美味しいよ。ふふっ、神威くんのこと見直しちゃった♪」
うおおおおおおっ!! 汚れてるのはちびっ子だけだったぜ!! ゴメンよ麗ちゃーん!!
「そうかそうか!! 良かった良かった!! 徹夜した甲斐があったぜ!!はじめてのラーメン、だいっ、せいっ、こーう!!」
あ? 俺が『せいこう』って言うと別の意味に聞こえる? よくわかってるじゃねぇか! だが今日はラーメンづくりの成功だ。
ラーメンの神、音威子府神威の誕生っだあああ!!