同情するならロリをくれ
このクエストを引き受けての最初の行動は、情報を集めることだ。
情報が少ないと何もできない。
私は倒れた人を目撃した村人に話を聞きに行った。
「どこで倒れてたんです?」
「村から少し歩いたところじゃったかな。ケガもなく、死んではいなかったから、ワシの家で休ましとったんじゃよ」
「その人に変わったことは?」
「変わった事といえば、休ましとる間、変な寝言を言っておったな」
「寝言?」
「うぬ、歌はもう聞きたくない。助けてくれと涙を流しておったんじゃ」
「それからどうしたんです?」
「それから、そやつは起きたんだが、ぼーっとしとったんだが、記憶がないと言っとった」
「倒れてたんだから当たり前じゃないですか」
私の言葉に反応するかのように村人は興奮気味に。
「いや、そやつは何故この土地にきたのか分からないと言ったんじゃ。やつは自分の家から出るまでの記憶しかなかったんじゃ」
それから私は他にも何人かに話を聞いたが、みんなそろって同じことを言った。
この事件は確かに変な話だ。
しかし、そんな不思議な事には裏がある。
つまり、誰かがやってるんだ。
こうなったら、みなさんも分かりますよね?
そう、村の近くでウロウロ&張り込みしかない。
右手にアンパンと左手に牛乳を持ち、事件が私を呼んでる方へ向かった。
■
ウロウロ&張り込みしてから2,3日経った。
魔王様に喜んでいただける為とはいえ、世間は冷たい。
お決まりの「お母さん、あの人いつもウロウロしてるよ?」「見てはいけません」と親子に言われたり、不良少年達の変な奴をからかうという心理行動で小石を投げられたりとしていたが、収穫がなかった。
このままだとアイテムを手に入れないで、復活なされるな。
このクエスト諦めて次の所で手に入れようかな。
脳裏にふとモンスターっぽい考えが浮かんでしまった。
だって時間がないんだし、無理しなくても旅はまだ始まったばっかなんだから。
ねえ、良いよね?
ねえ? ねえ?
「ねえ、ねえってば!?」
私の心の中のメンヘラとリンクするかのように声が重なった。
声の主は一人の少女だった。
歳は10歳くらいかな。
白いワンピース姿の金色の髪、あどけなさを感じる大きな瞳、小さい顔。
妖精かなと思わせる危険な香り。
そう、美少女。
「私に用かな?」
「いつもウロウロ何してるの?」
「お兄さんはね、村の人達に頼まれて見張りをしてるんだよ」
「ふーん、つまんないね」
「そうなんだ、えーと……」
「ラリス」
「ラリス、お友達とは遊ばないの?」
「うん、私、体が弱いからあんまり遊べないの」
「そうなんだ、お父さんやお母さんは?」
「お父さんもお母さんもいない。お兄ちゃんはいるけど、お仕事で忙しいんだ」
「そっか、それは大変だな」
「うん、だからお兄ちゃん遊んであげる」
「なんでそうなる?」
「だってお兄ちゃんつまらないんでしょ? ラリスも暇だから、これで遊べるね?」
いたいけな少女の瞳、プライスレス。
私はラリスと遊ぶことにした。
別にロリやコンというわけではない。
私はダンジョンで一人だった。
他のモンスター達は派遣で来てくれただけで、期間が終了したらまた離れていく。
だから、一人で楽しくする方法をいつも考えてたけど、思いつかない。
それは、私が誰かを求めてるからだ。
それは敵でも味方でも友達でも誰でもだ。
私はラリスとしりとりをしたり、第一回自分しか似てるか知らないモノマネ大会を開催した。
「このバカベンや~い、オレは腐った死体じゃない」
「あはは、分からないよ」
「そうだろ、分からないだろ」
この分からなさを堪能できるなんて、伸び代あるな。
「もうそろそろラリス帰るね」
気が付くと日の光が赤く染まり、夕方になっていた。
「もうこんな時間だったんだな。暗くなる前に帰りな」
「…ねえ、お兄ちゃん。また遊んでくれる?」
「見張りでいつも時間があるわけじゃないしな」
「そっか…」
下を向き、地面を軽く蹴るエリス。
「…来た時に時間が空いてたらいいよ」
「本当!?」
「だから帰りなさい」
「うん、バイバーイ」
バハハーイっと手を振る私。
人間になってからの最初の知り合いか…。
センチな気分を受け取る空から流れ星のプレゼントがあった。
どうかアイテムがすぐ手に入りますように。