#4 ふわふわタオルさんは犠牲になったのだ…
子供じみた所がたまに出る子供の可愛い事よ
「唯姫、んな身構えなくても洗うだけだぞ」
唯姫は風呂に入ってからじっと身動き一つしない
楽ではあるが、正直やはり子供らしくないなと思う
「………頭下げな、洗うから」
唯姫だなぁ…と煌汰は頭をかく
大人しく頭を下げる子供の頭を何度か洗い流すと、髪はくすみも消えて少し艶が戻ってきた
元々毛は薄い水色らしく、毛先が少し色が濃くなっているような珍しい髪色は今は随分と綺麗になった
湯船に暫く浸からせていても唯姫はまるで借りてきたペットのように大人しかった
「唯姫、ここにいる奴らはそりゃあ俺みたいな奴しかいねえけどさ?それでもこういうのはまともだから」
一緒に湯舟に浸かる煌汰に唯姫は首を傾げる
恐らくこれまでの短い共同生活の中でも煌汰は人との接触が好きではないのは察しがついていたのだろう
唯姫が煌汰の傍から離れてただでさえ二人入って狭い湯舟の端に縮こまって退避して行くのを「ああ…最初の印象が大事ってまさにこの事だよな…」と煌汰は自身の過去の行いを珍しく悔いた所で、唯姫の顔が赤くなっていることに気が付いたので煌汰は唯姫を抱き上げる
今更だが温泉でもないのだからタオルでも巻いてやればよかったか、なんて考えつつ、唯姫の肌をまじまじと見てしまう
今更女の裸体は見慣れているにしても、この小さい胸があんなに成長するのかぁ…と成長の事を考える
唯姫はよくわからず首を傾げているが、是非ともこんな穢れた存在には染まらないで頂きたい…
「ほれ唯姫、外に望居るから拭いてもらえ、おい瑠果!」
「いるよーん」
扉を開くと唯姫を瑠果はタオルで包む
「うんシャンプーの香りする……」
温まれて良かったね、というと、久しぶりに唯姫のふにゃふにゃとした笑顔を見た瑠果と煌汰はすっかり忘れていた…そうだ、戸籍ってどうなってるんだ…と…いうことに…
そんな事も忘れたまま、ふわふわしたタオルが気に入ったらしい唯姫が珍しく好きなおもちゃを取られそうな顔をしてタオルをなかなか放してくれなかったのを二人でどうにか手放させるようにお願いしまくったのは少し面白い光景だった…
ちなみに、他のふわふわタオルさんに犠牲(使用済みタオル回収のための)になっていただいた…
唯姫ちゃんの好きなものはふわふわタオルですがあまりにもずっと所持をしすぎて流石に衛生面上の都合で回収されます
煌汰はとりあえず穢れ切っている…