最初の町「ハスコル」
「おー!ついたねー!」
「結構ちゃんとした町だな」
俺たちは近くにあった町、「ハスコル」へとたどり着いた。そんなに大きい町ではないが人も多く賑わっている。
「冒険者の人たちかな?ようこそハスコルへ」
近くにいた老人が話しかけてきた。
「いや、冒険者ってわけじゃないすけどねー」
「おや、冒険者じゃないとするとなんじゃ?」
「いや私たちはここにてんぃ…!」
俺は転移してきたと言いそうになった瑞葉の口をふさいだ。俺たちが転移してきたとかなったら色々面倒な事になりそうだからな。
「…あーいや、観光ですかね?そんなことよりこの町はどんなところなんですか?」
「ここかい?ここは冒険者の町と言われていてのー。最大のギルドがここにはあるんじゃ」
冒険者の町か。よく見ると町ゆく人は皆装備やらなんやらを身に付けている人が多い。ギルドか…とりあえずそこに行くか。
「ありがとうございます。まずはそこに行ってみたいと思います」
「うん、良い観光を」
老人とはそこで別れ、俺たちはギルドへ向かう事にした。と言ってもギルドか。小説とか漫画で見たことあるな。やっぱり異世界来たらギルドってあるんだな。多分、冒険者登録しちゃいそうな展開だが、まあそれも悪くない。
「ついたぞーギルドー」
「なんすかそのやる気のない感じ」
「だって慎太がギルド行くーって言うからついてきたけど、俺もよくわからんもん」
「それは私もそうです。ギルドとかいうのも、聞いたことありません」
「ぼ、僕は聞いたことあるよ…本で」
「慎太が行くって言ったんだからいいでしょなんでも!」
おいおい静かにしろお前ら。公共の場だぞ。
「おいおい静かにしろお前ら。公共の場だぞ」
あ、同じこと言っちゃったよ。
「とりあえずギルドに行けば何か分かるかも知れないだろ」
俺はギルドの扉を開けた。そこには、なんと言うか、その、想像通りの普通のギルドだった。まぁそうだよね。
「冒険者登録をしに来た方々ですか?」
「あ、いやここに来たばっかであんまり分からないんですが」
「それなら私が説明致します。」
おー段取りがいいな。マニュアル接待ー。
「ここは「ハスコル」通称、冒険者の町です。ここにはこの世界の様々な冒険者さんや、冒険者登録をしに来た人たちでいっぱいな町です。商業も盛んで、世界の様々な珍しい物も売っているんです。そしてここはこの世界最大のギルド。冒険者の方々にはあちらのクエスト以来受付へ、冒険者ではなく、冒険者登録をしに来た方々はあちらの冒険者登録受付へ。さぁ、あなた方も冒険者のメンバーとなってはどうでしょう!」
長々とありがとう。こいつらも理解したみたいだ。
「説明感謝します」
「ねぇー、そういえば今日どこに停まるの?」
「まだ飯も食ってないよー」
そうだな。お金がないから停まるところも飯を食べるところもない。そもそもお金という概念はあるのか?
「お金に困っている様でしたらクエストを受けてみてはどうでしょうか」
「クエスト?」
なんでも、クエストを受けてクリアすると、お金が報酬として貰えるらしい。よかったーお金の概念あった。
「ならクエストを受けようよー」
「俺も賛成だ。腹が減ってやばいからー」
他の皆も賛成のようだ。千も喋らないながらも、コクコク頷いてくれた。
「じゃあ、クエストを受けたいんだか……」
「っとその前に冒険者登録ですよ!!」
「お、おう」
どんだけ冒険者登録させたいんだ。後から聞いた話によると、このギルドでは冒険者登録をさせた人数により給料がアップするらしい。こいつ腹黒だな。
その後、俺たちは冒険者登録の為、別室へつれていかれた。
「ここで冒険者の登録をします。登録には氏名、性別、職業、そして最後に「能力のテーマ」を査定して登録完了です!」
能力のテーマってのも俺らだけじゃないんだな。
「少し説明します。まずは職業についてです。職業にはたくさんの種類がありますが、あなた方はまだ何も分からないと思うので、「冒険者」として登録しておきます。」
勝手に決められた。剣士とかがよかったな。
「次に「能力のテーマ」についてです。これは一人一人が持つ自身の魔法適正みたいなものですね。そして能力のテーマには種類があり、火、水、風、光、闇、白といった六種類があります。例外として派生系の土、鋼、禁忌の三種類もあります。ですが大体が最初の六種類ですかね」
魔法ってのあるんだな、この世界。なんだかわくわくしてきたな。ん?でも待てよ。能力のテーマが六種類からできている事は分かった。だが俺らの様なテーマは?六種類にも派生系の三種類にもないぞ。
「能力のテーマなら分かるよ。ウインドウに書いてあるし」
「あー、なら話は早いです。では早速能力のテーマを見せて下さい!」
俺らは能力のテーマを受付の人に見せた。武器、自然、体、ことわざ、妖怪、物語、そして宇宙。
「こ、これはなんですか!?どれもこれも例外中の例外ですよ!?」
やっぱり言われると思った。
「「「えーー!!そうなんですか!!??」」」
おいお前らわかんなかったんかい。
「あーそういえば!!」
何かを思い出したように話しだす。
「先日、あなた方の様に六種類以外の「動物」と書かれた男性も来ましてね……その方と関係があるのかしら?」
あー多分五木だな。あいつの能力のテーマは動物なんだな。
「ちょっとギルド長を呼んできます!!」
おーっとこの流れは大体分かるぞ。このあと予想がつくな。
その後、ギルド長が慌てて俺たちの前に来た。