未知の空間
気がつくとそこは暗い空間だった。何もない、先も見えない、上はどこまで続くか分からない、そんな空間。しかし暗いといっても真っ暗ではない。ある程度見える。よく目を凝らしていると、そこには多くの人がいた。年齢は俺と同じくらいで男女様々だ。何か共通点があるか探したが見つからない。
「どこだ…ここは」
ここでふと思った。そういえば一緒にいた瑞葉はどこへいったんだ。周りを見渡す。すると、俺のいるやや先に倒れている瑞葉を発見した。俺はすぐに近くにより、呼び掛ける。
「おい!瑞葉!大丈夫か!」
「…んー…あぁー慎太か…あれ?ここどこ?」
よかった、瑞葉は無事だった。俺はこの状況をわからない事だらけだが説明した。
「つまり、私たちはこの空間?に拉致されたってこと?」
「簡単にいうとそうかもな」
しかしそうなると疑問がいくつもでてくる。まずは、この空間は何処なのか。さらになぜここに拉致されたのか。そしてこれだけの人数をどうやって拉致したのか。ざっと見るに百人ぐらいはいる。
「くそっっ!何処なんだよここは!!」
近くで金髪の男が言った。
「うぅー……こ、こわいですー……!」
その近くでも小柄な少女がそう呟やく。
「本当に何処なんだここは…」
この空間には何もないから情報が少なすぎる。もしかしてこれが瑞葉の言ってた人が消える事件なのか。考えていると突然声が聞こえた。
「やぁどうも。少年少女達よ。突然でびっくりしているかもしれないが俺の話を聞いてくれ」
その声は低くて脳に直接喋りかけているような感覚になる。
「おい!俺たちをどうするつもりだっ!!」
金髪の男がそう叫ぶ。
「まぁ落ち着きたまえ。これから説明する」
そう言うと謎の声は話を続けた。
「落ち着けないのは承知のうえだ。だが聞いてくれ。色々話すことはあるのだが…気になっているだろうから結論だけ話す。ここに連れてこられた理由をね。」
すると声の低さがさらに増した。
「君たちは僕の作った世界で生き抜いてもらおうと思ってね」
空間は静けさがつらぬいた。