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テイマーさんのVRMMO育成日誌  作者: ジャジャ丸
第五章 食糧難と農地改革
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第86話 食いしん坊達と満漢全席?

今回は短いです。

 MWOにログインした私は、早速召喚モンスターのみんなを呼び出して、お昼ご飯を振る舞う。

 今日のメニューは、ロッククラブの肉を使った鍋と、《気泡草》のついでに集まったワカメなんかを使った海藻サラダ、更に、トロピカルエイプのステーキとミニクラーケンの串焼き、飲み物にはトロピカルジュース、ハニーポーション、ミルキーポーション、デザートに南国バナナ、熱帯キウイ、海塩パイナップルなんかを使ったパフェを用意して……ついでに、ライム達のおやつとして、《蒼水結晶》を使ってウルと作った合金、《蒼氷合金》を添えてあげる。

 他にも色々と、様々な料理を用意した結果として目の前に並ぶのは、満漢全席もびっくりな大量の料理。

 一部、料理でも何でもないのが混じってたりもするけど、そこはそれ、人間が食べるフルコースじゃないから細かいことは気にしない。


「さあみんな、召し上がれ♪」


 私がそう言うと、ライムやフララ、ビートに、ムギ達ミニスライムも一斉にご飯に群がって、もぐもぐと美味しそうに食べてくれる。

 そんな様子を、私は少し離れたテーブルに付いて、イベント報酬で貰った卵を抱いて温めながら、にこにこと見守っていた。


 この一食だけで、下手したら万単位のお金が飛んでるとか、そんなことは気にしない。気にしないったら気にしない。


「もしかしたらこの子も大飯喰らいかもしれないしね……養っていくためにも、テイマーの私がしっかりしなくっちゃ!」


 ふんすっ、と気合を入れながら、しかし卵を撫でる手は優しく、冷えないように包み込む。

 むにゅん、と卵に押されて形を変える自分の胸が視界に入って、これがリアルにあれば……なんて一瞬頭を過ぎるけど、そんな不毛な妄想はさっさと頭を振って追い出して、代わりに今するべきことのために行動を起こす。


「クルトさん、居るかなぁ?」


 今はお昼。学生の多くは始業式で午後は休みだからいいけど、社会人は普通にお仕事をしてるだろう時間帯だ。

 クルトさんが学生か社会人かは分からないけど、少なくとも年上なのは間違いないし、居たらいいな、程度の考えでフレンドリストを確認すると、クルトさんの名前は白で表示され、ログイン中であることを示してる。

 どうやら、もうログインしてるみたい。


「クルトさんも学生なのかな。あの見た目だと、大学生かなぁ。……流石に、ニートではないと思いたいけど」


 この場にクルトさんがいれば、物凄く失礼なことを呟きながら、私はクルトさんに送るメッセージをしたためる。

 いくらフレンドだからって、登録してから1度も会わなかったんだし、ちゃんと事前に連絡はしておかないとね。

 内容は……



 ミオです。

 私のこと、覚えていますか? 以前、クルトさんがコスタリカ村に初めていらした時に、フレンド登録をしたテイマーです。

 いきなりで申し訳ないんですが、大事な相談があるんです。

 大丈夫そうなら、これからクルトさんのホームに向かおうかと思っているんですが、どうでしょうか?

 無理そうなら、会えそうな時間を教えて貰えると嬉しいです。

 お返事、待ってます。



「と、こんな感じかな?」


 一応、苦手ではあるけど敬語を使って、何度か間違いがないか見直してみる。

 うん、正直敬語がこれでいいのか悩ましいけど、少なくとも誤字はない、はず。


「それじゃあ、送信~っと」


 ポチっと、空中に浮かんだ送信ボタンをタップして、メッセージが送られる。

 後は、適当にのんびりして返事を待つだけかな。


「後はうーん……そうだ、植える予定の植物でも纏めておこうかな」


 《調合》スキルなんかでも、作業手順の違いとかで出来上がるアイテムの効果が違ったりするし、もしかしたら、植える植物ごとに対応が違うかもしれない。

 ああでも、それなら今後植えるかもしれないアイテムは全部教えて貰った方が良いよね。それもメモしなきゃ。

 後は、実際に植えてから今までで、どういう状態になってるか確認して……


「うん、変化ない気がする、これ」


 窓を開けて庭を覗けば、そこにあるのは植えた時から成長してるんだかしてないんだかさっぱり分からない、植物の苗達。

 うーん、動物のことなら結構調べて知ってるんだけど、流石に植物は門外漢なんだよね。これが普通なのか、それともおかしいのかすらさっぱり分かんない。

 まあ、ゲームでリアルの植物知識なんて、そんなに役に立たないだろうけどさ。特に成長速度に関しては。


「この辺りは、直接見て貰った方が早いかな」


 今の状態をメモして伝えるのは早々に諦めた私は、部屋に戻ってもう一度卵を温め……ようと思ったけど、既にご飯を食べ終わったミニスライム達が群がって、みんなで優しく包みながらお世話してた。

 ……うん、満漢全席そのものじゃないにしろ、あれって数日掛かりで食べたりするコース料理だったりするんだよ? まだ1時間も経ってないんだけどな? もうないのおかしくない?

 そんな私の心の嘆きは露知らず、ぷるぷると体を揺らし、飛んだり跳ねたりお世話したりと、楽しそうに遊ぶミニスライム達。

 はしゃぎ過ぎた子をライムが触手で捕まえたり、フララが1人ずつ背中に乗せてあげたり、ビートが温かい目で見守ってたりと、なんとも平和だ。

 うん、やっぱりこの光景を毎日見るためなら、満漢全席毎食作るくらいわけないよね! それくらい出来なきゃテイマーの名折れ!


「あ、返事来た」


 そんな風に気合を入れたところで、タイミング良くクルトさんから返信が来た。

 内容を見てみれば、どうやらいつでも歓迎するとのことだったから、今から行くとメッセージを再度飛ばし、ライム達に向き直る。


「みんな、私ちょっと出かけて来るから、ここで遊んで待ってて」


 私がそう言うと、ライムやフララが付いて来たそうに、ぐるんっ! と私の方に目を向けてきた。

 けど、流石にこの人数で押しかけたら迷惑だろうし、かといってミニスライム達は普段、召喚石の中で遊ぶ機会なんて早々ないんだから、フィールドに出向かない時くらい思いっきり遊ばせてあげたい。


「ライムとフララは、ムギ達の遊び相手になってあげてて。良い子にしててくれたら、ちゃんとお土産買ってくるから、ね?」


 そう言うと、ライム達は嬉しそうに顔を緩め、「任せろ!」と言わんばかりにその小さな胸(?)を張った。

 そんな可愛らしい仕草に、私もまただらしなく頬を緩めつつ、クルトさんのところへ向かうため、ホームを後にした。

満漢全席って、実際にどれくらいのものなんでしょうね……見てみたいような怖いような(;^ω^)

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