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テイマーさんのVRMMO育成日誌  作者: ジャジャ丸
第四章 初イベントと深海の怪物
70/191

第70話 偶然の産物とラッキースケベ?

台風の影響で停電になってしまった時は焦りましたが、何とか丸一日で復旧したので今日も無事投稿できました(;^ω^)

 お兄から造船クエストのお誘いがあってから3日。

 フウちゃんやユリアちゃんに協力して貰いつつ、お兄から言われたアイテムをほぼ規定量集め終えた私は、本日ユリアちゃんもまだ来てないしってことで、後回しになっていた《気泡草》の検証を自分のホーム……もとい、その庭に当たる畑の一角で行っていた。

 何日も放置していたせいか、雑草が伸び放題の畑だったここは、気付けば完全にどこかの草原みたいな有様になっていて、もはや私の定番調合ポイントとなってる。


「ん~……」


 磨り潰した《薬草》と一緒に、《気泡草》をビーカーの中に入れ、水に溶かす。

 アルコールランプで熱しながら、ゆっくりゆっくりと混ぜ棒で混ぜ続け、やがて1つのアイテムに……


「……ダメかー」


 ……ならなかった。

 《何かの混合液》っていう、毒にも薬にもならない謎アイテムと化して、《調合》失敗に終わる。


「先輩、苦戦してますね~」


 そんな私を眺めながら、作り置きしていた野菜スティックを齧りつつ声をかけてくるフウちゃん。

 最近は私と一緒にアイテム集めに奔走していた反動か、前にも増してだらだら過ごすようになって、もはや私の庭にはシートが常備されてる状態になってる。


「そうなんだよ、《ハニーポーション》とか《ミルキーポーション》は、基本のレシピが分かってたし、完成形も大体見えてたからいいんだけど、何にも分からない状態から手探りはちょっとねー」


 あの辺りは、最初から回復系のポーションを作ろうとしてたから、元になる《初心者用HPポーション》と《初心者用MPポーション》からそう大きく外れないと思ってたし、実際その通りに出来た。

 でも、水中で活動するアイテムとなると、それがポーション系なのか、それとも丸薬とかそういう感じなのか、それすら分からない。

 どのアイテムと、いくつ混ぜればいいのか、何の指針もないし、あの時と違って最低限の使い道すらないアイテムばかり出来上がるんじゃ、ひたすら徒労感ばっかり積み上がっていくしで、中々思うように進まなかった。

 流石のライムも、《何かの混合液》はあまり食べたくないのか、私の周りに散乱してるそれらに見向きもせずに、畑に生えた雑草を食べて遊んでるし。

 ていうかこれ、ゴミアイテムなのは分かるけど、雑草以下なんだ……


「はぁ……」


 さほど期待もせずに、次のアイテムを《調合》してみる。

 入れるのは残り少なくなってきた《気泡草》と、同じく未だにまともな使い道が見つかってない《火薬草》。


「……ん?」


 今度もダメだろうな。そんな感じに諦めていた私だったけど、混ぜ始めるとビーカーの中で、今までとは少し違う反応を起こし始めた。


「お、おお? これは行けた!?」


「おお~?」


 私のリアクションに興味が引かれたのか、フウちゃんも一緒になってビーカーを覗き込む。

 ブクブクと泡立ち、激しく反応するビーカーの中の液体は、それまで反応らしい反応も見せずにただ黒く変色していただけに私の期待を煽り、中身を混ぜる手にも力が籠る。


「……先輩、ちょっと反応激しすぎませんか~?」


「そんなことないって、大丈夫大丈夫!」


 沸き立つ泡が固まりになって膨らんで行き、ビーカーから零れそうなほど大きくなる。

 ……大丈夫とは言ったけど、そろそろまずいかな?

 そう思って混ぜるのを止め、熱しているアルコールランプモドキを消そうとした――瞬間。

 突然ビーカーが爆ぜて割れ、中から大量の泡が噴き出した。


「ひゃああああ!?」


「あ~れ~……ぶくぶく……」


 調合していた私と、ついでに一緒に覗き込んでいたフウちゃんを巻き込み、どんどん膨らむ泡。

 少し離れた位置に居たライムとフララは慌てて離れて難を逃れたし、ムーちゃんやビートに至ってはそれよりも更に離れた位置にいたから平気だったみたいだけど、泡の肥大化がようやく止まった頃には、畑の一角が完全に泡に呑まれていた。


「はあ、はあ、危なかった……」


「う~、死ぬかと思いました~……」


 ホームにいるのに溺死するなんていう、間抜けな死に戻り方を危ういところで回避した私達は、なんとか泡から這い出して、肩を上下させる。


「全くも~、だから危ないって言ったじゃないですか~」


「ご、ごめん」


 あんな風に一気に膨れ上がるなんて予想出来なかったとは言え、その前から激しい反応を示してたのは確かだし、もう少し慎重になるべきだった。

 慌てて謝る私を、フウちゃんが「まあ、いいですけど~」と軽い調子で許してくれたことでほっとしつつ……その顔を見て、私はふと気になった。


「あれ? フウちゃん、さっきよりも肌がツヤツヤしてない?」


「ふぇ?」


 試しにフウちゃんの頬を撫でてみると、やっぱりなんだかツルツルになってる。

 それに釣られてか、フウちゃんもまた私の頬を撫で始め、「お~」と何やら感心した様子で声を上げた。


「確かに、先輩もツルツルになってます~」


「うーん、これがあのアイテムの効果?」


 少しして、泡が消えた後に残ったビーカーから、残り半分になった新しいアイテムを取り出すと、《洗浄ポーション》なんて名前の物が出来上がっていた。

 効果は特に何も記載されておらず、説明欄には「服も体も丸洗い! みんな仲良くピッカピカ!」なんて、どこのCMの謳い文句だってツッコミたくなるようなことが書いてある。

 要するに、洗剤兼ボディソープってこと? 変なアイテムが出来たなぁ……


「けど、これがあればライム達の体を洗ってあげられるのかな」


 それならそれで、十分有用なアイテムって言えるかもしれない。

 フララを洗っていいのかは微妙なところだけど。


「へ~、それじゃあ先輩、早速私を洗ってくださいよ~」


 と思ったら、なぜかライム達よりも先にフウちゃんが洗われ役を立候補してきた。

 予想外の展開に、私は首を傾げる。


「えっ、なんで?」


 取り敢えず素直に疑問をぶつけてみると、フウちゃんは「何を言ってるんですか~?」って感じの顔で私の方を見る。

 おかしいな、これは普通に疑問を覚えると思うんだけど。


「新アイテムの検証をするなら、先輩自身が使用して、誰かが被験体になる必要があるはずです~、だったら、その役目は私を置いて他にいないでしょう~?」


「いや、ライム達もいるよ?」


「ライムちゃん達はモンスターですから、プレイヤーに使った時とは違うじゃないですか~、だから、私も洗ってみるべきだと思います~」


「うーん、まあ、そう言われればそうかも?」


 謎の積極性だけど、一応言ってることは筋が通ってるから否定しづらい。

 けど、それならそれでもう一つ問題がある。


「けど、洗うなら服脱がなきゃいけないんだけど、場所が……ホームの中だとちょっと狭いよ?」


 私のホームは実質物置で、そろそろ拡張しようかとは思ってるけど、まずはキッチンやリビングになる部屋を作るつもりだったから、シャワールーム代わりに使える部屋なんてない。そもそも、それだけ弄るお金がないとも言えるけど。

 一応、片付ければなんとかなるけど、流石に私のインベントリに入り切るようなアイテム量じゃないし……


「大丈夫ですよ~、こんなこともあろうかと、水着装備を買っておきましたから~。先輩の分もありますよ~?」


「フウちゃんの癖に無駄に準備が良い!?」


「私の癖にとはなんですか~」


 ぶーぶーと文句を言うフウちゃんだけど、普段の行いを見ていれば仕方ないと思う。

 まあ、流石に今回のことのために準備したんじゃなくて、例の「常夏の島でバカンスしたい」って言う目的のために買ったんだろうけど……それでもやっぱり、随分と準備が良いなぁ。フウちゃんなのに。

 けどまあ、《洗浄ポーション》の暴発のせいで普段着の装備が濡れちゃってるから、着替え……とは言いづらいけど、ちょうどいいのは確かだ。ライム達の体を洗うなら、濡れても大丈夫な服にした方が良いしね。

 こんな外で水着になるのはどうかって思いも無くはないけど……まあ、イベント中に、こんな村を訪れるプレイヤーも居ないだろうし。


「それじゃあ、やろっか? あ、でも、最初はライム達からね、フウちゃんは最後」


「は~い」


 フウちゃんからトレードで水着装備を受け取り、早速着替えてみる。ちなみに水着の料金は、3日間私の料理食べ放題券がいいって言われたから、取り敢えずそれで折り合いをつけた。うん、どれだけ食べるつもりなんだか……


 ともあれ、そんなやり取りを経てフウちゃんが装備したのは、白を基調としたワンピースタイプの水着だった。腰の辺りからふわりと広がるスカートみたいなフリルが可愛らしい。

 何て言うか、バカンスはしたいけど水着に凝るのも面倒だからって適当に選んだ感満載だけど、無難な色っていうのはそれだけ一定の支持があるからこそ無難なのであって、おっとりした雰囲気のフウちゃんには、派手な色合いの水着よりはよっぽど似合ってた。


 それで、私の水着はというと……


「先輩、どうしたんですか~?」


「いや、何て言うか、うん、凄いねこれ」


 フウちゃんに訝しげに問いかけられた私は、自分の姿を見下ろすのをやめて一旦は顔を上げたけど、やっぱりもう一度視線を下げてしまう。

 私の水着は、黒を基調としたビキニタイプの水着だった。

 特別布面積が小さいとか、そんな露骨な物じゃないとは言え、リアルと違って大きく改竄されてる私の胸がその布地を大きく押し上げて谷間を形成し、今にも零れ落ちそうになってるのは、大人っぽい色合いと相まって何だか凄くエロイ。具体的には、去年美鈴姉と海に行った時を思い出すくらい凄い。

 いやあ、あの時の美鈴姉のダイナマイトボディはやばかったよ……メンタル砕け散るかと思ったもん。主に私のそれとの格差が酷すぎて。


「それはもちろん、今の先輩に合わせて選びましたからね~、当然ですよ~」


「あはは、ありがとフウちゃん。さて、それじゃあ早速……」


 ぐっ! と親指を立ててくるフウちゃんに苦笑しながら、私は残った《洗浄ポーション》の中身を少しだけ掌の上に垂らし、軽く揉んでみる。


「おお~、これなら行けそう。ライム、おいで」


 すると、水も何もないのにみるみるうちに泡が立ち、すぐに両手いっぱいにまで膨れ上がった。

 それをそのまま、呼び寄せたライムの体の上に乗せ、わしゃわしゃと優しく洗ってみる。


「――!」


「ふふ、気持ちいい? ライム」


 ライムのぷるぷるの体を撫でる度、リアルのボディソープじゃ考えられないくらい泡が立って、その体が瞬く間に泡に包まれていく。

 窒息しないか若干心配になるけど、そもそもライムって息してるのかな? まあ、抱いてる感触からして、喜んでるみたいだし、大丈夫かな?


「うん、普通に行けそう」


「それじゃあ、私もやってみましょうかね~、ムーちゃん、おいで~」


 それを見て、フウちゃんも大丈夫そうだと思ったのか、地面に置いたままにしてた《洗浄ポーション》を使って、ムーちゃんを洗い始める。

 最初は「お~」と感心した様子のフウちゃんだったけど、すぐにその手を止めて難しい表情を浮かべる。


「うん? どうしたのフウちゃん?」


「むう、ムーちゃんの体が大きくて、道具がないと洗いづらいです~」


「ああ、なるほど」


 ムーちゃんは、本当のゾウやマンモスほど大きな体をしてるわけじゃないけど、子ゾウと同じぐらいには大きいから、全身を洗おうと思ったら普通に重労働だし、何より小柄なフウちゃんじゃ手の届かない場所が普通にある。

 まあ、ゲームの中の身体能力なら、跳べば普通に届くんだけど、それは何だか違う気がするし。


「それじゃあ、私が代わってあげるよ。フウちゃんはライムのこと洗ってあげて」


「了解です~」


 私も身長はフウちゃんのことは言えないけど、それでも多少なり大きいは大きい。

 というわけで、ライムをフウちゃんに預けて、私はムーちゃんの体を洗ってあげることに。


「どうかなムーちゃん、痒いところとかない?」


「ムオ~」


 毛深いムーちゃんを、ブラシとかもなしにキチンと洗うのは大変だけど、こうして気持ちよさそうな反応が返ってくるとそんなのは気にならないくらい嬉しい。


「じゃあ私も……おお、これはいい感触……」


 フウちゃんも、私から引き継ぐ形でライムを洗い始めると、すぐにそのぽよぽよとした独特の感触の虜になったのか、いつにも増して楽しそうに手を動かしてる。

 何だか、洗うというよりつついたり揉んだりって感じになってるけど、ライム自身は特に嫌がってない……どころか気持ちよさそうにしてるから、まあいいかな。


「ピィピィ~」


「フララは……洗っていいのかな? 鱗粉落ちちゃうからダメじゃない?」


「ピ!?」


 自分も洗って欲しいとばかりにフララが擦り寄ってきたけど、蝶の鱗粉って落としたらダメなんじゃなかったっけ?

 確か、蝶の鱗粉は蛹の時に作られて、それ以降新しく生まれることはないから、全部無くなった蝶は一生飛べなくなるとかなんとか。

 まあ、リアルでも取ろうと思って簡単に取れるものじゃないし、ゲームの中でそんな意地悪な設定はしてないだろうけど。

 そもそも、フララはスキルで自分から鱗粉飛ばしてるし。優しくとは言え何度か抱き締めたりもしてるし。今更と言えば今更かな?


「ふふ、分かった、それじゃあフララも洗ってあげる。ビートもね」


「ピィ!」


「ビビ」


 ムーちゃんを洗い終えたら、今度はフララとビートのことも順番に洗ってあげる。

 フララは、やっぱりゲームなだけに羽は頑丈で、手で多少触ったくらいじゃビクともしないし、鱗粉が落ちるとかそういうこともないみたい。


 そしてビートの方は……。


「ビート、前に比べて随分大きくなったよね……」


 前は上下から2本突き出ていたツノが、今では下から1本、上から2本の3本に増え、アトラスオオカブトみたいな状態になってるし、更にはお尻の部分から、蠍の尻尾を思わせる新しい部位が生え、先端には槍を思わせる鋭い棘がある。加えて、前足2本が他に比べて長く伸びて、爪が5本になって中々器用に物を掴めそうになってるし、もはやカブトムシから外れた何かになってきた。




名前:ビート

種族:キメラビートル

召喚コスト:278

HP:187/187

MP:89/89

ATK:256

DEF:129

AGI:163

INT:72

MIND:62

DEX:111

スキル:《突進Lv17》《飛翔Lv15》《筋力強化Lv12》《敏捷強化Lv10》《手先強化Lv9》《闇属性攻撃Lv1》《槍Lv1》




 召喚コストも凄く増えたし、種族もなんだかキメラビートルになってるし。

 ちょっと《合成》し過ぎたかな? とは思わなくもないけど……。


「ビビビ……」


「落ち込まなくてもいいよ、今のビート、とってもカッコイイから!」


 そう言って励まし、頭を撫でる。実際、今のビートは見るからに厳つくて強そうで、凄くイケメンだ。もちろん、前のギガビートルの時も、愛嬌があって可愛かったけどね?


 そういうわけで、変化したビートの体を洗ってみれば、そのほとんどが甲殻で覆われて硬いけど、触ってみると結構つるつるしてて、これはこれで気持ちいい。ビート自身も気持ちいいのか、リラックスした様子で身を任せてくれた。

 ……この甲殻、神経通ってるのかな? いや、考えたら負け?


「先輩~、ライムちゃん終わりました~、今度は私も洗ってください~」


「あ、分かった、ちょっと待ってて?」


 ビートを洗いながら、ファンタジーな部分に首を傾げていると、フウちゃんから催促が飛んできた。

 ライムのサイズからすると、私がムーちゃんを洗ってる間に終わっててもおかしくないし、そう考えるとフウちゃんもかなりライムが気に入ったみたい。ふふふ、スライム人気がこれでまた1つ上がったよ、やったね!

 なんてことはまあ置いておいて、催促されたからってビートだけ手を抜くことは出来ないし、したくない。というわけで、ちゃんと念入りに洗って綺麗にしてあげると、満を持してフウちゃんのところへ向かった。


「お待たせ、フウちゃん」


「待ちくたびれました~」


「ごめんごめん」


 口ではそう言うフウちゃんだけど、手は絶え間なくライムをぷるぷるして遊んでるから、言うほど退屈してたわけじゃなさそうだ。

 とは言え、それはそれとして一言謝りながら、早速私はもう一度《洗浄ポーション》を掌に付け直すと、草むらに座り込んだフウちゃんの髪を洗い始めた。


「おお、中々気持ちいいですね~」


 はふぅ、と息を吐きながら、リラックスしたように私に体を預けるフウちゃんに苦笑しつつ、フウちゃんの鮮やかな緑の髪を梳くように動かせば、滑らかな触り心地と共にするりと抵抗なく指の間から抜けていく。

 うーん、リアルでもそうだけど、大して手入れもしてないのに良い髪してるなー。色は全然違うけど。


「それにしてもフウちゃん、なんでまた髪の毛こんな色にしたの? 綺麗だけどさ」


 銀髪とか金髪ならともかく、緑髪って結構珍しい気がする。


「別に大した理由じゃないですよ~? どうせゲームなら、リアルと違った見た目にしようとか~、あと、名前が風子だから風っぽい緑にしようとか、そんな感じです~」


「あはは、まあ、そんなものだよね」


 私も、似たような理由で銀髪碧眼のロングヘアーになんてしてるからね。名前が関係ない分、フウちゃんよりある意味適当かもしれない。

 それに、変貌ぶりで言ったらフウちゃんより私のほうがずっと上だし。


「ただ先輩~、こっちは露骨すぎませんか~?」


 そう言って、フウちゃんはおもむろに頭の後ろに手を伸ばしたかと思えば、私の胸をわしっ! と掴んだ。


「わひゃっ!?」


「う~ん、ライムちゃんの体は、ひんやりぷるぷるですけど、こっちはもっちり柔らかですね~、甲乙つけがたいです~」


「いやっ、ちょっ、フウちゃん、そこだめっ、ひゃっ!」


 むぎゅむぎゅと、フウちゃんの手で揉みしだかれて、今までの人生で感じたことのない感覚が体を走る。

 今まで胸なんて揉めるほどのサイズが無かったから知らなかったけど……こ、こんな感じなんだ、ちょ、ちょっとやばい、大きいのやばいよ!!


「ほらほら~、髪を洗って貰ったお返しに、私が洗ってあげますよ~、ここですか? ここがいいんですか~?」


「こ、こらっ、フウちゃんっ! 悪戯は、ほどほどにっ、やっ、あっ、んん!」


 私がされるがままになってるのが可笑しいのか、ニヤリと楽しそうに笑って私を組み敷くフウちゃん。

 地面は何も敷いてないけど、ゲームなだけに何か汚れが付くとかそういうこともないし、お互いそれほど本気でやってるわけじゃないから痛くもない。

 ただ、色々とこのままじゃまずいことになりそうだと思った私は、咄嗟にすぐ傍にいた相棒に助けを求めた。


「ら、ライム、ヘルプっ、ヘルプ~!」


「ふぇ? あ、ちょっ、ライムちゃんを使うのは反則ですよ先輩~!」


 私の声に応えて、フウちゃんが抱いてたライムから触手が伸び、その体を優しく締め上げる。

 《硬化》スキルを使わない限り、ぷるぷるの体をしたライムに締め付けられても苦しくないだろうけど、その分体を這い回られた時のくすぐったさは尋常じゃない。


「ふははは、ライムはうちの子、だから何も問題ない! やっちゃえライム!」


 ライムの触手がフウちゃんの太ももを這い、脇腹をくすぐり、背中をなぞる。

 ちょっとした薄い本に出て来そうな絵面になってるけど、私の意識としてはただくすぐってるだけだったから、この時は全く気付いてなかった。


「あひゃ、あひゃひゃひゃ……! す、すみません先輩~、調子に乗りました~! 許してください~!」


「ふふふ、分かればいいよ、分かれば」


 くすぐり地獄に耐え兼ねて、フウちゃんが降参の意志を示す。

 それを受けて、私もライムに止めるように指示を出そうとして……

 カサッ、と、草むらを踏みしめる足音が、やけに大きく響いて私達の耳に届いた。


「ミオ姉~、久しぶり。遊びに来た……よ……?」


 やってきたのは、ここ最近部活の大会のためにIN出来なかった、神代 竜也君ことリッジ君。

 侍みたいな和服装備に身を包み、腰に剣を差した私の従兄弟は、庭で繰り広げられた惨状……泡塗れの中、水着姿で仁王立ちする私と、同じく水着姿で触手ライムに纏わりつかれて体を火照らせたフウちゃんを見て、硬直したまましばらく凝視する。そして、


「……し、失礼しました……」


 顔を真っ赤にしながら踵を返し、そのまま走り去っていった。


 うん……ちょっと、調子に乗り過ぎたなかな?

 リッジ君の後ろ姿を見送りながら、私はそう思った。

サブタイだけで何が起こるか予想出来た人物は挙手(ぉ


R18判定は入らない……はず?(震え

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[一言] R18判定は入らない……はず?(震え __ R18に入らなくともゲームのセクシャルガードやセンシティブガードに絶対引っ掛かるけどな。
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