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テイマーさんのVRMMO育成日誌  作者: ジャジャ丸
第八章 カボチャ祭りと料理コンテスト
162/191

第162話 王様の演説とコンテスト開始

一応、今月末にマンガよもんがというスマホ専用アプリにて、テイマーさんのコミカライズ第一話が掲載される予定になっています。


……掲載、されるよね? されるんだよね?(未だに正確な日程を知らない原作者の図(ぉぃ

 屋台を開設して幾日かが過ぎ、今イベントの最大の目玉、料理コンテストの日がやって来た。

 なんやかんや、屋台の方で《霊魂カボチャ》を使い過ぎて、イベント本来の目的である《スキルポイントの書》が危うくなるかと思ってたけど、ユリアちゃんがうちの子達と散々モンスターを狩ってくれていたお陰で、なんとか必要分は死守したまま今日という日を迎えることが出来た。

 いやー、危なかったなー。


「それで、ミオは結局何を出品したんだ?」


「一番売れ行きが良かった、魚肉団子のカボチャソース添えだよ。たこ焼き感覚でパクパクいけるのが良かったみたい」


「ほーん、なるほどな」


 そんな話をお兄と交わしながら、私はグライセの中央広場できょろきょろと辺りを見渡している。

 料理コンテストはそれ専用に用意されたエリアで行われるそうで、もうすぐそこへ向かうための転移ポータルが解放される。私達は、それを待っているわけだ。

 いつにも増して多いプレイヤーの数に少し慄きながら、私はさっきから気になっていたことについてお兄に尋ねる。


「ところで、お兄はなんで私といるの? リン姉は?」


「なんでって、そりゃあ妹見つけりゃ声くらいかけるだろ。リンの奴は、少し遅れるって言ってたぞ」


「ああ、つまりリン姉がいなくてぼっちだったわけね」


「ぼっちじゃねーよ!? この人だかりでまだ合流出来てないだけで、ギルドの連中もいるからな!?」


 叫ぶお兄をしれっとスルーして、私は肩の上でぽよぽよと跳ねるライムにクッキーを食べさせる。

 お兄はぼっちかもしれないけど、私にはこの子がいるからね。


「そういや、お前他のモンスターはどうしたんだ? 置いてきたのか?」


「ううん、最近《使役》スキルが50になって《結晶化》っていうアーツが使えるようになったんだ。これを使うと、使役モンスターも召喚モンスターみたいにインベントリに格納出来るの。ちょうど倒されて復活待ちになった時みたいに」


 そう言って、私はインベントリから召喚石とは少し違う、菱形の結晶を取り出して見せる。

 これがあれば、パーティの関係でお留守番させる必要があった子もフィールドに連れ回して、状況に合わせてパーティを変更することだって簡単になるし、何よりこういう人だかりの中で、ファメルみたいな体の大きなモンスターを連れ回して周りに迷惑をかけなくて済む。

 インベントリを圧迫する関係から、ライムだけは今まで通り私の肩を定位置にしてるけど……不満が出ないように、定期的に他の子も出してあげないとね。


「ふーん、リンの奴はテイムしたモンスター自体あんま多くないから、知らなかったな」


「まあ、たくさん連れ回してるプレイヤーじゃないと、恩恵も少ないからね。満腹度ゲージが減らなくなるのはいいけど、代わりにHPやMPの自然回復まで止まっちゃうし、《調教》や《使役》スキルのレベル上げにもならないし」


「なるほどな。と、話してる間にもう始まるみたいだな」


『皆の者、よくぞ集まった』


 そうしていると、グライセの街中に鐘の音が響き、転移ポータルの真上に何やらダンディなおじさんの映像が流れる。

 派手な赤いマントを羽織り、王冠を被ったその出で立ちからして、王様なのかな?


『今年も、我がアルメリア王国が誇る秋の収穫祭の時期がやってきた』


 この国、そんな名前の王国だったのか。ていうか、国っていう枠組み自体この世界にあったんだね。

 そんなことをつい口に出しそうになったけど、多分それを言うとお兄に呆れられそうだから黙っておこう。


『今宵から、国中から集まった料理人達が腕によりをかけて覇を競う、料理コンテストが我が城の庭園で執り行われる。参加自由のこの催しには、既に百を優に超える応募があった』


 まあ、《料理》スキルさえあれば誰でも参加出来るわけだし、それくらいは行くよね。むしろ、もっと多いのに定型文だから百って言ってるんじゃないかとすら思う。


『今年の覇者を決めるのは、ここに集まった君達冒険者である! 我が宮廷魔術師の魔法により、料理は無限に供給されるので、皆限界まで食べ比べるがよい! 余も食い倒れるまで食べ尽くすぞ!』


 王様が自分の欲望を駄々漏れにして、しれっと暴飲暴食を勧めて来るのはどうなんだろうと思わなくはないけど、当の本人は至って普通の体型だ。

 これも魔法の力なのかな? 単にNPCだからいくら食べても太らないっていう、理不尽な理由なのかもしれないけど。


『では、開門! 投票は三日後、11月3日の深夜0時まで行われるので、それまで美食を楽しむがよい』


 王様の宣言とともに、転移ポータルの色がハロウィン仕様のオレンジ色に変化した。

 多分、これで王城の庭園とやらに行き来出来るようになったのかな? 王様の映像が消えて、プレイヤー達がぞろぞろとポータルの中に消えていく。


「俺達も行くか」


「うん、そうだね」


 人が多くて、まだみんなとは合流出来てないけど、適当に回ってれば遠からず出くわすだろう。

 そう考えた私は、お兄と一緒にポータルに向かって歩き出すのだった。





 ポータルで移動した先には、言われていた通り大きな庭園が広がっていた。

 王様が住む場所というだけあって、華やかな場所を想像していたんだけど、いくつもの出店が立ち並び、執事服やメイド服に身を包んだ男女のNPCが明るい声で給仕を務める光景は、お城の中というよりは、大きな運動場で開催された秋祭りって感じがする。


「うはぁ、すげえいい匂い。なんだか腹へって来たな」


「食べてもお腹膨れないからって、王様が言ってみたいに本当に食い倒れないでね?」


「分かってるっての」


 何を当たり前のことを、みたいに答えるお兄だけど、私の方を一切見ず、何から食べようかとあちこち視線を走らせているんじゃ全く説得力がない。

 やれやれ、お兄は子供だなぁ。


「――!」


「あはは、ライムも早く食べたいの? じゃあ、みんなが来るまで、私達で回ってよっか」


 ぷるぷると、お兄と同じように食欲全開アピールを始めたライムを撫でつつ、モンスター達の結晶を取り出して貰う。

 グライセの街中じゃ狭かったけど、ここはバカみたいに広いし、みんなで食道楽だ。


「みんな、出ておいで! 《再誕》!」


 私の宣言と同時に、フララ、フローラ、ファメルの三体が同時に現れる。

 ずっと結晶化させたままって、モンスターにとっては辛かったりするのかな? なんて思ってたけど、案外そうでもないのか、みんないつも通りに甘えてくる。

 いや、ファメルは甘えてないけど。なんていうか、この子は孤高のランナーって感じで、あんまり甘えて来ないんだよねー。懐かれてないってわけでもないと思いたいけど。


「それじゃあお兄、私は行くけど、夕飯までにはログアウトするんだよー?」


「分かってるって言ってるだろー。つーか、お前こそ餌やりに夢中になって時間忘れるなよ」


「はいはーい」


 お兄に注意を促すはずが、逆に注意されつつ。

 私はライム達と一緒に、コンテストの出店に突撃していった。

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