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テイマーさんのVRMMO育成日誌  作者: ジャジャ丸
第六章 アップデートとクエストボス
109/191

第109話 部活動とアップデート

最低週2度更新と言いつつ、最近は4日に1度の更新になってきた……(;^ω^)

なかなかペースを上げるのって難しいですね_(:3」∠)_


2019/1/31

《調教》のテイム上限撤廃、及び《召喚》の仕様について少し修正を入れました。

「はあ、どうしたものかなぁ」


 オークナイトに敗北を喫した私は、その後も立ち回りを変えて何度か挑んだものの、その悉くを退けられていた。

 デスペナルティで一時的に低下したステータスの中、ホームの中でテーブルに突っ伏し、溜息を零す。


 そこそこいい線は行くんだけど、やっぱりビートとフララの攻撃だけじゃ、あの強固な守りに対して決め手に欠ける感じがするんだよね。


「うーん、出来ればネスちゃんに頼みたいところだけど、それも無理みたいだし」


 今回のクエストは、『村長に認められたプレイヤー以外参加不可』っていう制約があるから、《コスタリカの村人》の称号を持ったプレイヤーしか参加できないってことだろうし、いくら相手が強くても、どうにか私一人の力で解決しないといけない。まあ、村長さんってあまり余所者を信用してないみたいだし、そのせいかな?

 とは言え、いくらNPCと言えど村の人達が困っているのもまた事実。あまり悠長に構えてるのも罪悪感があるし、遅くとも一週間以内にはケリをつけたい。

 そういうわけで、具体的にどうやってオークナイトを倒すかだけど……実のところ、対抗策なら1つ考えがあった。


「やっぱり、鍵は《ユニオンアタック》、かな」


 《ユニオンアタック》は、《召喚魔法》スキルレベル20で覚えるアーツだ。

 2体以上の召喚モンスターの攻撃を同時にヒットさせることで、そのダメージを倍にする、シンプルで強力な効果がある。

 以前、このゲームを始める前に見ていたお兄達の動画でも、リン姉がよく使用していたアーツだね。

 このアーツの難点は、どちらか一方でも攻撃を失敗したり、タイミングがズレると不発に終わるということ。そして、あくまでダメージが倍になるのは、アーツ使用後最初の一撃だけっていうことだ。

 だから、たとえ召喚モンスターであっても、継続ダメージ系の攻撃手段しか持たないミニスライム達にこのアーツは使用できなかった。


「必要なのは、ビートのスピードについて行けて、ある程度攻撃力のある召喚モンスター……うーん、どの子がいいかなぁ」


 インベントリを開き、テーブルの上に手持ちの核石アイテムを並べていく。

 この中からビートの相棒に相応しい子を選べばいい話なんだけど、中々決まらない。


「まあ、今はいいか、明日にはMWOのアップデートもあるらしいし、それが来てから考えようっと」


 もしかしたら、新実装されるモンスターに、良い子がいるかもしれないしね。

 そう思い、続きは学校で考えよう、なんて呟きながら、私は学校に行く準備のため、MWOをログアウトした。






「先輩、こっちのお掃除終わりましたよ~」


「ありがとフウちゃ、じゃなかった、風子ちゃん。次はこの子達のケージをお願いね」


「あいあいさ~」


 結局良い案も浮かばないまま時間は過ぎ、あっという間に放課後となり、現在部活動の真っ最中。悩みが尽きないのもあって、うっかり風子ちゃんをMWOのキャラネームで呼びそうになっちゃった。

 まあ、元々名前をもじったキャラネームなだけあって、周りには愛称みたいなものだと思われてるみたいだし、もう気にしなくていいかもしれないけどね。


 でも、今は部活中なんだし、そっちに集中しきれてないのは問題だ。モンスター達のことも大事だけど、ここにいる動物達のことも大事なんだし、気持ちを切り替えないとね。

 そう思い、私は改めて気合を入れ直す。


「澪、今度はこの子のケージ掃除するから、手伝って」


「はーい」


 先輩の1人に呼ばれ、私は返事を返しつつ急いでそちらへと向かう。


 夏休みの間は、主にウサギ小屋に残っていたウサギ達のお世話をして過ごしていたけれど、生物部で飼っているのは何もウサギだけじゃない。

 亀、金魚、ハムスターに、蝶やカブトムシみたいな昆虫、変わったところでは、ヘビやトカゲなんかの爬虫類も飼ってたりする。トカゲはともかく、ヘビなんて良く許可下りたよね、流石に毒ヘビとかじゃないけどさ。

 ちなみにこれが、お兄や美鈴姉の通ってる高校の生物部になると、プランクトンみたいな微生物とか、オオトカゲやサソリみたいな、ちょっと育てるにも注意が必要な生き物も飼っているらしい。うん、早く高校行きたい。

 そして、そんな他の動物達が夏休みの間どこへ行っていたかと言えば、その多くは部員達の家で飼育されていた。

 学校でのウサギの世話を引き受けたのは、家の事情でペットを連れて帰るわけにはいけないメンバーというわけだ。


「ふふふ、アマンダ、今日も元気?」


 チェックシートを使って、動物達の健康状態をチェックしつつ、時折直接手に取ってあやしてみる。

 ちなみにアマンダというのは、うちの部活で飼っているヘビの一種、コーンスネークの1匹だ。

 ヘビはウサギとか犬なんかと違って、人に触られるのはあまり好きじゃないはずなんだけど、この子は手を伸ばすと普通に自分から絡みついてくる。甘えてるのとは少し違うんだろうけど、くりくりとしたつぶらな瞳が何とも愛らしい。


「いやー、澪ちゃんもすっかり慣れたもんだね。初めてここに入部してきた時は、アマンダに噛みつかれて大騒ぎになってたのに」


 シャー! と可愛らしく餌をねだるアマンダを撫で回したい衝動をぐっと堪えていると、突然部長から声をかけられた。快活な笑顔がいつ見ても眩しい美少女なんだけど、制服の胸元はもう少しちゃんと締めて下さい。美鈴姉ほどじゃないにしろ、中学生として見れば十分大きなソレを見てると心が荒んできますから。


「それはもう、私だってここに入って1年以上経ちますもん。あの時みたいにいきなり撫でたりしませんよ。ていうかあれ、私にとっても恥ずかしい思い出なんですから蒸し返さないでください!」


「あはは、初めて触るヘビで、怖がって萎縮する子は何人も見たけど、逆にヘビを怖がらせるほど大胆に触りまくる子は澪が初めてだったからね。どうしても印象に残っちゃって」


 ヘビは何かと凶悪狂暴なイメージが付きまとうけど、飼うには随分とデリケートな動物だ。

 だから噛まれたのも、その臆病な気質から攻撃されたと勘違いしたのが大きいって、その時一緒に居た先輩達から教えられた。撫でられて喜ぶ犬や猫とは違うんだって。


「それに、あれだけ最初アマンダに嫌われてたのに、1週間もしないうちにハンドリングも自然と出来るようになってたし。私なんて、初めて自発的に登ってくれたの、半年くらい経ってからなんだからね? 本当、動物に好かれやすいってこういうことかと思ったよ」


「それは単純に、部長達のお世話で人に慣れたってだけだと思いますけど……」


「他の子はいつまで経っても登らなかったでしょ?」


「まあそうですけど」


 アマンダのハンドリング――ヘビを腕に乗せること――は、そこまで難しくない。さっきも言った通り、ここに暮らして長い分、人に慣れてるからだ。

 けど、自発的に登ってくれることはあんまりなくて、手を伸ばしただけで登ってくれるのは、今現在この部活内では部長と私だけだったりする。


「他の動物達も、澪に抱かれてると大人しくなる子が多いし、何かコツとかあるの?」


「いつも言ってますけど、私は単にこの子達をめいっぱい可愛がってるだけですって」


 動物達と同じ目線で、愛情持って接してあげれば、自ずと仲良くなれるものだよ! その辺りは人と同じだよね、こっちから心を開かないと、向こうも心を開いてくれないし。

 まあ、偶にやり過ぎて、逆に嫌われたりもするんだけど……それはそれで、仲直り出来るように努めれば、やっぱり最終的には仲良くなれるものだよ。


「まあ先輩は特例みたいなものですし、気にしない方がよいかと~」


「だよねー」


「ちょっと風子ちゃん、人を変人みたいに言わないでくれる?」


 ケージの掃除が終わり、名残惜しい気持ちを抑えてアマンダをケージの中に帰しつつ、私は風子ちゃんにそう苦言を呈す。

 私、別に変なことは言ってないし。私しか実践出来てないから、心の持ちよう以前の問題だってみんなからは言われてるんだけど、私としてはそれ以上は何も意識してないんだから、嘘はついてないし。


「えっ、違うんですか~?」


「それはどういう意味かなー?」


「の~! ギブ、ギブです~!」


 こめかみに拳を当て、グリグリとしてやると、情けない声を上げながら机をバンバンと叩く風子ちゃん。

 まあ、男子バカ共でもお兄でもないんだからもちろん手加減はしてるし、風子ちゃんだってそれほど痛くはないと思う。実際、机を叩く手付きもゆっくりしたものだし。

 そんなことをしている私達を、部長は「まあ、ほどほどになー、みんなも見てるし」と言って、自分の作業に戻って行った。

 言われて気付いたけど、ここは部室で、当然他の部員の人達もいるわけで。凄く視線を集めていた。


「う~、先輩のせいで凄い悪目立ちしちゃいました~……これは、責任取って貰わないといけませんね~」


「いや、風子ちゃんのせいだから」


 そうやって、お互いに責任を押し付け合って笑いつつ、けれどそれ以上は本当に迷惑だから、すぐに元の動物達のお世話に戻っていく。

 その時、ふと思い出したという風に、風子ちゃんが口を開いた。


「あ、そういえば~」


「うん?」


「先輩、明日はMWOのアップデートって知ってますよね~?」


「ああうん、知ってるよ」


 今度の作業は、部室で飼ってる金魚の水槽掃除。金魚のみんなが苦しくないように、素早くサッサっと掬っては小さな金魚鉢に移し、それが終われば水を抜いて、ガラス面をスポンジで洗う。

 とは言え、これもやり過ぎると、水槽をキレイにしてくれる良いプランクトンまで流れ落ちちゃうから、見た目に汚くない程度に、ほどほどに掃除するのがいいらしい。

 水槽の中の環境が急に変わると、金魚達の体にとっても良くないから、この辺りの匙加減は考え出すと結構難しい。部長はある程度適当でいいよって言ってたけど。


「内容は確認しました~?」


「あれ? まだ公開されてなかった気がするけど、もうどこかに出てた?」


「昨夜、寝る前に確認したら出てました~」


「あ、そうなんだ」


 寝る前はライムのお世話で忙しいから、私がサイトをチェックするのは学校から帰った直後だし、それなら気付かなくても仕方ない。


「それで、どうだったの?」


「あ~、ん~……そうですね~、私にはあんまり関係なかったんですけど、先輩にはちょっとよろしくないかもですね~」


「えっ、一体何があったの!?」


「これ以上は、私の口からはとても言えません~……」


「ちょっ、何それ余計気になる!」


 とは言え、今は部活中で、しかも大事な動物達のお世話の真っ最中だ。まさかネットを閲覧するわけにもいかないし、我慢しないと。

 風子ちゃんのせいで、なんだか悶々とした時間を過ごすハメになっちゃったけど、それはそれ、これはこれ。

 動物のお世話に滞りなんて出すわけもなく、その日の部活は無事に終了した。





 家に戻ると、早速私は風子ちゃんの言葉が気になって、居間に置いてあるソファに腰掛けると、愛用のタブレットを取り出して公式サイトにアクセスする。


「えーっと、アップデートアップデート……と、これだ」


 明日の昼間から夕方頃、予定だと17時くらいまでの時間を目途に行われる、MWOが始まって以来初めてのアップデート。色々と仕様が変わったり、新しいエリアやクエスト、モンスターが追加されるとのことで、私としては結構楽しみに待っていた。


「えーっと、何々……? 《バルロック》の町に新エリアか。名前は《採掘場》? って言うくらいなら、色々と鉱石アイテムが集まりそうだなぁ、新しい鉱石も追加されるって言うし」


 もしそうなら、ライムの新しいご飯が作れるかも、なんて期待しつつ、更に下へとスクロールして、情報を見漁っていく。


「おお、この子可愛いなぁ」


 そんな中でも、やっぱり気になるのは新規追加されたモンスターだ。テイマーなんだから当然だよね。

 食料事情も改善されて、ホームも広くなったから、そろそろ卵とは別にもモンスターをテイムするのは悪くないと思う。

 問題は、これ以上モンスターが増えると、フウちゃんやユリアちゃん達とパーティを組んだ時、人数オーバーで組み込めなくなる子が出る可能性があることだけど……それはもう、テイマーとしての性だから仕方ない。

 畑のこともあるから、どうせお留守番の子が出るなら、寂しくないようにミニスライム達を何体か置いていくようにしてもいいしね。


「さてさて他には、と……」


 そんなことを考えながら、更にスクロールしていく。

 他の大きな変更点としては、まずは《グライセ》の町周辺が、PK禁止エリアに指定されたこと。

 具体的には、《東の平原》のコスタリカ村まで続くルート全域と、《西の森》のエルフの隠れ里がある場所の手前まで、そして《北の山脈》は《ゴスト洞窟》の手前まで。更に《南の湿地》も、《毒の沼地》っていうエリアの手前までがそれに当たる。

 概ね、私がこれまでメインで活動していて、そろそろ行動範囲を広げようかと思っていた部分が禁止されるわけだから、初心者保護の意味合いが強いんだろうね。つまりギリギリ、私は恩恵に与れない。何だか悲しい。


「後は……おっ、《調教》スキルの仕様変更?」


 これまで、《調教》スキルのレベルが10ごとに、テイム出来る最大数が増えていった。今の私のスキルレベルは38だから、4体までテイム可能、みたいに。

 今回の調整では、テイム可能上限が撤廃されて、代わりに《使役》スキルを使って戦闘に参加させられるモンスターの数に上限が入るらしい。つまり、戦闘に参加させることを考えなければ、いくらでもペットとしてテイムできるらしい。やったね。

 まあ、連れ歩けるのは5体までで、それを超える場合はホームに強制転送されるみたいだけど、私はちゃんと自分のホームを持ってるから関係ない。

 《使役》スキルの対象にするモンスターも、非戦闘時――敵性モンスターに見つかってない状態じゃないと再設定できないらしいけど、それは今まで通りだし、気にしなくても大丈夫だ。


 そんな風に、浮かれ気分でいた私だったけど、その直後、今の私にとってはそれよりも重要な変更が為されていることに気が付いた。


「《召喚魔法》の仕様変更?」


 これまで《召喚魔法》は、モンスターごとに設定された召喚コストをMPから支払うことで、召喚石に封じられたモンスターを呼び出し、以降は維持コストとしてモンスターごとにMPを一定の速度で消費し続けることで、使役することが出来ていた。MPがある限り、何体でも呼び出すことが出来る数の暴力こそ、その真骨頂だって言われている。


 けれど、今回の調整で、呼び出せるモンスターの上限は5体になる。まあ、それはある程度分かってたことだし、別にいい。

 ただその代わり、モンスターを召喚すると、そのモンスターのコスト分、自身の()()M()P()()が減少し、以降、そのモンスターを《送還》するか倒されるまで、減った分のMPは回復しなくなるらしい。

 これによって、今までみたいに《MPポーション》のがぶ飲みや、《MPリンゲージ》みたいなアーツによる一時的なMP共有化によって、強引に強力なモンスターを何体も呼び出すことが出来なくなった。

 モンスターが召喚石に戻れば、減っていた最大MPは回復状態で返ってくるみたいだけど、同時に召喚し続けられないことには変わりないし。

 それに、《送還》したり倒されたりした時の、再召喚が可能になるまでのCT(クールタイム)も今までより伸びるみたいだから、《召喚魔法》は今までより大分不便になるなぁ。


 ただそうなってくると、私も結構困る。

 一応、現状のメンバーで動く分にはそこまで困らないんだけど、今はオークナイトの対策のため、新しい召喚モンスターを仲間にして、ビートと一緒に運用したいと考えているところなんだから。

 何せ、ビート単体のコストで、私の最大MPの半分以上を持ってかれる。

 ビートの相棒を強化し過ぎれば同時に呼び出せなくなるし、かといって半端なステータスじゃ、ビートの動きに合わせられない恐れが出て来てしまう。

 《魔封鞭》スキルのアーツとかで、それなりにMPも使うから、あまり《召喚》そのものにMPを持っていかれるのは困るし……うーん、困った。


「どうしよう、これ」


 致命的とまでは行かないにしろ、オークナイトの対策を考えていたところに新たに降りかかってきた問題に、私は頭を悩ませるのだった。

悩みましたが召喚魔法の仕様変更。

ひとまずこんな感じで行ってみます。

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