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テイマーさんのVRMMO育成日誌  作者: ジャジャ丸
第五章 食糧難と農地改革
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第106話 死を呼ぶ蠍と鉄壁の盾

 天井から降って来たデススコーピオンの威容に、一瞬気圧されかけた私だったけど、すぐに立ち直って指示を飛ばす。


「フローラ、しっかり掴まっててね。フララ、《付与鱗粉》! アタック、スピード、インテリジェンス!」


「だっ!」


「ピィ!!」


 フローラを片腕で抱き直しつつ指示を飛ばすと、フララはその場で羽ばたき、ステータスを強化するバフスキルを順次発動していく。

 とは言え、普通の《付与魔法》と違って羽ばたくっていうモーションを必要とする分、私が指定した3つのバフが終わるよりも先にデススコーピオンは私達との距離を詰めようと迫ってきた。


「リッジ君、お願い!」


「任せて!」


 だからこそ、ATKとAGIが上昇した段階で、リッジ君は迫るデススコーピオンに向けて駆け出し、すれ違い様に刀で斬りつけ、そのまま駆け抜けた。

 ダメージを受けたことでヘイトがリッジ君に固定され、私達から離れていく。


「作戦は、前のデビルズトレントとやった時と同じでいいかな?」


「うむ、問題ない」


 ネスちゃんと短くやり取りした後は、私も前に出てデススコーピオンと対峙する。

 ネスちゃんの魔法は威力が高すぎて、1発や2発使っただけで簡単にヘイトが移動しちゃうから、まずは私とリッジ君で出来るだけ削らないとね。


「はぁ!!」


 私とネスちゃんが話している間にも、リッジ君は1人でデススコーピオンと対峙し続けていた。

 繰り出される二振りの鎌を最小限の動きで躱し、骨の体を支える6本の足に向け、刀を振り下ろす。

 あんな大きな鎌を躱しながら、尚且つ反撃出来るなんて流石はリッジ君と言ったところだけど、アーツを繰り出す余裕はないようで、威力を抑えたコンパクトな振りになってる。

 ネスちゃんが焦れて、準備が整う前に魔法をぶっ放さないためにも、リッジ君には思いっきり攻め立てて貰わないといけないし、私も頑張って援護しなきゃ。


「リッジ君、私が一瞬抑えるから、後お願い! 《カースドバインド》!!」


 腰から抜いた鞭を操り、デススコーピオンが振り上げようとした鎌へと巻きつけた。

 時間いっぱい抑えることは、いくらフララのバフを貰っていても私のATKじゃ無理があるけど、少しの間だけその動きを止めるくらいは出来る。

 そして、少しでも隙を作ることが出来れば、後はリッジ君が上手くやってくれる。


「ありがとうミオ姉! 《二ノ型・疾風》!!」


 そんな期待に応えるかのように、リッジ君が素早くアーツを使い、デススコーピオンの懐まで一気に飛び込む。そして――


「《七ノ型・落葉(らくよう)》!!」


 デススコーピオンの虚ろな骸骨の頭部目掛け、リッジ君の連続攻撃が炸裂する。

 袈裟懸けに斬り下ろし、横に薙ぎ、斬り上げから即座に真っ直ぐ振り下ろし、突きに移行したかと思えば、すぐさま体ごと回転するように斬り払う。目にも止まらぬ速さで放たれた6連撃が、デススコーピオンのHPをゴリゴリと削り落とし、最後にトドメとばかりに、強烈な一撃がその脳天へと叩き込まれた。


「ギシァァァァア!!!」


 もちろん、いくら私達がこのボス討伐の推奨レベルより高くとも、アーツ1つで仕留められるほど甘くはない。それでも、リッジ君の連続攻撃は耐え兼ねたのか、悲痛な叫び声を上げてデススコーピオンは大きく仰け反った。

 それもまた、一つの隙だ。


「《召喚》! 来て、ビート!」


 ビートを呼び出すのに合わせ、《カースドバインド》の効果時間が終了する。

 これでデススコーピオンの動きを止める物は無くなったわけだけど、私がいるのはちょうど真後ろ。ヘイトは今はっきりとリッジ君に向いているはずだし、まだ時間はあるはずだ。


「やっちゃえ、《激突》!!」


「ビビ!!」


 ビートが闇色のエフェクトを纏いながら、無防備なデススコーピオンの背中にそのツノを突き立てた。

 硬質な物同士がぶつかり合う、鈍い音が響き渡り、デススコーピオンのHPが更に削り取られる。

 けど、デススコーピオンもやられっぱなしっていうわけじゃない。


「あ、やばい」


 デススコーピオンの尻尾が、僅かに右に傾く。

 それだけだったら特に何とも思わなかったかもしれないけど、デススコーピオンはその6本の足を地面にしっかりと固定し、踏ん張るように力を込めているのが背中越しでも分かった。


「リッジ君、離れて! ……ふぎゃ!?」


「っ!」


 私が叫んだ直後、デススコーピオンが体ごと大きく一回転し、周辺全部を尻尾で薙ぎ払ってきた。

 予想以上の攻撃範囲の広さに、少しだけ距離があった私も巻き込まれ、ボールみたいに吹っ飛ばされる。

 咄嗟にライムが庇ってくれたから、ダメージこそそこまで大きくはなかったけど、当たり所が悪かったのか視界がぐるぐる回って気持ち悪い。けど、フローラはちゃんと守らないと。

 そう思いながら、ライムの触手に包まれる傍ら、フローラの体を慌てて抱き直す。とは言え、それで勢いが止まるわけでもないから、私はそのまま洞窟の壁に叩きつけられた。


「ミオ姉! 大丈夫!?」


「な、なんとか……フローラは平気?」


「だー!」


 ダメージを抑えたお陰で、フローラも私もちゃんと生きてる。むしろ、フローラとしては空中浮遊はアトラクション染みたスリルを感じて楽しかったのか、きゃっきゃっと私の腕の中ではしゃいでいた。うん、この子将来大物になるね。

 そんな風に思いながら顔を上げてみれば、どうやらリッジ君は上手く回避していたらしく、全くの無傷だった。

 おかしいな、私の方が先に気付いてたし、私の方がデススコーピオンに対して距離があったはずなんだけど、なんで私がダメージ受けてリッジ君は無傷なんだろ……これがプレイヤースキルの差か。


「早く離れるがいい! もう準備は出来た、リッジのアーツを2度もやったのなら十分だ、焼き払うぞ!」


「わわっ、分かった!」


 気付けば既に詠唱時間も終わっているようで、発動待機状態になった魔法陣がネスちゃんの前で赤々とした輝きを放っている。

 アーツ2回じゃ、多分ネスちゃんの全力の魔法より威力が低いと思うんだけど、逆にあと1回でヘイトが移る程度の差なら、それもまた新しい隙になる。多分、それも見越してるんだろう。


「フララ、ネスちゃんと一緒にやるよ、《サイクロンエッジ》!!」


「ピィ!!」


 ネスちゃんの魔法に合わせ、フララもまた羽を大きく羽ばたかせると同時に緑色に輝く魔法陣を浮かび上がらせる。

 鳴き声と共に、もう一度強く羽ばたくと、魔法陣からは風の刃が竜巻となって解き放たれ、デススコーピオンを包み込む。


「喰らうがいい、黙示録の炎!! 《ドラゴニックフレイム》!!」


 嵐渦巻くデススコーピオンへ向け、竜の業火が降り注ぐ。

 まるで流星雨の如く叩きつけられる炎の雨に、さしものボスも悲鳴のような咆哮を上げ、リッジ君の攻撃も合わせあっという間に残りHPが半分を割り込んだ。


「キシィィィィ!!!」


 奇怪な叫び声と共に、デススコーピオンが炎と嵐の中を突っ切り、ネスちゃんに向け突撃する。

 たとえどれだけダメージを受けても、痛がりはしても行動には一切影響がない辺りにゲームらしさを感じるけど、敵にそれをやられると凄く厄介だ。


「リッジ! 今のうちに横から……!」


 とは言え、元々それは織り込み済み。ネスちゃんは慌てることなく、リッジ君に攻撃を促そうとして……


「よっ」


 どういうわけか、リッジ君はそんなネスちゃんの言葉を無視して、迫るデススコーピオンの真正面に陣取った。


「って、なぜ我の正面に立つ!?」


「いや、どうせなら試してみようかと思って」


 驚くネスちゃんにそう答えながら、リッジ君は気負うことなく刀を構える。

 そして、鎌を振りかぶったデススコーピオンの動きを慎重に見極め――


「《五ノ型・月華(げっか)》」


 鎌が振り下ろされ、リッジ君ごと後ろのネスちゃんを斬り裂こうとしたその瞬間。アーツが発動し、リッジ君の体が仄かな光のエフェクトに包まれる。構えられた刀に、勢いの乗ったデススコーピオンの鎌が触れ――気付いた時にはリッジ君の刀は振り抜かれ、デススコーピオンの鎌は大きく弾き返されて、その体を仰け反らせていた。


「えっ?」


 アーツは、そのほとんどが人の身じゃあり得ない挙動をするけれど、今回のは特に何が起きたのかさっぱり見えなかった。ただ1つ確かなのは、リッジ君のアーツによって、デススコーピオンは三度無防備な姿を晒してるっていうこと。


「リッジ、横から殴りつければ十分だと言うのに、何をやっているのだ!?」


「新しいアーツの練習がしたかったんだよ。あのカウンター技、タイミングがシビアで難しいし」


「だったらもっと雑魚相手に練習すれば……」


「それに、あれなら成功すればヘイトは僕に向くし、失敗しても盾になれる分、ネスを守るには最適だと思ったんだ。万が一にも攻撃させるわけにはいかないしね」


「お、おぅ……」


「それよりもネス、ミオ姉! 今のうちに!」


「あ、うん、分かった」


「はっ! わ、分かっておる!」


 リッジ君に促され、私とネスちゃんは慌てて攻撃の準備に取り掛かる。

 顔を赤くして、いつもの詠唱すらせずに魔法の準備をしてるネスちゃんの動揺っぷりを見ていると、何だか可愛くて、こんな時なのにほっこりするなぁ。


「ビート、《スピアチャージ》! フララは《ライトニングレイ》!」


「燃えろ、《ファイアーボール》!!」


「《一ノ型・椿》!!」


 ビートが空を駆け、すれ違い様に尻尾から生えた棘をデススコーピオンの体に突き立て、そのまま飛び去っていく。その直後、フララの放った雷と、ネスちゃんの放った炎の弾丸がデススコーピオンのHPを削り取る。そして、リッジ君のアーツがデススコーピオンの頭部を捉えてクリティカルダメージを叩き込み、積み重なったダメージによって、残り半分を割り込んでいたHPが危険域を示す赤色へと変化する。

 こんなホラーエリアのボスだし、どうなるものかと思ったけど、いざやってみればここまで一度しか反撃も受けず、早くも追い詰めることが出来てるし、この調子なら特に何事もなく終わりそうだ。

 後は、HPが危険域に突入したことで、デススコーピオンがどんな挙動を取るのかだけど……


 そう、ちょっとした油断と最後の懸念を思い浮かべたのがそもそものフラグだったのか。デススコーピオンの虚ろな眼窩に炎が灯ると同時、なんとその体を構成する骨の一部が弾け飛んだ。


「えっ、何事!?」


「気を付けろミオ、来るぞ」


 ネスちゃんが注意を飛ばしてくるのと同時、弾け飛んだデススコーピオンの骨の一部は、羽も翼もないにも関わらず、地面に落ちることなく宙に留まる。そして、その杭のように鋭い先端をフララとネスちゃんの方に向け……一直線に突っ込んで来た。


「フララ!!」


「ピィ!」


 特に攻撃モーションに入っていたわけでもなかったのが幸いして、《回避行動》スキルの補正を受けられたフララは飛んできた杭を華麗に回避する。けれど、絶え間なく飛んでくる骨の杭を前に、フララは回避に手一杯になり、反撃する暇もない。


「ちょっ、ネスちゃんあれどうすれば!?」


 よく見れば骨の杭は、外して地面に突き立った後も、少し時間が経てば勝手に浮かび上がり、デススコーピオンの下へと戻ってもう一度発射体勢に入っていた。まさかの使い回し、弾数無限仕様だ。

 今はまだ一発も受けてないとはいえ、フララの回避だって絶対じゃない。一撃でも喰らえば倒されるくらい撃たれ弱いのもあって、見ていて気が気じゃない。


「うむ、この攻撃はデススコーピオンから一定以上距離を開けた者を、最大2人までオートで狙い続ける厄介な攻撃だ。その特性上、狙われるのはまず後衛になる。もっとも、この攻撃はあまりにもピンポイントで狙ってくるから、走り続けていれば当たることはない。その点では安心するがいい」


 フララと同じように逃げ回りながら、さりとて余裕を感じさせる表情で説明してくれるネスちゃん。

 なるほど、それなら……


「最大2人? なら、私のほうにヘイト移せれば、フララもネスちゃんもフリーになるってこと?」


「いや、ヘイトを移しても無駄だろうな。ビートの方は近接攻撃メインだからいいだろうが、フララはやめておけ。魔法攻撃は発動準備に入った段階で、デススコーピオンの優先攻撃対象になる。詠唱時間(キャストタイム)中の無防備なところを攻撃されるぞ」


「何それ厄介!」


 この骨の杭はオートでプレイヤーを狙うっていうネスちゃんの言葉を裏付けるように、デススコーピオン本体は空中に浮く骨なんて関係ないとばかりに、リッジ君を狙って攻撃を繰り返してる。しかも、さっきまでより動きが素早い分、リッジ君からの反撃もそれほど出来てないみたいだ。さっきのカウンター攻撃が出来るアーツなら、と一瞬思ったけど、あれだけ強力なアーツじゃCT(クールタイム)も長いだろうし、あまり期待するのは良くないかもしれない。


「まあ、そうは言ってもこの攻撃に対する攻略法は既に知れ渡っているから心配するな。あの骨の杭は直線的な動きしかしない故、後衛の正面に盾職の者を配置することで、狙われてもお構いなしに焼き殺すというのが定番だ。あの杭は数押しなだけに、単発の威力はそれほどでもないからな」


「いや、私達に盾職はいな……」


 言いかけて、はたと気付く。そうだ、いるじゃん。私の一番の相棒が。

 いつもなら、攻撃力が乏しすぎてヘイトを集めれないのもあって、私の護衛はしても盾職として働いたことはないから忘れてたけど、単純なDEFの値なら、本職にも負けていない。それに、自力で回復アイテムを使ってHPを回復させられるから、ああいう連射系の攻撃に対する頑丈さなら、むしろ本職すら超えているかもしれない。


「気付いたか。そういうわけだ、頼めるか?」


 私がライムに視線を向けたことで察したのか、ネスちゃんはそう尋ねて来る。

 けど、その視線はチラチラとリッジ君の方に向いていて、今も一人でボスの相手を務めてるリッジ君を助けてあげたいって気持ちがよく伝わってくる。

 ふふ、そういうことなら、私も手伝ってあげないとね。


「ライム、行ける?」


「――!」


 ライムに確認の言葉を投げかければ、力強く体を震わせ、頷きを返してくれる。

 よし、それじゃあいっちょ、やってやりますか!


「《召喚》、トロロ!」


「――!」


 まずは下準備のために、ミニスライム隊の1体、以前、イベントの時にちょっとだけフララと行動したことのあるトロロを呼び出す。

 魔法攻撃に反応して狙われるなら、久しぶりにそれ以外の攻撃をすればいいよね。ということで、トロロには久しぶりの《大岩》を渡しておく。


「ビートはギリギリまでリッジ君の援護お願い、ネスちゃんの攻撃前に助けてあげて。フローラは、危ないから私の背中に移って、合図したら《モンスター誘因》お願い!」


「ビビ!」


「だー!」


 フローラの《モンスター誘因》は無差別にヘイトを集めるらしいけど、デススコーピオンの本体はリッジ君が散々攻撃してるから、お兄の《ヘイトアクション》より効果の低いこのスキルで引き付けるのは無理なはず。でも、フララはそれほど攻撃しまくったわけじゃないから、これだけで一時的にフリーになる可能性は高い。


「よし、お願いフローラ!」


 トロロを脇に抱え、フローラを背中に背負い直し、全ての準備が終わった私はすぐに合図を出す。

 それと同時に、フローラの頭に咲いた花から甘い香りが溢れだし、洞窟の中を包み込む。


「っ、来た!」


 それによって、私の狙い通り、デススコーピオン本体とネスちゃんへの攻撃はそのままに、フララに向いていた骨の杭が一直線に私……というより、私が抱いたままのフローラ目掛け飛んできた。


「フララ、トロロ、落石の準備お願い! それから、行くよライム、《硬化》!!」


 フリーになったフララ目掛け、トロロを投げ渡す。《投擲》スキルと、更にはフララ自身のステータスが進化で上昇したこともあって、難なくキャッチしてくれたのを確認すると、私はすぐにライムを正面に構え、しっかりとその場に踏ん張った。

 ライムの触手が私の正面に盾のように拡げられ、スキルの力で強固に固められる。

 そこへ、無数の骨の杭が打ち込まれ、圧倒的なDEFを誇るはずのライムのHPを凄い勢いで減らしていく。けど、それに合わせてライムは自らポーションを使い、HPが0になることを防いでいた。

 よし、この分なら、しばらくは持つ。


「ネスちゃん、私の後ろに!」


「分かった、詠唱は10秒だ、頼んだぞ!」


 私とライムが十分に耐えられることを確認すると、遅れてネスちゃんも私の後ろに飛び込んできて、魔法の発動準備に入る。それによって、デススコーピオンから飛んでくる骨の杭の量が2倍に増えたけど、それでもなおライムは耐え続ける。

 継続して続く攻撃は衝撃を伴って私にも伝わり、油断すればそのまま押し倒されそうなくらいだけど、ここで転ぶと後ろにいるネスちゃんにまで被害が出る。だから、絶対に引くわけにはいかない。


「ライム、頑張れ!」


 それに何より、私はただ衝撃を受けるだけだけど、ライムは自分の体でデススコーピオンの攻撃を受け止めてるんだ。ゲームだから痛みはないかもしれないけど、私より大変なのは間違いないんだから、ここでテイマーたる私が先に音を上げるなんてことはあったらダメだ。

 僅か10秒、けれどこうしてただ一方的に攻撃されながらだと、随分と長く感じる。

 クラーケン相手に囮役になった時もそうだけど、盾職の人ってよくこんなのずっと続けてられるよね。やってみるとお兄の凄さが分かるよ。まあ、見習いたいとは思わないけどね。

 そんな、他の誰かに聞かれたら「ツンデレめ」とか言われそうなことを無意識に考えながら、デススコーピオンの攻撃を受け続け……やがて、その時は来た。


「リッジ、行くぞ!」


「分かった、後はお願い!」


 ネスちゃんが声をかけると同時、デススコーピオンの傍で戦闘を続けていたビートに捕まり、リッジ君が素早く離脱する。

 それに合わせて攻撃パターンが変更され、骨の杭の向きが変更されるけど……もう、遅い。


「破滅をもたらす黙示録の炎よ、世界の全てを焼き尽くせ! 《ドラゴニックフレイム》!!」


「フララ、トロロ! 《大岩》投下!!」


 ネスちゃんが杖を掲げると同時、空に真紅の魔法陣が浮かび上がり、竜の炎が降り注ぐ。着弾した炎がデススコーピオンを焼き、その周囲に浮かんでいた骨の杭さえも纏めて焼き払っていく。

 それに加え、デススコーピオンの頭上で待機していたフララが、トロロの力を借りて《大岩》を次々とデススコーピオンの頭上に落としていき、その重量でもって骨の体を押し潰す。

 既に赤く灯っていた、デススコーピオンのHPゲージがみるみるうちに減っていき……やがて、その全てが黒く染まった。


「キ……シ……ィ……」


 眼窩の奥に灯っていた執念の炎が、最後に一際強く燃え上がったかと思えば、フッと、蝋燭を吹き消した時のようにあっけなく消滅する。

 それに合わせて活動を止めたデススコーピオンの体は、力を失って地面に崩れ落ち――物言わぬ骨の山となって、静かに眠りについた。

書籍化作業がひと段落付くと、発売への期待と不安が高まって胃が痛い_(:3」∠)_

執筆を進める傍ら、気晴らしもかねて他の作品を読み漁り読み返して少しでも吸収できるものはないかと目を皿にする日々。

もっと執筆の腕を上げたい……

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