寒い冬の日に……
即興で書いてみました。
至らぬ点もあると思いますが、読んでもらえると嬉しいです。
「マッチはいりませんか?……」
少女は一人マッチを売っていた
「……」
呼びかけられたであろう男の人は一瞬立ち止まってまた何事もなかったように通り過ぎる
「マッチはいりませんか?……」
また少女はめげずに売ろうとしていた
「……」
また話しかけられたであろうその人も何事もなかったかのように通り過ぎる。
それでもまだ少女はため息一つつかずかじかんだ手で売り続けていた。
なぜ、誰も買おうとしなかったのにかは理由があった。
それはそもそも外で買うよりも店で買った方が他の物も買えて便利だからだ。
だから、誰も買おうとしない……例えそれが安くとも……
そして、今日は寒い寒い冬の日で外を出歩くには危険な時であったのだ。
外に出歩く人達は大抵何かの用事がある人達である。
よって、少女に構っている暇などないのだ。
でも、なぜ、この少女がマッチ売りをしていたのか外で売らなければいけなかったのか?
それは生活のためである。
彼女は幼い頃に父母を病で亡くし、そして、母方の祖母と一緒に暮らしていたのだ。
暮らし向きは楽ではなかったがそれでも楽しい生活を送っていた。
お金持ちみたいなに派手な趣味などに親しんだことなどないけれど、祖母とて一緒に手編みのマフラーを編んだりしていた。
少女にとっては祖母と一緒にいるだけで何より幸せだったからだ。
だけど、今はもう既にここにはいない……
祖母の温もりがもう寒さとともに消えていた。
少女の祖母は先月亡くなった。
父母と同じ病で……
少女は祖母が死ぬ直前までずっと祖母の手を握っていた。
目には涙を浮かべながら……
「おばあちゃん!おばあちゃん!私を!私を置いていかないでよ!」
少女は叫びながら祖母に死なないでと訴えかける。
そんな少女に優しく手を置く少女の祖母、そこには病で苦しむ様子はなく、顔はまさに穏やかな表情をしながら少女にこういった。
「私は置いてはいかないよ。死んでもずっとそばで見守ってあげるから……だから、カレンや生きて生きて力強く生き抜いておくれ、生きることを諦めてはいけないよ……今は貧しくて大変な生活だけど、辛抱強く生きてれば必ずいいことがあるから……とにかくがむしゃらに生きるんだよ……」
少女の祖母は少女の頬に手を当ててそう言うと息を引き取った
「おばあちゃぁぁーん!」
少女は悲しみを声を大にして叫んだ。
少女の悲しみはこの日の一晩中続いた
そして、今に至るそれからは祖母がいなくなったことで生きる希望を失くし、住む家も払える額がなかったそして子供だからというそんな理不尽な理由で追い出された、少女の所持品は祖母と一緒に編んだ手編みのマフラーとマッチ棒だけだった。
なぜ、マッチ棒を持っていたのか?
それは少しでもお金を稼ぐために売り、食べ物を買ったりと生きるためのお金にしようと考えたからだ。
確かに希望はなくした。
だけど、 唯一の肉親である祖母から託された言葉を無下にはできなかった、無下にしたら祖母の最期にくれた優しさを踏みにじることになってしまう。
だから、少女はマッチを売ることになった。
例えそれが何であれ、彼女なりの生きようとする意志そのものであったからだ。
だから、この場を離れるわけにはいかなかったのだ。
この場は幸い人の出入りが多いところだったので少女はそこでずっと売っていた。
そして、今日の日も……
だが、現実など彼女の生きる意志を寒さの名の壁で立ちふさがろうとしていた。
そして、人々もまた少女のマッチを買おうともせずに通りすぎていくのだ。
時には唾をつけられたりもした。
だが、少女は責めなかった。
彼女は別にそれでもいいとこもっていたからだ。
彼女は生きた証を残したかったのだから……
だから、彼女は責めなかったのである。
そして、時刻は既に12時を下回っており、向かい側の家にはクリスマスを祝う装飾が施されていたのが少女の視界に映った。
「クリスマスか……そういえば、今日は一人で過ごすことになっちゃったな……」
そう一人つぶやく、だけどもう既にそこには誰も通ってはいなかった、通っても誰も聞こえないくらいの微かな声で
そして手を見るとかじかんだ手が氷のように固まっていた、ブルブル震えるのもなく、少女の体は何も感じなくなっていた。
だけどゆういつ感じたものそれは涙が流れる暖かな感触、それは次第に明白になっていき
「おばあちゃぁぁぁん、もう……いいよね?……私、頑張ったよ……、こんな寒い日も……負けずに頑張ったよ……だから、もう向こうに行ってもいいよね……おばあちゃん……」
少女はそう言うと今度は眠くなってきたのか横たわろうとした。
その時、突然上空から聞こえてくるベルの音が少女の耳に伝わった
やっとこれで空の向こうに行けるそう少女は思い、眠ろうとした。
そして、次第にベルの音は近づき止んだ。
目には見えないが少女は疑問に思った。
それはなぜか?
それは天使にしてはずっしりとしたソリを引く音そして気配からもわかる大柄な男と匂いからわかる動物の匂いに少女はまさか……サンタさん?ト自分自身を疑いながらも目を開ける。
目を開けた……すると、そこには
「メリークリスマス!」
そこにはサンタクロースが少女の前に立っていた。
「えっなっなんで……」
少女にはよくわからなかった、なぜ自分の前に現れたのか大した良い行いなんかもしてないのに……
少女は疑問に思い普通ならばはしゃぐところを少女ははしゃぎもせずに尋ねることにした。
「なっなんで私の……前に……」
寒さで口もまともに開かないながらも懸命に少女は口を動かして言った。
サンタクロースは寒さを感じさせない聞いてて落ち着くような温かみのある口調で答えた。
「あぁなぜ、君の前に現れたのかって?それはね……あれどこだったかな」
サンタクロースはポケットのに中をしばらくガサゴソさせて見つけたのか手紙を少女に読んで聞かせた。
「えぇー読むよ?コホン拝啓サンタクロース様、私の孫は幼い頃より父母を失くし、私と一緒に暮らしています。ですが、私は貧しかったためにプレゼントを買ってあげることができませんでした。それでもカレンはわがまま一つも言わずに私といることを幸せに思っていたように思いました。私はそれだけで幸せでした。だから、私はもう死んでしまったけれども、何かしてあげたいそのために私はカレンに生きる糧を与えたいそう思って手紙を出しました。ってさ」
それを聞くと少女は再びの涙を流す今度はあの空に行くための涙ではなく、生きるための涙を
そして、サンタクロースは袋を取り出して何かを見せる
「あっあのさ……」
サンタクロースは恥ずかしながら言う
「僕のアシスタントとして世界中に幸せを届ける仕事につかないかい?どうかな?……」
少女はひとしきりの涙を流しおわると笑顔でそしてこう言った。
「はい!」
バタン
少女は張り詰めた糸がほどけたように安心したのか倒れてしまう、そしてサンタクロースは慌てて介抱し毛布を着せてソリに乗せる
「いや〜早くしないとプレゼント全部届けるの間に合わないしなぁ〜うーんでも、まずはカレンを温かいところに連れて行かないとやばい!行け!トナカイハイアー!」
迷いながらもそう勇ましく言うとトナカイも勢いよく聖夜の彼方をかけはしっていた。
少女はその間、今はもういないおばあちゃんと一緒にクリスマスパーティーを夢の中で見ていたのだった。
「おばあちゃん、メリークリスマス!」
「メリークリスマス、カレン」
少女の口元には笑みがこぼれていた、それはそれはとても幸せそうに……