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老人ホームに就職したらロリババアたちのお世話をすることになりました 作者:利紺

キュリーの物語

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買い出し

ついこの間でテストが終わったかと思えばまたテスト。早いものですね......。

 「しかしてなぜあやつはこのような買い物を命じたのじゃか......」

 「天童さんらしい考えだと思うぞ。殺伐とした雰囲気になるよりいいじゃないか」

 「確かにそれに越したことはないじゃろうが」

 天童さんに買い物を頼まれた俺は、宿舎から少し離れた歓楽街にあるいくつかのコンビニを回っている。大して重いものではないが、袋にはもうパンパンに入れてあるのでいつ破けないか心配だ......。

 あとなぜかツバキがついてきているが、もうこいつは誰が何と言おうといつの間にか俺についてくるので突っ込むことをやめた。

 「本当にこのようなものでキュリーの心を晴らすことが出来るのかの? 親族に命を狙われていると知った傷はわらわでも共感しがたいぞ」

 「そりゃ俺だって共感できない。だけどあいつが悲しんでいるのは事実だろ? だったらそれを晴らすために何かしらするのが良いに決まってるだろ。これみたいに、ドカーンって」

 「な、なんじゃと!? こ、このような筒やら紙切れがそのような音をだすのか!?」

 「知らなかったのか。ん? 怖いのか?」

 「こ、怖くなんかあるわけなかろう!」

 どうやらツバキはただの紙切れだとか筒だと思っていたらしく、俺が音を表現したらプルプルと震えだした。こいつが音に弱いのは意外だな。

 「でも綺麗だからツバキも気に入ると思うぞ。だから怖がらなくても大丈夫だ」

 「そ、そうなのか......ならば楓を信じよう。しかしこれだけは言うておくぞ、わらわは怖がってない!」

 「はいはい」

 強がるツバキを軽くあしらって俺は次のコンビニに入る。あ、このコンビニにもちゃんと置いてある。さすが観光地の近くにあるコンビニだ。

 「だからどうして僕がお酒を買う事が許されないんだ! 僕はもう何千年も生きてる立派な爺だぞ!」

 「あーはいはいそうですねぼくー」

 ......おい待て。レジで小さな男の子が酒を買えないからってクレームを入れてるぞ。最近の子供は悪そびれた様子も見せないでお酒を買うのか。

 ん? 待て、あの声聞き覚えがあるぞ。それに姿も――

 「あ、おにーさん! こんなところで会うなんてなんたる偶然! せっかくだから僕の代わりにお酒を買っておくれ!」

 「だから俺は未成年だっての!!!」

 もめていたのは、俺が風呂場で出会ったムーの知り合いだというじじいだった。こいつ、自分の姿分かってるのか? しかも歳まで誤魔化そうとしていないし......。

 「と、とにかく出るぞ!」

 「え、ちょっと! 僕はチューハイも飲んでみたいのに!」

 「いい子だから黙れ!」

 このままこのコンビニにいたら色々とめんどくさそうな事になりそうだったので、俺はじじいを抱えてコンビニから出ていく。

 「な、なんじゃ楓。こやつは一体?」

 「ムーの知り合いらしい」

 「どうも! これからよろしくババア!」

 「っ!? のぉ楓。こやつに礼儀と言う物を教えてやってもええかの......?」

 「や、やめろ......今めんどうなことを起こすな......」

 人がいないところまで移動して、俺たちはようやく落ち着ける場所についた。だがこのじじい、余計な事にツバキを煽るようなことを......しかもいたずらがばれた子供のように舌を出しやがって。

 見た目が子供だから一瞬だけ仕方がないかと思ってしまった俺がいるのが恥ずかしい。

 「いやーほんとおにーさんには迷惑をかけたね。僕も反省したよ、次からはコンビニでお子様ビールを買うとしよう」

 「ぜひそうしてくれ」

 「でもおにーさんは一体何用でコンビニに来たんだい? その袋にはたくさんの花火が入ってるけど?」

 「お前は花火を知ってたのか。実はな......」

 ムーの知り合いだし、このたくさん買い占めた花火について話しても問題ないと思って今日までの事の顛末をジジイに話す。

 「へー......大変な事になっているね。だけどそんな中渦中にいる子を元気づけるために花火とは、実に沙織らしい。間違いなくその計画は成功するよ」

 「じゃろ! じゃろじゃろ!」

 どうしてかツバキが勝ち誇った顔をしている。お前は特に何もしてないだろ。

 「というわけで僕からも花火をプレゼントしようと思う。ほらこれ」

 「ん? ......おいこれマジな奴だろ」

 どうしてかジジイはどこからか打ち上げ花火を出して俺に渡してきた。まるで俺たちの状況を知っていたかのように。

 「沙織もムーに僕が渡したと言っておいてくれないかい? 沙織に関してはもっと好感度あげてお食事に行きたいし、ムーとはいつまで会えるか分からないからね」

 「え、それってどういう――」

 「それじゃまた会おう、おにーさん」

 ジジイが最後に言った言葉の意味を聞こうとしたが、その前にあいつはどこかに消えてしまった。それこそ本当に狐に包まれた気分と言えるだろう。

 「......また名前を聞いてないや」

 それにまた名前を聞きそびれてしまったことも、残念に思った。
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