9歩目 もっと拡大したいが今は無理、だったらどうするか
田畑を耕しながら新人達にやり方を教える日々が続く。
何せ完全な素人なので全く何も出来ない。
農業そのものがこの世界では完全な新技術なので見本もない。
全てが一からやらねばならない状態だった。
どうしても根気強く教えていく必要がある。
手間と面倒は一人でやっていた時以上になった。
人が増えれば楽が出来ると思っていたが、これは完全な誤算だった。
いや、手間がかかる事は分かっていた。
教えるというのが難しい事も。
しかし、知識として理解してるのと、実際にやってみて直面する問題と困難は簡単に比較出来るものではなかった。
予想以上に大変な事に、ヒロフミは天を仰ぎたくなった。
しかし、それでも教えてやり方を理解すれば楽が出来るようになる。
ヒロフミの目から見ればまだまだ不完全ではあるが、教えた事は忠実に実行してくれる。
その分だけヒロフミの手間も省け、他の事に時間を割けるようになる。
最初の二ヶ月三ヶ月ほどは大変だったが、多少は目処がつくようになった。
余裕が生まれれば考える時間も出来てくる。
その時間でこれから先の事を考えていった。
次に何をやるべきかを。
とりあえず畑はもう少し広げようと思った。
新たにやってきた二人を加えて仕事をしてるが、まだ余裕がある。
実験的な部分もあるので畑の広さはさほどでもないから、もう少し拡大しても十分にやっていける。
それに、すぐに使う事はなくても、少しずつ整地や整備をしていきたかった。
今の人口ではそれらを引き受ける事が出来る人間がいないが、これからは違う。
新たに生まれてきた子供達が成長した時に譲り渡せば良い。
十年以上先の事になるが、畑を作る労力を考えると早めに行動しておいた方が無難だった。
また、栽培する品種をもっと増やしていきたかった。
それを発見する為に探検にいく必要がある。
その為には、畑からの生産をとにかく高める必要があった。
自分が外に出ても困らないように。
これについても何年も先の事になると思っていた。
もしかしたら、子供に畑を任せられるようになってからかもしれない。
と同時に、どうしても確立しなければならない事があった。
規律である。
人がより集まって生活してる以上、どうしても規律は必要になる。
何をしたら悪いのか、悪い事をしたらどうなるのかを制定しなくてはならない。
その逆に、何をしたら褒め称えられるのかも決めておかねばならない。
今はまだヒロフミに従ってくれてるが、この先ずっとそうであるとは限らない。
ヒロフミが頂点に立つつもりもないが、得た利益を横取りされたくはない。
そのためにも、誰が何を持っていて、それを侵害してはいけないという所有の考え方をはっきりさせておきたかった。
また、自分も他人も尊ぶという事を規律を通してはっきりと確立したかった。
それが無ければ、無法地帯になってしまう。
(どうしたら良いかな……)
悩んでも答えはなかなか出てこない。
やむなく能力表を開き、技術を成長させる。
配下についた二人を教える事なども経験として勘定されてるようで、経験値の増加が早くなっている。
おかげで収穫まで間がある時期にレベルアップに必要な経験値に到達していた。
(じゃ、これを上げるか)
そう考えて技術を成長させる。
選んだのは『教養』
これでレベル2となった。
途端に様々な考えがまとまり、再構築されていく。
その上で様々な可能性を考え、成功しそうな方法を模索していく。
(そうすると、これでいった方がいいのかな)
出て来た答えをからヒロフミは最も成功率が高そうな手段を実行する事にした。
翌日。
家を出る前、畑についてから、昼の休みにと。
ヒロフミは手をあわせて祈り始めた。
「何をしてるんですか?」
最初は一緒に家にいる嫁から。
そして部下の二人から。
同じ質問をされてヒロフミは答えた。
「お願いと感謝をしてるんだ」
言われた者達は首をかしげた。
本日中にまた投稿したいと考えてる。
これを投稿してる時点ではまだ書いてる途中だけど。
出来るなら19:00や20:00に投稿したいと考えている。




