表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/57

8歩目 なんとびっくり、嫁取りとあいなった

「何ですかいったい」

 集団の長に呼び出されたヒロフミは、用件を尋ねた。

 畑の拡張や整備が終わっていたので余裕はあるが、わざわざ呼び出される理由が思いつかない。

 小さな集団なので、この中の最高位である長とも顔見知りではある。

 だが、重要な話し合いに呼び出されるほどではない。

(何の用だ?)

 そう思うのも無理はない。

 そんなヒロフミに長は思いも寄らない事を言い出した

「どうだ、嫁をとらないか?」

 言われたヨシフミは何を言われたのかを理解するのに時間をかけることとなった。



 当たり前と言えば当たり前だが、出来る奴にはさっさと結婚させようというのがおおかたの考えである。

 たいていは狩りが出来るやつだったり、力が強い奴だったり。

 この状況で生き残れる奴がそれにあたる。

 評価基準は簡単だ。

『食えるものをより多く持ってくる者』

 言い方を変えるなら、

『より多くの稼ぎをあげる者』

となるだろう。

 世知辛い話だが、おかれた環境は世知辛いどころではないから仕方ない。

(まあ、それもそうだろうけどさ)

 ヒロフミもそのあたりは理解をしている。

 かつての文明社会であっても、家族を養っていけない者が結婚しても破綻が待ってるだけだ。

 自分一人だけの食い扶持だけしか稼げないなら家庭を持ちようがない。

 ましてこの世界ではそう簡単に稼ぎ(食料)を増やす事が出来ない。

 生き残る才覚がかつての文明社会以上に求められる。

 言ってみれば、究極の能力至上主義である。

 格差社会の究極形態とも言える。

 ヒロフミはそこにあって、超優良物件なのだろう。

 何せ、稼ぎが他の者達に比べて頭何個も抜けている。

 さっさと嫁をとらせておこうという考えも頷ける。

 そうしなければならない切実な理由もあるのだから。



 一番の理由は、より多くの子供を産んで育てる事にある。

 死亡率が高い状況なので、子供はなるべく多く欲しいのだ。

 もちろん子供が可愛い、という素朴な、そして本能的で純真な想いもある。

 否定される事の無い要素である。

 しかし、子供がもたらす効能もまた大きい。

 要するに次世代の担い手である。

 今だけ良くても、次の世代が存在しなければ滅びる。

 誰もがそれは避けたいと願っている事である。

 また、もっと単純に労働力の確保という意味でも新しい命は必要なのだ。

 どうしても話が世知辛くなるが、新たな誕生がなければやがて確実に行き詰まる。

 それを打破するためにも、確実に稼げる者が家庭を持って家族を生み出して養わねばならない。

 特に狩りが主流な現状では、獲物を捕りに行った者が死ぬ可能性が非常に高い。

 そうなった場合に発生する損失の大きさを少しでも減らす為にも、次の世代になる子供がいないと困るのだ。

 全てが存続と滅亡のせめぎ合いの上で成り立っている。

 稼げる者が養っていかないとしょうがないのだ。

 本人の気持ちもあるだろうが、それ以前に生きるか死ぬかの二者択一がある。

 それを無視出来るわけもない。



「まあ、そういう事なら」

 事情を理解しているヒロフミも特に断る事は無い。

 そういう話が来たのならば受け入れる事もやぶさかではない。

 ただ、相手を多少は選びたかった。

 選択肢などほとんどないが。

「で、誰を嫁にとれと?」

「それがな、つがいのない女のほとんどがお前を指名している」

「はい?」

「その中からお前が『これぞ』と思った者を選ぶがよい

 あっさり言ってくれる長の声に、ヒロフミは再び呆然とした。

 まさかそんな事になってるとはおもってもいなかった。

(なんちゅう贅沢な事を)

 そう思わずにはいられない。

 それだけの成果をヒロフミはあげたのだ。



 そんなわけでヒロフミは嫁をめとる事となった。

 立候補してきた五人の中から一人を選び、夫婦となる。

 結婚とか式を挙げるといった考えがないので、顔合わせをしてから、

「これからよろしく」

「こちらこそ」

と言って終わりといったものだった。

 ただ、これでとにもかくにも所帯をもつ事となった。

 より大きな責任を負わねばならない。

 嫁となった女と、生まれてくる子供達の分である。

 おまけに長やその周辺からは、

「早く二人目の嫁をもらえ」

「三人目もがんばれよ」

などと言われる始末である。

 稼いでる奴がより多くを養うのが義務というような面がある。

 嫁を多くめとるのは推奨される事であった。

(やれやれ……)

 人のいない所でため息を吐く事が多くなる。

 だが、収穫の向上は望む所である。

 春が来て種まきが始まると同時に、今年の収穫を目指しての行動が始まっていった。

 たくさんのブックマークありがたい。

 書ける所までどんどん書いて行きたいもの。



 本日、更に続きを出す予定。

 次は18:00に公開するのでよろしく。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おまえら、教えやがれ
  ↓
  ↓
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/479725667.html

『ピクシブのブースを使ってるので、その事を伝えておかねば』
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/477601321.html

+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ