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5歩目 ようやく土を耕せる

(よしよし)

 技術の効果を探る為に周囲の草木を見渡していく。

 すぐにそれらの特性がある程度把握出来るようになった。

 食用になるかどうか、何かの材料になるかどうか。

 成長までに必要な期間と、栽培のために必要な条件など。

 全部が分かったわけではないが、おおまかな事は把握出来るようになった。

 何より必要な情報は手に入る。

 それで十分だった。



「お、あったあった」

 技術から得られた情報をもとに探していったら、存外早く見つかった。

 目的のものは結構多く生えており、採取は簡単にできた。

「助かるわ」

 そう言って生えていた大量の麻を手に入れた。

「これで縄が作れる」

 工作の技術がここに来て更に活きていく事になる。

 縄が作れればそれで制作出来る物の幅が拡がる。

 物を組み合わせる事が出来るようになる。

 これでようやく次の段階に移行する事が出来る。



 麻から縄を作り出したヒロフミは、それを用いて細めの木々を使って道具を作っていった。

 いぶかしがる他の者達を他所に、ひたすら道具を作り出していく。

 それが出来上がると水源にしてる川へと向かい、それを沈めた。

 木材で出来てるから基本的に沈みはしないのだが、それに石をくくりつけてどうにか川底に落とす。

 幅十メートル程度の小さな川なので、さほど深くもないのも助かった。

 それが出来上がると次の作業へとうつっていく。

 縄が出来上がった事でやれる事の範囲も拡がっている。

 適当な木の棒に、切断面を鋭くした石を結わい付け、斧としていく。

 それを用いて、適当な木材を切って言った。



 必要な数の木材を確保したところで、それらを縄で結って組んでいく。

 形はお世辞にもととのってるとは言い難いが、それでも必要な形にはなってくれた。

 そこに束ねた茅を葺いていき屋根とする。

 円錐の形に出来上がったそれ──竪穴式住居の完成である。

 これで住む場所の確保が出来るようになった。

 そうしてる間の食料調達は、川に沈めた道具でまかなっていった。

 かなり昔、一度だけテレビで見た漁具、ウケを使って。

 そうそう簡単に魚は獲れなかったが、一日中貼り付いてなくて良いのがありがたかった。

 安定というにはおぼつかないが、その第一歩が踏み出せた。

 あとはこのウケを大量に設置して、より多くの魚を獲れるようにすれば次の段階に進める。



(ようやくここまで来れたな)

 魚を手に入れ家を建てる。

 それにより定住がほぼ確定となってきた頃。

 新たに貯まった経験値で次の目標とする技術を手に入れる。

 並んでる技術から一つを選び、それのレベルを上げていく。

(ようやくだな)

 狙ってはいたが、なかなか届かなかったものである。

 安定した食糧確保のためにはどうしても必要だったが、手を回す余裕がなかったものでもある。

 それが今、ようやく手に入った。

 ここに来てようやく手に入れ、ヒロフミは次への一歩を踏み出せるようになった。

『農業』によって。



 栽培するべき作物はもう既に目星をつけてある。

 川から水を引き、簡単な水路も作った。

 非情に小さな畑であるが、一人で栽培する限度を考えると大きく場所を確保するわけにはいかない。

 また、畑にかかりきりにならなくてはならなくなる。

 種をまいてそれで終わるというわけにはいかない。

 収穫までの長い戦いがこれから始まっていく。

(人手が借りれればいんだけど)

 そうも思うが、今の段階では無理な話である。

 収穫が確実でなければ誰も手を貸さないだろう。

 だからこそ作物を手に入れるまでは一人でがんばらねばならない。

 幸い、魚の確保で信用や信頼は得ている。

 家という快適な空間を作り出した事も大きい。

 集団の他の者達は、

『何をやってるのか分からないが、また何かを作り出してくれるだろう』

と思ってくれている。

 だから変なちょっかいをかけてきたりはしない。

 そんな事をする者がいれば、他の者達が制裁を加える。

 食べるものを手に入れる確立をはねあげたヒロフミを無碍にするような輩はほとんどいない。

 それが、おこぼれ狙いの善意であったとしても、邪魔を排除してくれるのがありがたかった。

 反面、絶対に失敗が出来ないという事でもある。

 もし収穫がなければ、誰もが掌を返すだろう。

 十分にありえる事である。

 狩りや採取に出かける人間を一人減らす事になってるのだ。

 その分他の者達への負担が増している。

 新しい事を始めるのだから、失敗はどうしてもつきまとう。

 それは仕方が無い事である。

 しかし、それを理解出来る者がここにどれだけいるかが分からない。

 このあたり、そういった教訓がないとどうしようもないものがある。

(そういう事も伝えていかないといけないのかもなあ……)

 成功に至るまで様々な失敗を繰り返す。

 新しい挑戦とはそういうものだということを伝えていく。

 それが今までになかったものを手に入れていくための通過儀礼になる事を教えねばならないのかもしれない。

 もちろん、下手に新しい事に挑戦して今まで培ってきたものを否定するわけにもいかない。

 失敗も、なるべく他に影響が出ない範囲での小さな所に限定する努力は必要だろう。

(どうやって教えていくかな……)

 土を耕しながら、今後の事を考えていった。

 培った農業などの技術を受け継いでいく事も含めて。


 まだもうちょっとだけ続きを今日中に出したい。

 できれば21:00に。

 出なかったら、また明日という事で。

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おまえら、教えやがれ
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  ↓
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/479725667.html

『ピクシブのブースを使ってるので、その事を伝えておかねば』
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/477601321.html

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