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転生して異世界に指導者として出向くことになった  作者: よぎそーと
三章

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45歩目 目で見て手で取るまで認めないからやるしかない

 鉄と言っても砂鉄である。

 もちろん鉄だけが塊で存在してるわけではない。

 それが含まれてる岩を崩してそこから取り出していく事になる。

 やり方は会得した技術が教えてくれるから問題は無い。

 ただ、作るのに手間がかかりすぎる。

 一人では絶対に不可能だ。

 やってやれない事はないが、手間がかかりすぎる。

 何とか人を集めねばならない。

 とりあえず炭焼き小屋の人間から引き抜けそうな者を選んでいく。

 そして、必要な装置を作っていく。

 頭にあるものを形にするのは大変である。

 自分一人で作る事は困難きわまりないので、図面を引いて示していかねばならない。

 もちろん、いきなりそんな物を作ろうとしても無理である。

 協力を募る事がまず不可能だ。

 見た事もない物に出資したり手を貸すお人好しは少ない。

 なので、とりあえず小さな形の物を作り、鉄を取り出す事から始めた。

 目に見えた成果が必要なら、それを示さねばならない。

 そして、鉄の有用性を示す必要がある。

 一塊の鉄。

 まずはそこが目標になった。



 とはいえ、そんなものを簡単に作れるわけもない。

 準備だけで一年以上かかってしまった。

 そこから更に鉄を取り出すまでが一苦労。

 ようやく手に入れたのも、握り拳くらいの大きさにしかならない。

 相変わらず薬草探し(と木炭作り)を続行していたので、その合間にやらねばならず、手間は膨大なものとなっていた。

 その割に得られた成果はさしたるものでもないように思える。

 なのだが、たったこれだけの鉄の塊が今のヒロフミには必要だった。

 とりあえずこれを用いて斧を作る。

 ここに居る者達にとって最も必要でありがたみを理解してもらうのにうってつけだったからだ。

 おそらく人類初めての鉄斧を渡し、ヒロフミは成果の報告を待った。



 評判は一気にひろまった。

 鉄斧を使った者はその威力に驚愕し、一日で石斧以上の成果を簡単にあげてきた。

「凄いぞ、これ!」

 使用者の感想はその一言に尽きた。

 石斧以上の切れ味と、程よい重み、抜群の耐久性でもってたちまちのうちに伐採をしていける。

 おかげで他の者達とは比べ者にならない作業量をこなす事が出来た。

 当然それは他の者達も知る所となり、鉄斧を使わせろ、俺にもよこせと言い始める。

 それを聞いてヒロフミは、我が事成れりと喜んだ。

 成果が見えれば一気に流れは変わる。

 これで人を引き込むのが格段に楽になる。

 鉄の採取と、鉄製品の量産が出来るようになった。



 それからはあっという間に話が進んでいった。

 伐採作業から何人か抜いて砂鉄の採取にまわす事となった。

 当然ながら、集落の方には報せていない。

 言ってもすぐに成果が伝わる事もないと予想しての事だった。

 説明に時間をかけるのがもったいない。

 それよりも、今いる人数から可能な限り人を抜き出して作業をした方が早い。

 とりあえず数人で作業をして新たな鉄を得ていく。

 それを用いて鉄斧を量産。

 と言っても、数ヶ月がかりでようやく二つ三つの鉄斧を作るという程度であった。

 それでも今までより格段に早く作り終える事が出来た。

 その鉄斧を持った木こり達が為していく伐採速度は、石斧の数倍以上となっていった。

 何人か引き抜いても、鉄の産出に人を割り振った方が早い。

 それを見越して、ヒロフミは本格的な鉄の採取と抽出に乗り出していった。

 後から入ってくる木炭作りでやって来た者達も後押しをする。

 最初は木炭や伐採が仕事だと思っていた。ついでに薬草の探索が仕事だと思っていた後続達は面食らう。

 しかし、直に目にした鉄の威力を見て考え方を即座に改めた。

 人手の確保が可能となり、鉄の利用率が格段に上がる。

 大型の溶鉱炉(いわゆるタタラ方式)を建設し、本格的に鉄製品を作っていく。

 もちろん最初は斧だったが、すぐに木材を加工する為の工具にも用いていく。

 鋭く固い刃物の作業効率は格段に大きい。

 それらを用いて家屋などの作り方も変更していく。

 のこぎりやノミによって木材に穴を穿つのも難しく無くなった。

 木組み方式の建設が可能になり、今までより複雑で頑丈な作りの家も建設可能になる。

 それよる建築も行われていった。



 その鉄製品を集落にもたらすにあたり、いくつかの製品を作って持ち込む事とした。

 鍬に鋤に包丁に鍋。

 それと木工用の工具など。

 思いつく者は何でも作り、それを木炭と一緒に持ち込んだ。

 なお、持ち込むに当たって、始めて作った馬車を使った。

 始めて見る馬車に集落の者達は驚いた。

 更に、持ち込まれた鉄製の道具の便利さに驚愕する。

 加工された木材による建材も持ち込まれ、それによって建てられていく家にもびっくりした。

 とにかく大きな衝撃を受けたようだった。

 瞬く間にそれは集落全体に知られ、新たに作られた鉄製品を誰もが求めるようになった。

 ヒロフミはそれの採取の仕方や鉄の加工の仕方を、何一つ隠さずに集落全体に広めた。

 独占する事が出来れば大きな利益を得られるのは確かだが、それによって今後誰かが特権的に振る舞う可能性がある。

 そうなる事を危惧してのものだった。

 今後転生してきた時に、鉄を用いる事が出来ないのでは困る。

 それに、技術は程よく拡散されてもらわないと全体の発展につながらない。

 どこかの誰かが自分の利益確保の為に独占しては困る。

 その辺りの対策も考えていかねばならないと思った。

 ただ、今はまずこの便利な道具を出来るだけ行き渡らせる事を考えていく。

 あわせて、鉄によってもたらされる発展を考えていかねばならない。

 木材加工はこれまでとは比べものにならない程にはかどるようになる。

 それを見据えた発展を考えていく事になるだろう。

 また、馬車も既に出来上がってるので、移動・輸送も変わってくる。

 馬を始めとした家畜の利用も増えていく。

 探索探検の範囲も大幅に上がるはずである。



(とりあえず、これを神社に奉納しておくか)

 前世で作った信仰対象の社に技術を記した書物をおさめ、後の時代にもたらすようにしておく。

 もちろん一族の書く家にも分散させておくが、それだけだと心配だった。

 一族以外の者達にもそうだし、なにより信仰対象として中立の立場(という事にしてある)場所におさめて保険にする。

 信仰や宗教が力を持つ事も考えられるが、一応中立という建前にしてるのでそれを利用する事にした。

 ここに入れておけば、誰でも閲覧が可能になる。

 少なくともそういう建前にはなっている。

 また、宗教が変に固まらないように適当に分派させておく事も考えていく。

 今は無理でも、何らかの機会でやっておきたかった。

 確保しておきたかった技術はどうにか手に入れる事が出来て安心出来たが、それに伴った面倒も抱える事となる。

 いつの時代でもそうだったが、やはりここから逃れる事は出来そうにもない。

 上手く対策を考えていくしかなかった。



 とはいえ、今生にて手に入れた鉄で念願が一つかなう。

 加工できた木材によって作った風呂。

 それに入る事が出来るようになった。

 久しぶりにお湯に身を浸す気持ちよさを堪能出来た事が、この人生における最大の収穫だと思えた。

今後について、活動報告を書いてくつもりなのでよろしく。

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おまえら、教えやがれ
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http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/479725667.html

『ピクシブのブースを使ってるので、その事を伝えておかねば』
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/477601321.html

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