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転生して異世界に指導者として出向くことになった  作者: よぎそーと
三章

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41/57

41歩目 陰謀論のような気もするが

「なんか、色々あったな……」

 息を引き取り、意識を失い、再び目をさます。

 そしてやってくる死後の世界において、ヒロフミは終わったばかりの人生を振り返っていた。

 避けられない衝突を考えての準備で始まったそれは、最後は宗教の創始で幕を閉じた。

 凄まじい急展開に我が事ながらびっくりである。

 どうしてこうなったと思う程だった。

「終わったら、馬で探検にいくつもりだったんだけどなあ……」

「そうだったのか?」

 いつの間にかあらわれた造物主が意外そうな声をあげた。

「てっきり、あの集落を復活させるのかと思ってたけど」

「最初はそのつもりだったんだけどねえ……」

 その気持ちは集落で見た光景が叩きつぶしてくれた。

「あんな所で生活なんて無理だったわ」

「でも、結局あそこに住む事になったじゃない」

「まあね」

 それもそれで誤算だった。

 ヒロフミとしては、必要な時以外は集落にいて、葬式の時だけ神社にいくつもりだった。 

 しかし、なかなかそんな暇もなく、結局神社で寝泊まりするようになった。

 もちろん、神社が建立されるずっと前、植樹やなにやらで最初の集落が再開発される頃からである。

「あれは酷かったわ。

 墓場で寝起きするようなもんだったし」

 気分は最悪だった。

 しかし人間とは慣れるものである。

 だんだんと気味の悪さにも慣れ、そこで寝起きするのに抵抗がなくなった。

「一緒に生活する奴が出てきたのも予想外だったし」

 埋葬などの関係があるので、ある程度の人数は必要だった。

 最初は集落から手伝いに来てもらっていたが、そのうち神社で寝泊まりする者が出始めた。

 最後の頃には、そこで寝起きするようになっていた。

 植林作業もあったのでありがたかったが、それで良いのかと思ってしまった。

「結局、集落みたいになっちまったけど」

「まあ、終わり良ければって事にしよう」

「それでいいのかなあ……」

 どうにも納得しきれなかった。

 人がここに住むのは無理だろうと思っていただけに。

「まあ、嫁さんももらえたからいいけどさ」

 今後は宗教というか、祈りや教えを伝えていく役目になるだろう。

 想定外であるが、血筋を残せたのはありがたい。

 これでこの先の生まれ変わりでの幅が拡がる。

 意外な事も言われる。

「おかげでこちらとしても助かるよ」

 造物主がそんな事を言い出した。



「お祈りとかで世界に感謝とかしてくれると、その分こっちに力が流れてくるから」

「はい?」

「人とかが発展していく事でもこちらに力が流れてくるんだ。

 けど、世界に祈りを捧げてくれたりすると、もっと力が与えられるんだよね。

 だから、がんがん祈ってもらうとありがたい」

 造物主とはそういうものらしかった。

 作り出した世界への祈りで、人の気力などが流れ込むらしい。

 それを糧としていく事で、造物主も力を増すという。

「でも、それだと俺らの力が失われるんじゃないのか?」

「いや、生きてく上で気力の消耗とか回復はされるから。

 回してもらうのは、そういう時の余りだ。

 生命に関わるような部分までは取らないし取れないよ」

「ふーん」

 本当かどうか分からないが、それを今は信じる事にする。

「でも、それで力を得たとして、こっちに何か良いことあるの?」

「多少は助力が出来るかも。

 天候を変えたり、奇跡を起こしたり。

 消耗も激しいから、そう何度も出来ないけど」

 便利なのか不便なのか今一つ分からなかった。

 だが、何も無いよりはありがたい。

「じゃあ、今度から手助けお願いね。

 奇跡を信じてる」

「出来るだけ頑張るよ。

 君らが繁栄してくれれば、こっちも力を得やすいし」

 それに、と続ける。

「向こう側からの介入を防ぐ事も出来る」

 造物主としてはそちらの方がありがたいという。

「今回みたいな事が起こりにくくなるから、出来るだけ祈りを忘れないでいてほしい」

 むしろそちらのほうが重要なようだった。



 理由として、最初の集落で起こった出来事があげられる。

 あくどい事をして支払いを踏み倒し、相手のものを奪った出来事。

 あれも、外の世界からの影響があったという。

 直接けしかけたというわけではないが、そういう行動に出るように影響を与えてきたという。

 それほど大きなものではなかったので、効果は小さかったがそれでも影響を受けるものは出てしまった。

 おかげで今回のような損害が出たという。

「直接こっちに乗り込んで来ることは出来ないだろうけど、それくらいの事は出来るようだ」

「電波みたいなもんなのか?」

「それが一番分かりやすいかもね。

 受信しやすい、波長が近い者には影響が出やすい。

 あくどい事をした連中は、何かしら悪さを考えていたんだろうな」

 だから影響を受けやすかった、受信しやすかった。

 それで、今回の結果にいたっている。

「今後はそういう影響が出にくくなるようがんばるけど。

 でも、そのためにもお祈りを忘れずに」

 どうにも勧誘っぽい言い方が気になる。

 だが、とりあずそれを信じておくことにしようと思った。

 祈るだけならたいした手間でもない。

 それで何かしら見返りが得られるなら安いものだった。

 もっとも、次の人生で宗教活動でもしなければ、そちらを中心にがんばるというわけにもいかない。

 それはそれで大事なのだろうが、それよりも優先したい事がある。

 もうちょっと技術の部分を底上げして、生活水準を向上させておきたかった。

 まだまだ足りない部分が大きい。

 お祈りについては、それらをこなしながらとなってしまう。

 それでも、全体に少しずつ浸透してるからいずれはそれなりの効果も出るようになるだろう。

 まずはそれよりも、技術や産業方面をどうにかしたかった。

 今後の発展の為に、その発端となる部分をどうにかしたいと思った。

 他の誰の為でもない、自分自身のためにも。



 どうせこちらの世界で何度も生まれ変わる事になる。

 その度に石器時代の状態であるのは勘弁してもらいたかった。

 だが、黙っていても発展するわけもない。

 少しでも楽な、文明化された状態になるには、それなりの努力が必要になる。

 その為にも必要になる知識や技術などを作っていかねばならない。

 自然に出来上がるのを待っていても、いずれは誰かが発見や発明をしてくれるとは思う。

 だが、待ってるだけでは何時になるか分からない。

 少しでも楽をしたいなら、自分自身が動くしかない。

 どうにもならない他の者達の動きを待ってるだけではどうしようもない。

 ならば、最初のきっかけをヒロフミでどうにかするしかない。

 その後の発展などについては他の者に任せていく事も出来るが、最初の一歩はそう簡単にはいかない。

 既にあるものの改良改善と、全く何もない状態で閃くのは大きな違いがある。

 何もないところから何かを思いつくのは難しいし、思いついても形にするのも難しい。

 しかし、例え粗雑であろうと始まりとなる何かがあればそれをもとに考えていく事が出来る。

 最初の一歩というのはとても大事なものだ。

 それを与える事で、あとは他の者達の努力と奮闘に任せる事も出来る。

 現に今まで作り出してきたものは、他の者達によって用いられ、拡大していっている。

 幾らかの改良もなされてるものもある。

 何にせよ、もたらしたものが生活水準をあげている。

 そのおかげで集落は拡大し、必要な土台が出来上がりつつある。

 人口が増える事で余力が生まれ、新しい事を始めるのに必要な人員を確保出来る。

 それだけでもありがたかった。

 この先更なる発展を目指していける。



「じゃあ、もう一回頑張ってくる」

「ああ、頼んだよ」

 見送りの声を受けて、ヒロフミは次の人生へと向かっていく。

 ただ、赤子から始めるのは面倒ではある。

 やむをえない事だが、そこから十数年ほどの待機時間もある。

 できればこの部分を上手く省略出来ないものかと考えてしまう。

 無理なのは分かっているのだが。

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おまえら、教えやがれ
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  ↓
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/479725667.html

『ピクシブのブースを使ってるので、その事を伝えておかねば』
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/477601321.html

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