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転生して異世界に指導者として出向くことになった  作者: よぎそーと
二章

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19/57

19歩目 人も物も引っ張っていく

 記録を見ていて感じたのだが、それぞれの家で抱えてる人間が結構多い。

 次男三男といった男手で、余ってる者が何人か見受けられた。

 もちろん田畑の仕事で人手が必要なので何人かは確保しておかねばならない。

 だが、それでも手持ちぶさた気味の人間が何人か見受けられた。

 新たに田畑を作ろうにも、移動出来る限界まで拡大されてきたので、新規で作るのが難しい。

 作れない事はないが、それだと移動時間がかかりすぎる。

 そのため、新たな田畑を作るのに及び腰になっていた。

 しかしこのままというわけにもいかない。

 周囲を田畑や牧場で囲ってるために、町の拡張にも無理が生じてきている。

(新しく集落を作るしかないな)

 ヒロフミの至った結論はこれだった。



 今の集落から何人か引き抜き、新しい場所に集落を作る。

 遠くの田畑に出向いている者達や、余りがちな人手になってる者を連れて新規に開拓する。

 これなら周辺は新しい田畑だけとなる。

 移動時間をとられる事も無い。

 新たに開拓する手間はかかるが、それは新しい田畑を作るのも同じだ。

 ならば、移動時間を減らすためにも集落を新たに作る方が建設的に思えた。

 もちろん作るのは田畑だけではない。

 集落を作るのだから家も造らねばならない。

 それに建設中は他の事が出来ない。

 やるなら収穫を終えて種まきが始まるまでの間になる。

 また、畑を作るとなると更に一苦労だ。

 川から近いと言っても、そこから水路を引いてくるのだから相当な作業量になる。

 おそらく数年がかりの作業となるだろう。

 まともな収穫が得られるのは、それから更に先となる。

 だが、やるしかない。

 この先人口が増えていく事を考えれば、今のうちにやっておかねばならなかった。



「というわけで、新しい集落を作ろうと思います」

 まとめた考えを、まずは父親に提案してみた。

 息子からの提案にかなり驚いたようだが、その説明を聞いて納得はした。

 同時に、まだ子供だと思ってた息子がこんな提案をするという事にあらためて驚く。

 なお、ヒロフミこの時十一歳。

 さすがに仕事をおぼえては働きだす頃合いだが、集落の将来についての提案などを期待出来る年齢ではない。

 それをやった子供に、父は唖然呆然とした顔をし、それでいてヒロフミの顔から目が離せないでいた。

「いかがでしょうか?」

 そのままでは埒があかないと思ったヒロフミは父に問いかける。

 言われた父は、それでも呆然としていたが、

「検討する」

と答えた。

 本当に検討するかは分からないが、とりあえずこれで意見を伝える事が出来た。



 それだけではなく、手近な者達にも声をかけていく。

 将来部屋住みというか、家の仕事を手伝う事を余儀なくされそうな者達に。

 とうぜん田畑が集落から遠い者達の所にももちかける。

 大半は渋い顔をした。

 新しい畑は魅力的だが、新たに作るのが面倒なのも知っている。

 それだけにすぐに賛同する者はほとんどいなかった。

 もちろん例外的に諸手をあげて賛成する者もいる。

 今のままでは先がないと思ってる者ほどそれは顕著だった。

 何より、ヒロフミが言った事が一番大きい。

「集落を作って田畑を切り開けば、嫁ももらえるでしょう」

 それで目の色を変えたものもいる。

 嫁ももらうというのは、一人前と同義である。

 所帯を持ち、自分の家を構えるという事になる。

 長子相続を既に定めていただけに、次男三男にはそれが難しい。

 しかし、新たに切り開けばその可能性もある。

 そう聞いて奮起しないものはいなかった。

 移住希望者はこうして確保されていった。



 しかし、人がいるだけでもどうしようもない。

 必要となる道具なども用意しなくてはならない。

 運搬手段も。

 馬や牛がいれば良いのだが、あいにくと牧場にそれはいない。

 探しにいきたいところだが、捕獲するのが難しそうである。

 そこまでやってる余裕はないだろう。

 いずれ見つけて捕獲し、家畜として飼い慣らしていきたかったが。

(しょうがない。

 人力で運ぶか)

 せめて運搬が楽になるように運搬するための道具でもつくろうかと思った。

(担架みたいに、棒の間に板を渡したものでも作るか)

 本当は大八車のようなものを作りたいのだが、石器ではそこまで作る事はできない。

 鉄器が欲しいところだった。

 それも今後の課題である。

 今は手持ちでどうにかするしかない。

 何はともあれ資材集めに奔走しなければならない。

 田畑はともかく家を建造して行かねばならない。

 泊まり込みで作業する事にもなるだろうから、ある程度の家を建築する必要もある。

 その為の材料となると結構な漁が必要だ。

 必要な労力を考えると頭が痛くなる。

 最低限必要な数がそろうまでどれくらいの時間がかかるのかも考えてしまう。

(こりゃあ、本当に大事になるな)

 あらためて目の前の問題を考えて頭を抱えたくなった。

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おまえら、教えやがれ
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http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/479725667.html

『ピクシブのブースを使ってるので、その事を伝えておかねば』
http://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/477601321.html

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