12歩目 新たな嫁と、新たな命と、新たな展開と
そして収穫期である秋も深まり、冬がやってこようとしている。
新たに嫁をもらった二人と共に、更なる畑の拡張に勤しむ。
三人で手が出せる限界を知る為でもあるし、これから増加していく人口(主に三人の子供)に割り当てる為でもある。
もちろん三人だけでなく、他の家庭で生まれた子供達が参加しても良い。
現在、畑は常に拡張を目指している。
集団全体の人口増加も見込んで、今のうちに広げるだけ広げたいところだった。
食糧事情の改善も果たしていきたい。
特に一人当たりの栄養状態は確実によくしたかった。
今のままでは病気になった時の抵抗力すらも期待出来ない。
単なる風邪であっても、命を失う危険があった。
薬もないようなこの状況において、病気や怪我は死に直結する災難である。
それをどうにかするには文明を更に発展させていくしかない。
その為の土台作りを今やってる最中であった。
そんな中で、ヒロフミの家において色々な変化が起こっていった。
まず、新たな嫁を迎えるにあたり、家を一つ用意した。
同じ家に二人も嫁をかかえるわけにもいかない。
家が狭いのでこれは仕方が無い。
また、やはり嫁同士だと諍いが発生する。
仕切りも何もない家の中で顔を合わせ続けるのは問題が起こりやすい。
なのでどうしても家を新たに用意するしかなかった。
幸い、それだけの余裕は村にもあった。
畑からの収穫で、狩りにいかなくても食料は確保出来る。
それで余った人手を用いて家を造る事にした。
それも二軒。
もともとの家を加えれば三軒となる。
一件が新たな嫁のためのもので、もう一件がヒロフミ用のものである。
隣接して建設するので、実質的には部屋を増やしたようなものだった。。
こうでもしないとどちらかと一緒に時間が出来てしまい、もう一方の不満がたまる事になる。
それに、どうしてもこうしておかねばならない事情もあった。
第一夫人の方が出産を迎えようとしていたのだ。
子供の育成のためにも、変に騒々しくするわけにはいかない。
彼女が子供を育てるのに専念出来る環境を作る必要があった。
そんな準備を進める一方で、ようやくとりかかれる事があった。
土器の生産である。
今の状態だと、食料にしても水にしても、保存しておく手段がない。
調理らしい事も出来ず、野菜にしろ肉にしろ、火に直接あてて炙るしかない。
そこから少しでも脱却したかった。
幸い技術があるからある程度はどうにかなる。
畑の拡張をする傍ら、様々な形の土器を作っていく。
水を溜めておけるもの、肉などを入れておけるもの。
収穫した野菜を入れておくためのものなど、とにかく様々なものを作っていく。
それらによって水を補完する事が出来るようになり、生活水準は更に向上していった。
水を汲んでくる手間はかかるが、それでも一々川まで出向く必要がなくなる。
それが大きかった。
そして、その土器を使って産湯をつかわせる。
それすらもろくに出来なかった今までに比べれば大きな違いだった。
初めて生まれた自分の子供為だけではなかったが、こういう使い方もあるという事を周りに示す事にもなった。
煮沸消毒が出来るようにもなった事を示しもした。
衛生観念がほとんどない状況にそれを持ち込む事が出来た。
良くを言えば、風呂なども作りたいのだが、さすがにそこまでやる技術力がない。
それは何世代も先の事として今は諦めるしかなかった。
身近な所では、調理法に『煮る』が加わった。
焼く・炙るだけだったから、幅が大きく拡がる。
これで豆なども柔らかくして食べられるようになった。
(あとは、米だな)
元日本人としては、やはり外せない。
稲は既に見つけていたのだが、調理法が無かったので放置するしかなかった。
それに、農業としても田を作らねばならないので手間がかかる。
とりあえず今の人数ではどうにもならない。
せめて三倍五倍くらいの人間がいなければお話しにならないだろう。
ヒロフミがかなり改善をしているとはいえ、まだまだ足りない所が多い。
それを一つ一つ解決しいくにはまだまだ時間が必要だった。
そして、冬の畑作りの最中、ヒロフミは新たな技術を得ていく。
出来れば農業などの他の技術を上げたかったのだが、それよりも先にと思っていたものである。
それを身につけると、今度は開けた平野の一部を柵で囲い始めた。
その周囲には堀を作っておく。
動物からの襲撃対策である。
また、柵の内側にも段差をつけ、中から外に出られないようにしていく。
そこに、畑を狙ってやってきた動物を入れていく。
特にイノシシを。
これなら外に逃げ出す心配をほとんどしないで済む。
今までは捕らえたら食料にしていただけであるが、これからは違う。
『飼育』という新たな技術を用いて今度は牧畜を始めていくつもりだった。
さすがに今日はこれ以上無理だろうと思う。
続きは明日以降
19:00とか20:00あたりに出そうとは思ってる。
しかし、ここにファンタジーのようにモンスターとかを加えられればとか思ってしまう。




