桃園物語 第8話
The Peach Garden 第8話
( 命からがら守ってきた洛陽の銘茶。劉備の宝剣の行方を知るや否や、劉備母はすぐさまそれを叩き割ってしまう。その心はいかに?というところからの続き。)
劉備 ( 幼名 阿備 アビー)
は、母上、一体なぜ?なぜ?そんなことをしたのです?
母は目に一杯の涙を溜めて、
アビーや、わからぬか?わからぬか?この母の気持ちを?
劉備、
わ、わかりません、まったく、わかりません。アビーはまったくの愚物です。聞かせてください!わ、理由を教えてください、母上!
母上、
わ、私が、その小瓶を、割った理由、
それは、お前が簡単に形見の宝剣を手放したことが原因じゃ。
劉備、
あ、あれはだから、命の恩人の、れ、礼としてあげたのです。賊に襲われた時、アビーは死を覚悟しました。その時、ある大丈夫がこのアビーを救ってくれたのです。何かお礼をしなくては?と考え、宝剣を手放すことにしました。確かに父の形見ではありますが、僕は所詮農民なので不要の物だと思ったからです。
母
お黙りなさい!
母は、お前の母は、ご先祖様に申し訳ない気持ちでいっぱいです!
落ちぶれたとはいえ、我ら劉家は、もともとは漢王朝の血筋を受け継ぐ家柄。そして、あの宝剣はその繋がりを証明する唯一の物だったのです。それを、いとも簡単に人に譲り渡すとは、、?いかなることですか!!
劉備、
うぅ、しかし、ぜ、是非もない、、、
母、
是非もないではありません!我らは漢王朝の末裔。お前にはその帝王の血が流れているのですよ!その証拠たり得る剣を手放したということは、我ら劉家は本当に土民になりはてたも同然!剣を易々と手放すとは、お前はいつからそんな土民根性になってしもうたのじゃ!?
母はそう思うと、ご先祖様に申し訳なくて、申し訳なくて、悔しうて、悔しうて、、、
と、母はよよよと嗚咽してしまった。
劉備、
も、も、申し訳ありません!母上様!
アビーは、母がそのように考えていたことを、少しも、少しも、理解しておりませんでした。漢王朝の末裔たる劉家の唯一の証明である宝剣を手放したこと、アビーは万死に値します。ど、どうぞアビーを罰してください!いかなる罰をも受けましょう!
母、で、では、、、
とすると、母は劉備の尻を百度叩いた。
ビシっ、バシッ、ビシっ、バシッ、
劉備、
うぅ、痛い、、、
母上、
あ、アビーや、わかってくれたかえ?
劉備、
はい。この劉備、宝剣はあらずとも、王家の誇りを胸に秘め、これからは大儀をもって生きていく覚悟で御座いまする!!
そう聞くと、母は
母上、
お、おお、ア、アビーや、、ゆ、許してたもれ。百度尻を叩いたこと、これは本当の母の意思でないのじゃ、、。こ、これもひいては、お前のため、、お前の目を覚ますためにそうしたこと、なのじゃ、、母を、許してたもれ、、、
劉備、
わかっています、わかっています。これは仏の鞭というものです。おかげで目が覚めました!もう安心してください!
母の激により、劉備は失われていた漢王朝の誇りを、ついに取り戻した。
以来、劉備は、劉家再興のため、そして母のためにと、とりあえず必死に働いた、、。
そして、2年の月日が流れた、、。
というところで次回へ続きます。