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The Peach Garden 桃園物語  作者: Herniatedkun
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桃園物語 第4話

The Peach Garden 第4話


2世紀後半、後漢末期の大陸のお話。


御老人に助けられ、劉備、年頃の佳人を託され馬に乗って共に西南へと逃げるとこからの続き。




老人の指示通り、わけもわからず西南の方角へ向かってしばらくの間馬を走らせている劉備と佳人。とりあえず、よもやここまでは賊も簡単には来れまい、という処まで逃げ延びた。


劉備、

まぁ、まぁ、ここまで来れば、ひと安心でしょう!馬も少し休めないといけません。一先ず、どこかで休むと致しましょう。


劉備はジェントルマン風に言ったものの、、



実は馬中、劉備がいくら話しかけても、年頃の佳人は、まったく一言も喋らなかった。しかし、お嬢さんしっかり僕に捕まってて下さいね、落ちないようにね、などと言うと、一応はわかったような仕草もするので、言語は通じるらしい。


まぁ、ただ単に、恐怖に怯えているように見えたので、劉備もあまり必要以上には話しかけることはしなかった。


とりあえず、老人に言われたとおり西南の方角を目指し、安全な処まで、と馬を進めるのみであった。


しかしながら、もう随分とかなり遠いところまで来たように思える。


特にこれまでは危険な目にも合っていない。


それで気持ちは幾分かは緩み、ちょっと話してもいいのかな、とも思い、どこか落ち着けそうな場所を見て、少し馬を休めるからといい、休憩をとることにした。



劉備と佳人の会話。


劉備、

ところで、お嬢さん、、、あなたは一体何者なんですか?お名前は?おそらく只者ではないように見えまするが。


佳人、

( シー〜ん、、、、。沈黙。)

黙りこくったままで佳人は何も言わない。


劉備、

んーと、なぜあんな処へ隠れていたのです?また、あの御老人は一体何者だったんでしょうか?それから西南の方角には一体何があるんでしょうか??


佳人、

( シー〜ん、、、。またしても沈黙)まったくやはり何も言わない。ふいっと明後日の方角を見ているご様子である。



聞いているのか、いないのか、さすがにイライラしてきて劉備も少し語気を強めて言ってしまった。



劉備、

んー、そ、そうやってダンマリしていては、ぼ、僕は何もわからないですよ!


お、俺は、さっきのじいさんが言ったとおりに西南の方角へ向かっているんです!


でも、そこが本当に安全な場所なのか、僕には今この瞬間それすらもわからないんです!!


何故かって誰も僕に何も教えてくれないんですからねっ!!


ねぇ!ちゃんと聞いてるんですか?


耳があるんだから聞いてください!そして、口があるんだから答えてくださいヨ!


あなた何か知っているんでしょう!?




ついに劉備も感情が高ぶり大声を出してしまった。


とすると、佳人は


シっ!静かに! 声が大きい!


と、警戒するように小声で言った。



そして、


ココは危険!早くここから逃げましょう、と早口で続けて囁いた。


劉備、

はぁ、? ココが危険だって? こんなところ何もいやしないさ!


佳人、

あなたそんな大きな耳をして、何も聴こえないの?


皮肉を込めて言う感じだ。


劉備、

は?聴こえるって何が?

、、、ですかね?


佳人、

馬の音!それも複数!こっちへ向かってる!


カタコトのこと様に言う。劉備は見下されたように感じた。


劉備、

え?マジですか?


そう言われて、劉備も耳を澄ますと、


パッパカ、パッパカ、パッパカ、パッパカ、、、


どこからともなく、複数の馬が走る音が聴こえなくもない。


劉備、

う、うーん、むむむ、た、確かに、確かに聴こえるぞ。こっちに向かって来るようにも聴こえる。お、お嬢さん、さ、は、早くここを立ち去りましょう!


と、急にジェントルマン風に劉備は言ったが、もうすでに佳人は馬に乗っていて、劉備を置いていかんばかりの態度を示した。


佳人はいかにも何してるの!グズね!と言わんばかりである。


パッパカ、パッパカ、パッパカ、パッパカ、パッパカ、パッパカ、


後方から聴こえる馬が走る音が段々と大きくなるようだ。なかなかの数にも聴こえる。



や、ヤバい。ま、マジで追いつかれるかも、、


そ、それ行けや!行けや!!


劉備は折れんばかりに鞭で馬を打った!!



居たぞー!!あそこだ!!捕まえろーー!!


と、後方から雷鳴の如く怒鳴り声が聞こえた!


げーっ!!ま、マジでヤバい!!お嬢さん、しっかり捕まってて!!



逃げる二人。追いかける賊ども。必死に逃げる玄徳君だが、しかし、二者の間隔は次第に縮まるばかりである。


それもそのはず、農村出身である劉備は元々あんまり乗馬には慣れていない。また乗ってる馬も2ケツの状態であるばかりか、そもそも馬自体が弱り切った馬なので鈍足なワケである。賊にとっては追いつくのはそれほど難しくはなかったのである。


そんな訳で実は、劉備的には、遠くまで来たように思っていたが、実際は鈍足だったわけで、劉備が思っているよりかは、それほど遠く来たわけでもなかった。佳人はその事をすでに理解していたので、こいつスゴイ勘違い、と恐怖心と怒りが混じったような感情になり思わず黙り込んでいた、ように思われる。



はてさて、


ついに賊どもは弓矢を取り出し、射手しまえや、とばかりに後方から弓矢攻撃を仕掛けて来た!


ヒュ、ヒューン、と矢の雨が次から次へと後ろから降ってかかる。



グサッ!ついに放たれた一本の矢が劉備たちの馬の尻に命中し、駄馬はブヒヒーンと倒れ込んでしまった!


ドサッ!!


二人は馬から転げ落ちてしまった、、。


佳人は気絶しているようでピクリともしない。一方、玄徳の方は意識はあり、ぅぅう、と唸っていた。


そしてついに、賊ども数人に取り囲まれてしまったのである、、。


二人の運命やいかに、、?























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