桃園物語 第2話
The Peach Garden 第2話
山奥まで逃れた劉備玄徳。黄巾賊の悪口を思いっきり罵り、案の定賊に捕らえられた処からの続き。
結局、劉備の命は無事だった。
その時、黄巾賊は大量の宝物を略奪しており、そのあまりの大量の宝の運搬にホトホト困り果てていたところだったのである。
劉備はその略奪物の運搬係として生かされていた、というワケである。
トボトボ、
トボトボ、
と山道を歩く劉備と賊の一行。
一行は途中通りかかった古い山寺に一泊することと相成った。
( 一服中の賊どもと劉備の会話 )
賊、
そう言えば、お前さん名前は何て言うんだい?
劉備、
え?僕ですか?えー、僕は、劉備と言います。字名は玄徳です。
賊、
ふーん。
ところでお前さん、なかなかイイ奴だよな。
で、どうだい?
お前さん俺たちの仲間にならないか?
お前さんのその面構え、俺にはなにやら見所があるように思えるが。
劉備、
え?
僕がですか?
んー、いやー、どうなんでしょうね?
多分、僕みたいな臆病者は、賊なんてとても無理ですよ。
賊、
ん?何?ゾ、賊だと?お前は俺たちのことを賊だと言うのか?
オイコラ!馬鹿なことを言うな!!
劉備、
は?ぞ、賊ではないんですかぁ?どう見たって僕にはあなた方は賊にしか見えませんがね!
賊、
いやいや、違う違う。賊は賊でも俺たちは所謂ギゾクって奴さ。オマエは俺たち黄巾党のこと何も知らないのか?
劉備、
えぇまぁ。ずっと賊だと思ってましたんで。じゃあ、では、一体どこがどういう風に違うんですか?
賊、
全然違う!いいか!俺たちの黄巾党の教祖様である張角大先生のことを教えてやろう。
俺たちの偉大な張角先生はな、元々は小さい村で医者をやっていたんだ。先生はとにかく、スゴイ医者で先生に治せない病気なんて皆無だったと言う。なぜなら、先生は仙人の術使い奇跡を起こすとんでもないお方だからな!で、先生は今日の漢帝国の没落を即ち我々の時代になると見ておられる。曰く、蒼天滅び黄天起つ、だ!つまり俺たちは偉大なる黄天の子というわけさ。どうだ!分かったか?
お前さんも黄天の子にならぬか?
劉備
( 沈黙、、、。)
いやー、そのようなお誘いは嬉しいのですが、僕の村には年老いた母が一人でいるので、やっぱりお供するワケにはいきませんよ。
黄巾賊、
ふん、何をふざけた事を!
お前も二十歳超えたいい若者だろう?
いい歳こいて何が母さんが心配です、だ!!
いいから俺たちと一緒に来い!
俺たちと一緒なら宝だってこの通りジャリジャリ手に入れられるんだぜ!!
劉備、
んー、いやぁ、でも興味ないなぁ。宝なんて。いや本当に。
黄巾賊、
じゃあ、その刀は一体何だ?お前の腰にあるその高そうな宝剣は!なぜそんなもの持っているンダ⁉︎
劉備、
( ヤバっ! ) え?こ、これは、えーと、ち、父の形見ですよ。この刀を父と思って普段から持ち歩いんてるんです!
黄巾賊、
お前みたいな田舎臭いナリをしてる奴がそのような宝剣持ってるはずがないだろう!どうせ盗品かなんかだろう!?
え!?どうなんだ!?劉備クンよぉ?
劉備、
え?ま、まさか盗品だなんて。
えー、えっと、ぼ、僕は、じ、実は、漢王室の末裔でして、だからこれは先祖代々伝わる物なんですよ。いや本当に。
黄巾賊、
な、何!?オマエが、か漢王室の末裔だと!?
ふざけた事を!!いよいよ怪しい奴め!
ん、いや、待てよ。
さ、さてはお前は役人か?役人のスパイか!?い、生かしておけん‼︎
劉備、
ほ、本当です、ほ、本当に僕はか
、漢王室のマツエイ、、、
黄巾賊、
うるさい!ウサギ野郎こうしてやる!!
劉備、
ま、待って!あ、あぁん!痛いっ!
そして劉備は再び賊に捕縛され、明日ぶっ殺してやるからな!楽しみにしていろ!と捨て台詞を吐かれた上に、寺の講堂の柱にグルグルに縛り付けにされてしまった、、、。
劉備、
あぁ、僕は、ここで、こうして死ぬんだ。明日死ぬ運命なんだ、うぅ、どうして?し、死にたくたい。マ、マミィ、、、。と、しばらく涙に暮れた。
夜深い頃、なにやら物陰で怪しげな物音がするのに気づいた、、。
劉備の運命やいかに?次回へ続く。