桃園物語 第17話 桃園の誓い前夜 その2
桃園物語 第17話 桃園の誓い 前夜 その2
( 劉備邸にて )
まだ夜は長く、三人の話しは続いていた。
劉備が世の中について切々と訴えかける。
"お二方も知っての通り、今の世はまさに乱世。朝廷の権威はいよいよ地に落ち、官軍には、もはや力がない。各地方に義勇軍を募ってはいるが、力及ばずで、黄巾賊の害毒は日増しに大きくなるばかりだ。もし仮に黄賊を討伐しても、宦官により政治は乱れているので、また次の誰かが世を乱すであろう。そう、まさに群雄割拠の時代になる。今こそ、世を正す真の英雄が求められていると僕はずっと思っているのだ。"
"ウム!その通りだ!"と張飛が頷く。
関羽、
" 民を愛し、世を正すためなら、この関羽、命を捧げても惜しくはない!"
張飛、
"ああ!俺もやるぞ!劉備殿、雲長、三人で世を正しましょうぞ!!"
劉備、
"しかし、たかが三人、ここで集まっても、糸は紐にはならず。一体何ができるというのか、、、。"
関羽、
"まぁ、まぁ。二人とも、少し私の話を聞きなさい。
確かに、私たち三人がただ集まるだけでは、それは所詮、烏合の衆であり、徒党の集団である。だんご三兄弟と疑われても仕方がなかろう。
が、しかし、今我ら三人は、邪を憎み、民を愛し、世を正すという大義を持っている。三人がその志しを一つにすれば、それは直ちに軍となり得る。そして、軍には将軍が必要であり、武士とは君主に仕えるものだ。
そこで、劉備殿、王家の血を引くあなたに我々の将軍、君主となっていただきたいと思うのだが。"
張飛、
"おお!それはいい!大賛成だ!"
劉備、
"うーーん。そう言ってくれるのは嬉しいのだが、、、。"
張飛、
"なんともハッキリしないお方だなぁ。"
劉備、
"いや、まだ僕は、何一つ成し遂げていない。君主としての徳もなく、功もないのに将軍と言われるのは、やはり抵抗を感じる。"
張飛、関羽、
" うーーむ。"
劉備、
" では、こうするのはいかがです?我々三人で義兄弟の契りを交わす、というのは?僕を将軍、君主とするのは、これから先、徳を積み、功を挙げてからでも遅くはないでしょう。"
関羽、
" うむ。よろしい!張飛、お前は?"
張飛、
" 無論、異論はないっ!"
劉備、
" では、誓おう!家の近くに桃園がある。そこで、誓いを立てよう!今は花盛りだから、きっと素晴らしいでしょう!"
三人はそう約束し、そして眠りについた。