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27.思わぬ邂逅

 ミヤコが聞き耳を終え扉を閉めると、背後で引き戸が開く音がした。

 庭に面するガラス戸が豪快に開かれ、見知らぬ小さな少女が仁王立ちしていた。


「……誰?」


 歳の頃は小学生になり立てかもしくはもう少し幼いくらいか。

 てっぺんから毛先にかけて薄緑から濃い緑にグラデーションがかった珍しい髪色の少女だ。キラキラと光る瞳は新芽のような鮮やかな黄緑。


「あー!」


 少女が叫んだ。


「あああああああ! 知らない、人!」


 確かに初対面の少女にとってミヤコは知らない人で、ミヤコにとっても少女は知らない人だ。


「え、あ、えっと、はじめ、まして」


「はじめまして!」


 思わず挨拶するミヤコに、少女もぺこりと頭を下げる。


「あの」


「あの」


「はい」


「はい」


 まるっきり同じ言葉を返してくる少女に、ミヤコは気おされてしまう。


「……こだまかな?」


 自然現象の方では無く、山間にいるという妖怪を思い浮かべてミヤコは少女を警戒する。


「いいえケフィアです!」


「え?」


 ようやく反射以外を返したと思えばミヤコの知らない単語を元気よく口にする少女。しかしミヤコが驚き固まる様子を見て、不思議そうに首をかしげる。

 思った反応では無かったのだろうが、そのケフィアとかいう言葉でミヤコのどんな反応を引き出したかったのか、当のミヤコにはまるで分らなかった。


 何なのだろうか、この説明もしようのない状況は。まるで言葉が通じない。

 そこまで考えて、つい先ほどのユカリたちの会話が思い出される。

 対話のできない幼い少女、この少女こそがミクなのかもしれない。


 答え合わせはすぐにできた。


「ミクちゃん走り出してどうしたの? あれ?」


 ミクが全開にした引き戸からフワフワとした髪の青年が覗き込んできた。

 まるで花のようなパープルピンクの髪と苺のように赤い瞳の、どことなく甘い雰囲気のある青年だ。

 顔立ちとしては垂れ目がちなユカリとちょっと目元が似ているかもしれない。

 成人男性の平均よりは高いかも知れないが、肉月は特に良いとも言えない、夏だというのに少し不健康な白い顔をしている。

 温室で丁寧育てた蘭の花。そんな印象の青年だ。


「あ、えっと、はじめ、まして」


 とっさにミヤコが挨拶をすると、青年もにこりと温和そうな笑みを浮かべて挨拶を返す。


「ああ初めまして。黒江躑躅です。よろしくね」


 ツツジに名乗られ自分が名乗って無い事に気が付いたミヤコは急いで名乗る

本日の更新はこれだけ。

明日以降も一日一回以上の更新を目指します。

良ければお付き合いください。


豪雨の被害に遭われた皆様が一日でも早く元の生活に戻れるよう願ってます。

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