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111.お買い物の恐怖

タイトルを少し変更しました。

だいたい自分が一日で読んでしまえる分くらいの文章量になったので、以前から考えていたタイトルの見直し、タグ付けの見直しを行いました。


読書時間がバグってるのは私の仕様です。睡眠時間が溶けます。良い子は真似してはいけません。ダイレクトに心身に悪影響が出ます。

 取り分けて食べるように大皿に盛られていたチャーハンやピラフも、全てそれぞれの取り皿の上。

 それぞれが自分の分を食べてしまえばごちそうさまの挨拶をするという頃。

 コハナは自分のスマホを取り出し時間を確認すると、ツバキに問う。


「夕飯の材料階に行くことを考えると、お昼ご飯食べてすぐがいいかな?」


「そうだね。たぶんサツキ兄さんもアセビ君も普通に家で食べるだろうし、作る時間考えると結構すぐがいいかも」


 ツバキもコハナのスマホの時間表示を確認し頷く。


「どこまで行くんですか?」


 自分の運動代りの外出なのだから、聞く権利はあると思うと、ミヤコが口を挟む。


「ゆめタウンだね」


 ミヤコの必要な物を買いに行った大型店舗のようだ。

 確かにあの建物内だったら少しは歩き回れそうかもと、ミヤコも納得する。


 ただ、前に行った時は生鮮食品を売っている場所には一回も足を踏み入れていなかった。


「……あの、夕飯って何を作るんですか?」


 夕飯の主導権はコハナが持っているらしく、幾つかの料理と条件を挙げていく。


「一応……今日はミクちゃんのリクエストでオムライスとハヤシライス。人参と玉ねぎはある。ミクちゃんが好きなひよこ豆を入れるとして、そっちもパックのが在庫あるでしょ。それとオムライスの方は、ミックスベジタブルの冷凍のでいいよね? ハヤシライスのルーが無かったからそれは買うとして」


 コハナの確認に、ツバキは大丈夫だと頷く。


「ただ炭水化物多目になるし、もう少し野菜をどうするかって考えて、サラダだけだと冷たい物食べ過ぎてお腹緩くなっちゃうし、温野菜のサラダにするべきかな? ってね。 あ、でもこの時期なら夏野菜を油通ししてドレッシングでもいいかもなあ」


 揚げ物をするならせっかくなのでもっと作ろうとツバキが提案する。


「あ、いいね。じゃあ魚のフリッターも作ろっか。あと冷凍のソイナゲットも一緒に揚げよう。サツキ兄さんはたんぱく質が足りないってよく言うし」


「ソイナゲットも一緒!」


 ツバキの提案にミクが反応した。それだけでメニューとしては決定事項になるらしい。

 揚げ物は大変なんだけどなと、少し苦笑しながらも、コハナも否定はしない。


「フリッターかあ。だったら良さげなタコが有ったらいいんだけど、そういうのは実際見せで確認かな」


「そうだね」


 温度と食材の栄養価を考えつつも、量を作ることを重視して、そして幼子と大の大人を満足させるメニューにする。

 条件を考えるとなかなかに大変そうだ。


 ミヤコは他人事のように呟く。


「食べる量多いと、そういうのも考えるんですね」


「そうなんだよ。ちょっと考えないで好きな物ばっかり食べさせると、栄養の偏りもあるし……今日もまた大荷物になりそうかな」


 食材の購入量を考えて、コハナがちょっとだけため息を吐く。

 エンゲル係数はいかほどかと、完全他人事気分でいたミヤコに、コハナが顔を向ける。


「そういわけで、荷物持ち、お願いします」


「あ、はい、頑張ります」


 まさかの飛び火に、ミヤコはこくこくとうなずいた。


 昼食が終わっていざゆめタウンに行ってみると、そこにはミヤコの知ってる食材から知らない食材迄とりどりに並ぶ見たことの無い世界だった。

 何のことはない大型店舗の生鮮食品コーナーは、ミヤコのにとっての初めてがいっぱいだった。


 男爵芋とメインクーン、ナスとアカナスのような、同じ野菜のように見えて何かが違う野菜が売られていたり、何故か生鮮食品のコーナーで香ばしい焼き芋が売られていたり、聞いたことも無い謎の曲がずっと流れていたりで、ミヤコの目と鼻と耳は情報の洪水に呑まれていた。


 そして外気温との差がすさまじい。

 少なくとも十度は違う温度に、ミヤコは風邪をひいてしまうのではと思った。


 また夏の熊本は果物が多いこと多い事。

 スイカ、メロン、桃、パインなどの一般的に夏が旬とされる果物はもちろんの事、ハニーローザやマンゴーやシャインマスカットと言ったミヤコがあまり見たことの無い果物もあり、カラフルだし匂いも芳醇。

 さらに夏野菜と括っていいのか、大量の赤紫蘇やバジルなどの夏のハーブの匂いもすさまじかった。

 これらだけでも今まで知らなかった情報の整理に脳が追い付かなず、ミヤコは混乱していたが、それでもしばらくは買い物に勤しむツバキとコハナの後ろについて回った。


 しかし、魚や肉のコーナーでは「さかなさかなさかなー」「おにくおにくおにくおにくたべよーおー」と、エンドレスで流れる謎の曲に、ミヤコは思わず耳を塞いでしまう。

 これは何かの洗脳では無いのだろうかと、真剣に悩んでしまうミヤコに、ツバキとコハナは少し慌てて、ミヤコは入り近くのベンチで待っているように言うしかなかった。


 少し離れ、一息ついてようやく、ミヤコは自分の異能を押さえるよう意識すればよかったと思い至る。

 無意識のうちに拾い上げる情報が多すぎると、こんなにも混乱してしまうとは思っても見なかった。


 見知らぬ情報を大量に得て物を考え過ぎたのか、妙に頭の芯が熱かった。


 文具や靴とかであれば、興味対象から外すのは簡単だった。しかし野菜や果物となると、食欲という本能に直結した部分が刺激されるからか、取り込む情報の制御が難しいと感じていた。


「……前に来た時も、結構うるさかったのに、生鮮食品の売り場はもっとすごいとか……怖い」


 ちょっと買い物恐怖症になりそうなミヤコだった。

熊本の、ナスは、美味しいよ?

赤ナス、美味しい、よ?

私のお勧めは大長ナスです。長いです。三十センチ物差しじゃあ長さが足りません。

明雄さんも大満足の大長ナス、大長ナスに清き一票を!

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