番外編 レオンのぼやき
◇◇◇
最近レオンには、とある悩みがあった。
「イザベル、今日は天気がいいからピクニックに行かないか?」
「良いわね。レオンも一緒にどう?」
「行くわけないだろっ!」
カールとイザベルはすっかり公認カップルなのだが、どうもイザベルは、独身のレオンに遠慮して再婚を躊躇っているらしい。
子どもたちが独立するまでは、子どもたちだけの母親でいたい。
そうしたイザベルの願いをカールも尊重しているらしいのだが、正直肩身が狭い。
レオンとて立派な成人男子である。別に母さまが元気で楽しく暮らしているなら、誰と再婚しようが一向に構わない。
まぁ、変な男だったら全力で止めると思うが、正直カールはレオンから見ても、頼りがいのあるいい男だ。
カールの実家の侯爵家も、子持ちの未亡人とはいえ、今をときめく大聖女の母であるイザベルを、邪険にはしないだろう。
(まったくもう……さっさと嫁にいけばいいのに)
カールは次男のため実家の侯爵家は継げないが、度重なる功績が称えられ、新たに子爵位を賜っている。騎士団長としても活躍しているし、なんなら聖剣の勇者とか呼ばれ始めている。
イザベルもカールもまだまだ若いし、二人が結ばれれば、そのうち弟や妹が生まれるかもしれない。
◇◇◇
「と思うんだけど、姉さまはどう思う?」
取り敢えず姉の意見も聞いてみようと、レオンは王宮に足を向けた。
「えー、びっくり。カール様と母さまが、付き合ってるなんて。知らなかったわ」
相変わらずの鈍さにこっちがびっくりする。
「見てれば分かるだろ?どこに行くにも二人でイチャイチャしてるんだから。正直鬱陶しいから早く結婚でもなんでもして欲しいと思ってるんだけど」
「なんで結婚しないのかしら?」
「そりゃあ、僕たちに遠慮があるんじゃないの?」
「私は大賛成よ!カールさんはとっても優しい良い人だし、お父様みたいだなって思ってたの」
「まぁ、母さまの相手として、申し分ないよね。母さまはまだまだ若いしさ」
「ええ。母さまにも幸せになってもらいたいわ」
テレサがにっこりと微笑む先には、寄り添うように座りながら微笑み返すユリウスの姿が。
こっちもこっちで、かなり鬱陶しい。
「……王太子殿下もずいぶんお暇なようですが、公務はどうされたんですか?」
「午前中に全て終わらせてきたよ。午後はテレサと過ごそうと思って」
「一緒に遠駆けに行く予定なの。レオンもどう?」
「……遠慮しとくよ。馬に蹴られたくないからね」
「まあ、おかしなレオン。王宮の馬はみんな、とてもいい子だもの。レオンを蹴ったりしないわ」
「……はいはい。また来るよ」
なんだかちょっと、寂しくなってきた。
「僕もそろそろ、恋人探そうかなぁ」
おしまい




