第20話 私が「 」になるまで
最終話です
待ち合わせの30分前に着いた。けど、流石にまだいないよな。
あれ、花奏いた。あれ、華燐は?
「なんで華燐ドタキャンするのかな〜。私1人だと風華に煽られるだけなのに。あいつ性格悪いし。煽られたら殴ろう」
なんか言ってんな。私が後ろにいるのにも関わらず悪口を言うなんて。
「おはよう。後ろにいる人の悪口をよく言えるね」
「風華おはよう。殴らないから安心してね」
「花奏、私ね先週の金曜日殴られて、殴り返しているから、同じクラスの人を」
花奏の顔が引き攣っている。
「大丈夫、花奏のことは殴らないから。とりあえず家に行こうか」
私は馬鹿を連れて家に向かった。
「そこのテーブルに手を洗ってから座って。コーヒーと紅茶、どっちがいい?」
「私は紅茶がいい」
「りょーかい」
さて紅茶を淹れるのは得意なので張り切ってやってこうかな。
「ストレート・レモン・ミルクどれがいい?あと、ホットでいいよね」
私アイスは受け付けませんので。
「私はストレートで。ホットは妥協してあげる」
何この子。生意気だね。
「ストレートね。あとね、今手元に包丁があるんだよね」
「ごめんなさい」
まったく。手のひらを返すのが早いんだから。包丁投げる気はなかったけれど、私の印象悪くなったかな。
「単刀直入にいいます。私、好きな人ができました」
「えっ⁈」
花奏は一言だけ発して黙ってしまった。響くのは私がカップを置く音だけだ。
「どうしたの黙ってしまって。いつもはあんなにうるさいのに」
「ごめん。あと、一言余計」
「まあ、いつもうるさいは冗談だけどね。そういえば、なんで華燐いないの?」
「ちょっと待って、情報量が多すぎる」
処理能力が低い。
「まず最初に、何故華燐はいないの?」
「華燐は親と出掛けに行くことになったらしい」
「なるほどね。確かに、家族との時間は大切にすべきだからね」
私ももう少しは家族との関わりを大切にすればよかったな。
「あんたが言うと説得感が強いな」
「私は後悔した側の人間だからね」
「なんかごめん」
やっぱり花奏は優しいな。
「別に気にして無いからいいよ。で、次に私は好きな人ができました」
「えっと、おめでとう」
反応が悪いね。
「そのことで相談なんだけど、私はこのあとどうすればいいの?」
「普通に、デート誘ったり、告白するなりなんなりすればいいんと思う」
なんか適当じゃない。
「花奏って、中3の時彼氏いたよね。それの時はどうだったの?」
「私は告白されて、なんとなくでokしたからな。1ヶ月で別れたし」
うん?初耳だぞ。
「そうだったんだ。まあ、どうでもいいけど」
「おい!」
「私の状況は普通ではないんだよね」
「どう言うこと?」
「私実はその人のこと1回振ったんだよね」
そう、ここが1番の難点。これのせいでどうすればいいかわからないんだよね。
「ちなみに聞くけど,振ったのはいつ頃?」
「えっと、2週間くらい前」
「えっ、2週間で何があった?」
なんかあったかな?
「うんとね。あー、告白されてから色々と意識してしまいましてね、先週末に勉強会をしまして、その時にふと好きという感情が浮かび上がってきた」
うん、簡潔にいうとこんなもんだね。我ながら意味わからないと思う。
「なるほどね。事情は分かった。貴方が私に相談するってことは罪悪感とか、良心が痛んだりしているんでしょ」
「流石だな花奏は。正解。私はこの前振ったことに対する罪悪感と、一度振った相手を好きになるのはどうなんだという理性がある」
やはり、告白はしないで心の奥底に沈めるべきなのかな。わからない。こんなことになったのは初めてだから。
「貴方はその彼のことが好きなんだよね」
「うん」
即答。自分でも驚いている。こんなに即答できるだなんて。
「もし彼が他の人と付き合って幸せになっていたら貴方はどう思うの?」
瑞稀が他の女と一緒にいるか。
「それで彼が幸せなら喜ばしいし、祝福したいと思っている。しかし、感情がそれを許さない。どうしても、心のどこかで私が幸せにしたいと思っている」
「なるほどね。それほどに彼のことが好きなのね。私にできることは相談を聞いてアドバイスをあげることしかできない。だから、その後の選択は貴方次第。貴方が彼に告白しても、理性に従って友達?かどうかは知らないけど、今の関係のままにしたとしても、私は貴方の行動を肯定するよ」
やばい、泣きそう。
「私はいい友人に恵まれたようだ。ありがとう花奏。やはり貴方に相談してよかったよ。決心できたよ。だけど、答えはまた今度教えてあげる」
「今教えないのが風華らしいよ。じゃあ、相談も終わったようだし、風華のご飯を久しぶりに食べたい」
「分かった。私の独断と偏見で作るから、文句は受け付けません。そのあとは、ゲームでもしよ」
「そうだね。私、6ボールパズル強いからね」
ほうほう、それは私の得意分野。
「いいだろう。私も全力で相手してあげるよ」
「望むところだ!」
そんな感じで、私たちの戦争は始まった。
私の行動を肯定するか。花奏はやっぱり優しい人だ。
一見すると考えるのをやめたように見えるが、私にとってはそれが丁度いい。八重もそうだけど、このような友人は重宝すべきだ。
だから、私は八重や花奏、華燐、他の元チームメイトは好きだ。
そんなことよりも、瑞稀とはどうするか。私は嘘をつくのが得意だから、隠し通すことは出来るだろう。しかし、感情がそれを許さない。
なら、答えは出たようなもんだ。月曜日の放課後でいいかな、瑞稀を呼び出す。
それなら、まず瑞稀に連絡をしなくては。
『月曜日の放課後少し時間を貰ってもいいですか?』
これでいい。瑞稀は善人だから断らないだろう。
私の予想は的中した。
『特に予定が無いから大丈夫だよ』
私が連絡してから10分後に向こうから返事が来た。
やはり彼は断るという選択肢はないらしい。
遂に決戦の日が来た。なので今日は気合を入れるために、前髪をあけだのだ。
バスケをしている時すら少し視界が狭いのに、全開にした今、とにかく視野が広い。
多分この状態でバスケしたらアシストの数が凄くなってしまうと思う。
さて、そろそろ家を出ますか。
緊張のせいかわからないけど、とにかく時間が過ぎるのが早い。
試合前ですら、私は緊張したことない。他のメンバーは緊張しているのに、私だけ笑っていることすらあった。コーチにも緊張感が欠如していると言われたこともある。
そんな私ですら緊張している。
やっぱり言うのやめようかな。いやでもここまで来て辞めるのは良くない。私は心の中でそんな葛藤をずっと繰り広げていた。
放課後が来てしまった。場所はこの前瑞稀が告白してくれた場所だ。
瑞稀はもう来ているかな?来てるかもしれないから私も早く行かないと。
正直に言うと、とても逃げたい気分だ。しかし、それだと瑞稀の時間を無駄にしてしまう。
逃げちゃ駄目だ、逃げちゃ駄目だ!
瑞稀はもうそこにいた。
「お待たせしました。遅くなってしまいごめんなさい」
「僕も今来たところだから大丈夫だよ」
あー、やはり瑞稀は優しいな。
「私は瑞稀に言いたいことがあります。あの」
ここまで来たんだ。もう引き返せない。
「 」
私がそう口にすると、彼は泣いていた。
遂に最終話を迎えました。
最後まで読んでくださりありがとうございました。
この作品が面白いと思った方は感想などをよろしくお願いします。
次も恋愛小説を書く予定なので、そちらも読んでくださると幸いです。
次の物語は結婚くらいまで行く予定です。




