第2話 ぬるま湯に使った日常って存在するのかな?
さて今日は誰を観察しようかな。騒がしい教室の中、私だけは隅で独りでそんなことを考えていた。でも少し陽キャの会話が気になるな。どうしよう。聞きたい。でも盗み聞きは良くない。でも大きい声で喋っている方が悪いよね。私は悪くない、悪くない、悪くない。よし、じゃあ聞くか。
「みんなおはよう」
「おはよう、瑞稀。聞いてくれよ、昨日の放課後名前も知らないやつ振ったら、何故かカウンター喰らったんだけど。助けて〜」
「え、そうなの。どんまい?」
「なんで疑問形なの?」
「なんでだろうね」
あははは
とこんな感じだ。なんであの会話だけで笑いが起きるのだ。陰キャの私には到底理解できぬ。何故だ。陽キャと陰キャでこんなにも違うんだ。これがコミ力お化けとコミ障の違いか。朝から格のちがいを見せつけやがって。と私は憤慨していた。独りで・・・。私ってなんて悲しい生物なのだろうか。はぁ。
「おーい、風華大丈夫。表情変化しすぎてキモいよ」
「人の顔をキモいと言うな」
「いや、本当のことだから。顔だけ情緒不安定だったよ」
「なんだよ顔だけって」
「動画撮っておけばよかった。見せてあげたかったよ」
「ぜっていにやめろよ」
「覚えてたら」
「覚えてないやつのセリフだよそれ。はぁ」
紹介しよう。彼女は伊達八重バリバリ陽キャだ。成績は優秀。まあ私の方が上だけどね!"ドヤッ"スポーツ万能のバレー部所属。そしてエースだ。さらに容姿も最強で顔小さいし足も長い。でも私の方が顔小さくてあしも長いんだよね。座高は彼女の方が高い。本日二度目の"ドヤッ" でも顔面偏差値は天と地の差。やばい。女子の私から見てもめっちゃ可愛い。飼いたい。持って帰って一緒に寝たいくらい。一度断られました。しかも結構引かれた。彼氏はもちろんいます。中学の時から付き合っているらしい。この話はさておき、そんな彼女が私と一緒にいる理由はなんと入学してから一週間たったあの日まで遡ります。
入学してから一週間経った。どうやら私は友達作りに失敗したらしい。周りはある程度のグループが形成されている。はやくない?なんで一週間でできるの。ラノベの主人公でよくある展開が私にも起きた。もしかして私主人公になれてしまうのでは?いやないか。
「ねえ、きみ名前なんていうの?」
えっ、こんな私に話しかけてくれる人がいるなんて。誰だ。そう思い顔を上げると天使がいた。そう彼女は入学初日にしてこの学校のアイドルとなった伊達八重だ。なんで私なんかに話しかけてくれたのだろう。やばい返事しなきゃ。あ〜頭が真っ白になる。
「えっと、な、名前は小雪風華です」
「へえ〜風華って言うんだ。あたしは伊達八重だよ。よろしくね」
「よ、よろしくお願いします」
やばい、会話会話しなきゃ。言葉が出ない。
「その本面白いよね」
「え、知ってるの?」
「うん」
これが私と八重の出会いである。私コミ障すぎない。思い返すだけで恥ずかしい。話は戻して、八重はこう見えて結構オタクだ。つまり私と同類。なのになんでこんなに違うんだ。それから私たちは毎日話すようになった。
「佐藤が振ったて人誰だろうね?」
「へえ〜あの人佐藤って人なんだ」
「知らなかったの」
「うん。興味ないし」
「いや、2ヶ月も経ったら普通全員の名前覚えられるでしょ」
「無理無理。覚えるだけ無駄だろ」
「じゃあ、東條くんは知ってる?」
「あ〜あのキラキラしてる人だよね」
「そだよ。あの人イケメンだよね。好みじゃないけど」
「まあ八重彼氏いるもんね」
「そうそう。あたし彼氏と3年も付き合っているしね。ほんと可愛いよ。あ、ちなみに私の彼氏は隣のクラスの水瀬くんね」
「東條くんと並んでイケメンと言われている彼ね」
「そうそれ。あたしがいるのによく告白されているから困っているんだよね」
「じゃあ一緒に帰ればいいじゃん」
「いつも帰っているよ」
「そなの?」
「そなの」
クソが非リアの私の前で惚気話をしやがって。なのに憎めないのが腹たつ。
「で、話を戻して、佐藤くんに振られてカウンターした人って、あんただよね。嘘は付くなよ。風華」
なんかめっちゃ圧を感じるのだけど。いや私じゃないと思う。
「私じゃないよ」
「嘘つくなと言ったよね。あたし昨日麗夜くんと帰るとき見たよ」
麗夜というのは水瀬くんの下の名前。そんなことより昨日なにしたっけ。えっと
「あっ!!!」
「思い出したようね。なんで振られたの」
「別に告っていないよ。ほら私人間観察好きじゃん。それで彼を観察してたのがバレて、あいつナルシストだから、私が彼に好意を持っていると勘違いしたっぽい」
「それは哀れだね」
「いや〜忘れてたよ。思い出したくなかったけど」
「皆さん席についてください」
「あ、先生来たね。また後で」
「後で」
じゃあ今日はさっき出てきた東條くんを観察するか」
〜昼休み〜
いつも通りなら私は1人で昼休みを過ごしているが、今日は違う。陽キャが2人もいる。そう、八重とその彼氏の麗夜がいる。普段目立たない私だけどこの2人のせいで私の存在感が高まってしまった。
「こんにちは、そして初めまして。隣のクラスの水瀬麗夜です。いつも彼女の八重がお世話になっています」
「は、初めまして小雪風華です。こちらこそ」
「あはは、風華緊張しすぎ。コミ障は大変だね」
「うるさい」
「でも麗夜もあたしと同じでオタクだから結構話し合うと思うよ」
それから私たちは漫画の話で盛り上がっていた。やっぱり話があって、自分の意見も聞いてくれるから会話がしやすい。八重が惚れるわけだ。ということでここでぶっ込んでみたいと思います。
「どっちから告ったの?」
「「え」」
なにその反応。私の口からこんな言葉が出てくるの予想してなかったようね。しばいてもいいかな?
「あたしからだよ」
「八重からなんだ」
「でもほぼお互い同時みたいなもんだよな」
うん?どういうことだ。詳しく聞いてみると、なんと両思いだったらしくて、お互い告ろうとした日が被っていたらしい。これ本当に現実?夢じゃないよね。私嘘を見抜くのは得意だから2人とも嘘はついていないようだ
「もうこの話はやめよ。恥ずかしい」
「そうだよね八重。恥ずかしいよね。風華さん僕も恥ずかしいからやめてほしい」
おっと2人とも恥ずかしいらしいね。かわいいな。
「わかりました。恥ずかしい話をさせてしまいすみません」
「そんな謝らなくていいですよ」
「そうだよあたしたちが勝手に恥ずかしがっているだけだから」
いや〜2人とも優しいな。やはり関わる人を見極めてよかったよ。余談だけど私は八重のこととても警戒してましたから。
「話変わるけどさ、東條くんってどんな人?」
「え、風華気になるの?」
「いや今日観察してて気になることがあったから」
「えっとね、瑞稀くんは見た目のまんまだけど、実は結構こっち側の人間だよ」
マッサかカーニバル!そんな祭りは存在しません。麗夜から詳しく聞くと意外とアニメとかが好きらしい。やはりね。
「でもなんで急に?てかそうなんだ」
八重は知らなかったぽい。
「えっとね、今日観察してみてわかったんだけど、彼結構話し合わせているよ。多分だけど素を隠しているね。二次元を否定するような会話をしていた時、彼だけ暗い顔してたからね」
「へーそうなんだ。初めて知った」
「そんなことがあったんだ。確かに瑞稀くんはよく会話を合わせているけど」
「ねえねえ、提案なんだけど明日東條くんと一緒にご飯食べない?」
八重が爆弾発言をした。いや、無理無理無理。私喋れないって。
「いいね。その提案」
えー麗夜まで。どうしようどうしよう。しかし私は陰キャ。この時の返事はもちろん
「みんながいいならいいよ」
否定なんかできないよ。
明日学校の王子様とご飯を食べることが決まってしまった。
あ〜あ、明日が憂鬱だ
更新遅くなってしまいすみません。
感想と高評価よろしくお願いします。モチベにも繋がるので。




