98『桃畑加奈子を励ます!』
魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!
98『桃畑加奈子を励ます!』
「あの時、あなたの一番近くにいたのはわたしなの」
一昔前の人口音声みてえな声に返す言葉がねえ。視線はガラス張りに向けられたままだしよ。
「助けなきゃ。そう思った……ほんとよ。でもその前に美紀ちゃんが動いていた。で、動けなくなってしまった」
なんか、面倒くさい話になりそう(^_^;)。
気づかれないように息を吐いてから聞いたぞ。
「どういうことですか?」
「美紀ちゃんは、心底からからオモクロが好きなんだ。だから、とっさに体が動いたのよ」
マユは、仁科香奈の顔で当惑したぞ。応えようによっちゃ、オモクロ創立メンバーのプライドとか傷つけっちまいそうでよ。
「美紀ちゃんたちは、あとからやってきて、おもしろクローバーを想色クローバーのオモクロにかえてしまった。そしてAKRに肩を並べるほどのアイドルグル-プにしたわ。力とオモクロへの愛情がなきゃできないことよ。だから、たとえオーディションの受験生でも、危険だと思ったら自然に体が動くのよ……それに圧倒されて、わたしは体が動かなかった……でも、これって言い訳よね」
「どうしてですか……」
「だって、わたしが飛び込んでいったら、おそらく、だれも怪我せずに、あなたを助けられたわ……でも、咄嗟には動けなかった。万一怪我したらステージに立てなくなる。今でも影が薄いのに、怪我したら二度と戻れなくなる」
「そんなこと、とっさのことだったんだから、いま思い悩んでもしかたないですよ」
「さっき、お見舞いに来てね、ドアをノックしようとしたら、聞こえてきたの、お医者さんの声『大丈夫、少し時間はかかるけど必ず元通りになるから』って言ってるの。そしたらね、心の底に残念に思ってる自分がいるのに気付いて。でも、ひとつ深呼吸して――後輩を見舞いに来た優しい先輩――に切り替えられて、ソツなくお見舞いの言葉も出てきて、本当は真逆の事思ってるのにね。なんだか、メチャクチャ嫌になってきて…………っていうか、こんなとこ、こんな顔を写真とか取材とかされたらいやでしょ! 病院はともかく、外に出たら、きっと二三人は記者とか来てるし!」
「あ、ああ……」
気を飛ばしてみると、玄関を出たところに文秋と芸能Pの記者が待ち構えているのが分かる。
ちょっと指を動かして二人の大腸を過敏にしてやる。
「ああ、でも、ここに居ても解決にはなりません。あ、うん。今なら大丈夫な気がします。うん、だいじょうぶです。いざって時は自分が庇いますし、いえ、きっと大丈夫です(‘へ‘)!」
「マユちゃんて面白いね。元のオモクロ向きかもしれないね」
「え、あ、そうですか(^_^;)」
「よし、うん、元気出て来た! 行こうか!」
「ハイ!」
なんとか元気になった加奈子に引っ張られるようにしてエレベーターに乗る。もう一度気を飛ばして、文秋と芸能Pがトイレの個室に居ることを確認!
「大丈夫、ほんとうに居ないみたいです!」
「え、あ……ほんとに居ないんだ(^_^;)」
え、え、なんでションボリ?
☆彡 主な登場人物
マユ 人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
里依紗 マユの同級生
沙耶 マユの同級生
知井子 マユの同級生
指原 るり子 マユの同級生 意地悪なタカビー
雅部 利恵 落ちこぼれ天使
デーモン マユの先生
ルシファー 魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
レミ エルフの王女
ミファ レミの次の依頼人 他に、ジョルジュ(友だち) ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
アニマ 異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
白雪姫
赤ずきん
ドロシー
西の魔女 ニッシー(ドロシーはニシさんと呼ぶ)
その他のファンタジーキャラ 狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ
黒羽 英二 HIKARIプロのプロデューサー 地親は黒羽英雄
由美子 英二の妹
真田 由美子の元カレ
美優 ローザンヌの娘 英二の妻
光 ミツル ヒカリプロのフィクサー
浅野 拓美 オーディションの受験生
大石 クララ オーディションの受験生
服部 八重 オーディションの受験生
矢藤 絵萌 オーディションの受験生
上杉 オモクロのプロディューサー
桃畑 加奈子 オモクロの創設メンバー




