96『事故とその後始末』
魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!
96『事故とその後始末』
ググ( `°罒°)
思わず歯噛みしながら唸っちまった。
マユの仁科香奈は無事だったけど、庇った美紀は、落ちてきたライトが左腕から顔にかけて当たって、怪我しちまいやがった。
出血は少ないけど……どうやら左頬の骨が陥没骨折。左腕にも裂傷を負ってやがる。
「大丈夫か美紀!」
マネージャーが直ぐに駆け寄ってきて、メンバーの奴らも駆け寄って声をかけやがる。
「だれかぁ! 手当できる人いない!?」
ルリ子が、美紀を抱きかかえ叫びやがる。
「わたしが診る。元看護師だから」
ヒッツメ頭のスタッフが、人をかき分けて美紀の側に来た。
「に……仁科さん大丈夫……?」
美紀が苦しい顔で気遣いやがる。
マユはグッときちまった(゜⊃ω⊂゜)。
いつもルリ子の腰巾着というか携帯のストラップみてえな美紀、ルリ子の後ろで意地悪ばっかしてきた美紀が、初対面のオーディション受験生でしかないマユの仁科香奈を気遣ってやがる。
「裂傷は大したことはないけど、ほお骨がどうにかなってる。すぐに病院へ!」
元看護師のスタッフが上杉ディレクターに言った。
「救急車じゃ、かえって混乱する。事務所の車で、二丁目の足利病院へ!」
上杉の指示でスタッフが動いた。
事故の顛末は観覧席の受験者やマスコミに分からないように、熟練のスタッフによって、モニターがすぐに切られ、観覧席の大きなガラスもスモークにされてる。
しかし、事故直後の様子や悲鳴は聞こえている。観覧席を通って正面玄関から出すことは不可能だ。
「裏口から出ましょう」
気の利いたスタッフが、裏出口に通じるドアを開け、数人が付いて美紀は足利病院に運ばれた。
オモクロは、利恵の言うとおり、白魔法の影響を脱して自律的に成長してやがる。ルリ子や美紀もきちんと成長してやがる。
マユは、混乱しちまった。
天使のおせっかいは、どこかで必ず歪みが起きてくるものなのに……間違っているのはマユの方か……?
「大丈夫、仁科さんのせいじゃない。これは単なる事故なんだから」
美しく誤解して、パイプ椅子に座らせてくれる子がいやがった……どこかで、見たことがあるぞ。
「すみません……」
「あなた、歌もダンスもすごかったわ。きっといい結果が出るわ」
そいつは、そう言うと、スタジオの片づけに戻りやがる。
――あ、こないだまでセンターをやっていた、桃畑加奈子!――
笑顔でマユに接し、今はテキパキと後かたづけをやっている桃畑加奈子の心は自己嫌悪で濁っていやがる。
――なんで、自己嫌悪……?――
加奈子の心を読もうとしたが、仁科香奈というアバターは、大石クララとマユ本来のアバターを足して二で割ったものなんだ。
人間的な技量はともかく、魔法の効きは半分しかねえ。元々オチコボレの小悪魔、正規の悪魔みてえに魔法は使えねえ。それが、その半分になっちまったもんだから、加奈子みてえに心を閉ざされっちまうと、なかなか読むことができねえ。
「さ、オーディションを再開するんで、控え室に戻ってください」
スタッフに促され、マユは、控え室の観覧席に戻ったぞ。
そんで、何事も無かったみてえに、オーディションは再会されたぞ。
ガラスの向こうで、見本の歌を唄い、踊っているのは桃畑加奈子だった。
そんで……。
微妙に濁った心が見え隠れする。マユはアバターの中でもどかしく感じながらも、このあたりから調べていこうと、思ったぞ……。
☆彡 主な登場人物
マユ 人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
里依紗 マユの同級生
沙耶 マユの同級生
知井子 マユの同級生
指原 るり子 マユの同級生 意地悪なタカビー
雅部 利恵 落ちこぼれ天使
デーモン マユの先生
ルシファー 魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
レミ エルフの王女
ミファ レミの次の依頼人 他に、ジョルジュ(友だち) ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
アニマ 異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
白雪姫
赤ずきん
ドロシー
西の魔女 ニッシー(ドロシーはニシさんと呼ぶ)
その他のファンタジーキャラ 狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ
黒羽 英二 HIKARIプロのプロデューサー 地親は黒羽英雄
由美子 英二の妹
真田 由美子の元カレ
美優 ローザンヌの娘 英二の妻
光 ミツル ヒカリプロのフィクサー
浅野 拓美 オーディションの受験生
大石 クララ オーディションの受験生
服部 八重 オーディションの受験生
矢藤 絵萌 オーディションの受験生
上杉 オモクロのプロディューサー
片岡先生 マユたちの英語の先生




