表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
90/118

90『スパーク!』

魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!


90『スパーク!』 





――美優、聞こえってっか?――


――え、だれ?――


――ええと……ワ、ワクチンの精だ! おめえも、さっきお礼を言ってたじゃねえか(''◇'')――


 正体ばらすわけにはいかねえ、かと言って神さまとか、神の使いとか言うのは利敵行為だしな。悪魔なんて言ったら腰を抜かすかもしれねえ、いや、ショックで即死かもしれねえ。で、もともと一週間だけ命を伸ばすワクチンを注射したってことにしてたから、ワクチンの精ってことにした。文句あっか!


――ワクチンの精?――


――ああ、すっげえワクチンだから、こうやって話もできんだ。おめえも、さっきお礼とか言ってたからよ。そ、そのぉ、以心伝心ってやつだ(''◇'')――


――そ、そうなんだ――


――ああ、薬とかワクチンはよ、何百何千て人間の努力と実験動物の命を使った結果に生まれるものなんだ。だからよ、そういう情熱や命が凝って妖精みてえになるんだ。文句あっか!?――


――ううん、信じる。それで、なんの御用かしら、もうじき死ぬから、あんまり時間がないわよ――


――美優の気持ちと、みんなの励ましとか好意で、マユ、あ、あたしの名前な。マユは超絶進化しちまって、ガン細胞をやっつけられるようになったんだ。スゲエだろ<(`^´)>!――


――そうだったんだ、どうもありがとう――


――それで……ごめん。ガン細胞が一個だけ残っていやがって、魔法の効き目がきれたとたんに増殖し始めやがった。がんばってやっつけてるけど……ううん、がんばってやっつけるからな――


――…………――


――美優?――


――もういいわ、マユさん。本当は、夕べで尽きる命だったんだもん。たった一日だったけど、十分に満ち足りていたから――


――弱気になんな! マユもがんばるからよ!――


――うん。じゃあ、痛みと苦しさだけ、なんとできるかなあ。この番組が終わるまででいいから……――


――わ、分かった!――


 悪魔ってのはよ、自分の怒りとか想いで動くもんでよ。あんまり人からお願いされるもんじゃねえ。だ、だからよ、思わず力が入っちまったぜ!


――エ! エロイムエッサイムッ(``>▭<``)!!――


 そのとたん、美優の痛みと苦しさが無くなり、顔色ももどってきやがった。


――な、元気になっただろがあ!――


――ほんとだ、楽になった……死んで楽になったってことじゃないでしょうね――


――だったら、ほっぺたでもつねってみやがれぇ(´⚰︎` )――


――あ、だいじょうぶみたい――


――って、つねってねえじゃねえか――


――いま、英二さんの温もり感じたから――


 あ、そういや、黒羽Dの奴、肩に手を回して密着してやがる!


――ありがとうワクチンさん。オモクロ対決の結果だけは見て逝けそう――


 よし、これでいい。


 そんで、ここまでだ。


 落ちこぼれ小悪魔、限界を突き抜けて美優の痛みを取ってやったけど、命そのものを助けてやることは……ひょっとしてできるかもと思ったけどよ、やっぱり無理だ。


 イテテテ……こういう人間的な反省も違反なんだろーな、カチューシャがギリギリ締め上げてきやがるぜ。


 分かってるよデーモン先生、もうこれ以上はやらねえよ、力も残ってねえし……やりたけりゃ、一気に締め上げて、マユを締めつぶせばいい。文句なんか言わねえからよ……


 ピカ!


 その時、目の前が真っ白になって、消えかけの美優の心に光るものがあったぞ。


 いいや、光じゃねえ。スパークだ、気がかりのスパークだ。


 超ご先祖のサタンがルシファーって大天使だったころ、神の逆鱗に触れて天界から堕ちる時、天界や神の事を心配した時に全身からほとばしったスパークみてえだ!

 

――お義父さんは……?――


――あ、元気だよ――


 グロッキーだったし、平然と言ったつもりだったけど、美優には分かっちまった。


――お亡くなりになったのね……――


――……昨日、黒羽Dが電話した直後。お父さんの言いつけで、この番組が終わるまでは、言っちゃいけないって、みんなには言ってるみてえだ――


 夕べも病院に行こうかと、黒羽は妹の由美子に電話した。持ち直して元気になったそうで、「今夜は二人で居ろ!って言ってる」と由美子は明るく言っていた。けどよ、スマホから漏れてくる由美子の声が、少し明るすぎるように聞こえやがった。でも、自分たちの幸せの明るさにひっぱられて、すぐに忘れた。それが、自分が、こういう状態になって、また気になりだしやがった。


 そんなことで自分を責めんじゃねえ!


――そう……――


――でも、二人のことは本当に喜んでたみてえだぞ。このこと、旦那にはナイショだぜ――


 旦那の親父のことを思いだしただけで、少し持ち直しやがった。


 美優ってやつは……


――うん……あ、足の感覚が……立てない――


――ちょっと待って――


 マユは、大急ぎで脊髄のガン細胞をやっつけた。全部じゃねえけど、慣れてきて、どこから攻めたらいいか分かるようになってきたみてえ。我ながらがんばれるもんだぜ。


 ギリギリギリ……


 カチューシャが締まってきて、マユの頭は瓢箪みてえにくびれてきやがった。根性で声は出さねえぞ!


 それで美優は歩けるようになって、化粧室に行きやがる。身を整え、メイクをやり直そうと思いやがったんだ。


「ちょっと化粧室行ってくる」


「すぐ戻ってこいよ。もうじき本番だからな」


「うん」



 化粧室から戻って、席についたとたん、また足の感覚がなくなっちまいやがる。



 で、ぞいよいよ本番が始まった。



 スタジオの左右にひな壇が組まれ、それぞれAKRとオモクロのメンバーが陣取る。センターには、大きなステージが組まれ、その奥が審査員席になっている。観覧席の者にも、審査ボタンが渡され、曲ごとに投票できる仕組みになっている。そして、視聴者もテレビのリモコンで投票できる仕組みにもなっているぞ。


 二曲ずつのメドレーで、トークが入り、投票することになっている。


 八曲目までは、伯仲のシーソーゲーム。


 九曲目、オモクロの『秋色ララバイ』で998点のポイントがついた。1000点満点なんで、ほぼカンペキだ。それまで、AKRはオモクロに2点の差を開けられていたので、苦しいところだぜ。


 緊張とむき出しの闘志で、メンバーがステージにあがった。


――力みすぎてる――


 黒羽は、ディレクターの勘で、トチリを予感しやがる。


 そして、予感は曲が始まる前のMCとの会話のところで現実になったぞ。


 キャ!


 張り切りすぎた知井子がジャンプしてバランスを崩し、ステージから落ちてしまいやがった。それも、助けようとした矢頭萌を巻き込んで……で、結局、この知井子のドジでスタジオは爆笑になり、メンバーはリラックスして『コスモストルネード』を歌い上げることができた。知井子もただでは転ばなくなったみてえだ。


 得点は999点。オモクロとの差は1点にまでつまった。


 そして、いよいよラストの曲。


 オモクロは再結成のときの『この道を行け!』をぶつけてきた。オモクロは、この曲で路線を変更、おもしろクローバーから想色クロ-バーにグループ名を変えた大ヒットした記念の曲だぜ。

 

 点数は998点。AKRは次の曲で満点を出さねえと優勝できねえ。999点で、かろうじて同点。AKRは最後に、この曲を選んだ!



『オーバーザレインボウ』



 むろんアレンジしてやがる、古さは否めないけどよ。思い切った選曲だぜ。この選曲は、会長が黒羽から、美優の父のオルゴールの話を聞き、急遽ラストに加えたんだと。


 前奏はオルゴールそのまま。美優は、頭の中が、懐かしさと、愛おしさで一杯になりやがる。


 曲の主題に入ると、とたんに曲はビビットになりやがる!


 振り付けも激しさの中に、品の良いチャーミングさがありやがる。振り付けの春まゆみは会長にドヤ顔、それを受けて会長は、方頬で笑いやがった。


 得点は……998点……しかし、観覧席のボタンが一人だけ押されていねえ。そして、ほんの一秒遅れて、それは押されたぞ。


 999点、総合で同点。AKRからも、オモクロからも、スタジオのみんなからも歓声が上がった。黒羽も思わずステージにあがり、メンバーのみんなとハイタッチ、カタキのオモクロのディレクターの上杉とも肩を叩き合って握手した。



 ……そして観覧席……笑顔のまま美優は息絶えていやがった。



 美優は、最後の力を振り絞ってボタンを押しやがった。


 一秒かけて全身の最後の最後に残った力でよ……。


 マユは、美優の中で慟哭したぞ。とうとう美優を、やっぱり美優を、助けることができなかった……。



――よくがんばったよ、マユ――

 


 その思念は、突然飛び込んできた。


 それは……オチコボレ天使の雅部利恵のだ。そして、スタジオの隅にいる利恵の手の上には、今肉体から離れたばかりの美優の魂が乗っていやがった。

 

 それは美優らしい上品なエメラルドグリーンに輝いていやがる……おいしいところを持っていきやがるぜ、天使ってやつめえ!




☆彡 主な登場人物


マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院

里依紗      マユの同級生

沙耶       マユの同級生

知井子      マユの同級生

指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー

雅部 利恵    落ちこぼれ天使 

デーモン     マユの先生

ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある

レミ       エルフの王女

ミファ      レミの次の依頼人  他に、ジョルジュ(友だち)  ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)

アニマ      異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)

白雪姫

赤ずきん

ドロシー

西の魔女     ニッシー(ドロシーはニシさんと呼ぶ)  

その他のファンタジーキャラ   狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ

黒羽 英二    HIKARIプロのプロデューサー

美優       ローザンヌの娘

光 ミツル    ヒカリプロのフィクサー

浅野 拓美    オーディションの受験生

大石 クララ   オーディションの受験生

服部 八重    オーディションの受験生

矢藤 絵萌    オーディションの受験生

上杉       オモクロのプロディューサー

片岡先生     マユたちの英語の先生  

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ