表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/118

73『期間限定の恋人・1』

魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!


73『期間限定の恋人・1』 






 スズメの鳴き声で、半ば意識がもどってきた。


 ……いつもの朝だ。このスズメの泣き方で、おおよその時間がわかる。いつもなら、もう一群れのスズメたちがやってきて、ちょうど起きる時間になる……ちょっと変だ。


 黒羽は、音楽事務所のプロディユーサーをやってやがるんで、音感は並の人間よりも鋭い。スズメの鳴き声が微妙に違う……と感じやがった。



――そうか、友だち……いや、恋人でも連れてきたかな……スズメも、なかなかやる――



 おめでたい誤解は、コーヒーの香りで打ち消されやがったぜ(^▢^)/。


「え、このベッド……この部屋……?」


『黒羽さーん。もう起きて、朝ご飯できたから』


――この声は……?――


「おはよう!」


「ゲ(# ゜Д゜#)」


 明るい笑顔が視界に入って、慌てまくる黒羽D。マユが企んだわけじゃねえけど、めっちゃ面白れえ(^▭^)


「み、美優ちゃん……!」


「ハイ、おはようございます(^〇^)!」



「すまん、この通りだ!」



 朝食を前にして、黒羽は深々と頭を下げやがった。


「そんなのいいから、冷めないうちに。話は食べながらでいいわ」


「お母さんは……この状況……?」


「まだ帰ってない。黒羽さんのせいよ」


「ボクの?」


「正確には、HIKARIプロのね……五日で四十七人分の衣装。うちだから引き受けられたのよ」


「ああ、新曲の発表に間に合わせなきゃならないから……無理言った。ごめん」


「縫製にクレームついて、お母さん、とうとう泊まり込み……トーストお代わりする?」


「うん……ああ、すまない」


「そんな忙しいときに、チーフプロディユーサーが酔いつぶれていていいのかなあ……」


 オーブントースターに食パンを入れながら意地悪を言ってみやがった。たいした意地悪じゃねえけど、ツボを心得てやがる。可愛い顔して、こいつ小悪魔の才能があるぜ。


「いや、面目ない。ちょっと事情が……」


「黒羽さん。ほんとは恋人のとこに行けばよかったのに……」


 ム、なんちゅう切り返し!


「ゲホ、ゲホ、ゲホ……」


 黒羽は、派手にむせかりやがる。


「あ、ごめん。ひょっとして、まだナイショのことだった(;'∀')?」


「ナイショもなにも、恋人なんていないよ。このクソ忙しいHIKARIプロのプロディユーサーに、そんなヒマはないよ」


「でも、夕べは、さんざん言ってたわよ。わたしのこと妹さんと間違えて」


「え、あ、それは……」


「どーなのよ……」


 黒羽は観念して病院でのこと話しやがる。例の『恋人なら、もういる』なんてその場しのぎのウソの話をな。


「じゃ、お父さんは婚約者がいるって信じてるんだ……」


「ハッタリだってわかってるよ」


「だったら、なんで、あんなにヘベレケになっちゃうのよ」


「……だよな。でも無いものはしょうがない、今夜にでも正直に話すよ」


「でも、お父さんガッカリ……その……長くないんでしょ、お父さん?」


「そんなことまで、しゃべったのかオレ?」


「わたしも病人……だったから」


「そうだ、たしか、美優ちゃん入院してるんだよな」


「『だった』って言ったのよ。昨日退院しちゃった」


「そうか……それはおめでとう。元気になってなによりだ……オヤジは、あと一週間……なんか、他の方法で親孝行考えるよ……じゃ、オレそろそろ行くわ」


「やだぁ、黒羽さん、自分の家の感覚になってるでしょ。HIKARIプロはすぐそこだよ。まだ八時まわったばかりだし」


「いや、夕べはレッスン見てないからね。早く行ってスタジオの空気吸っとかなきゃ。クララなんか九時には、スタジオにやってくるからね」


 そう言うと、仕事の虫はコーヒーを一気のみして、上着を掴んだ。美優は、ときめく心を無意識に押さえ込みやがった。


「そうよね、うちのお母さん徹夜させるぐらい熱が入ってるんだもんね」


「ごめん、迷惑かけたね。落ち着いたら、お礼させてもらうよ」


 黒羽は、右袖に腕を入れながら、ドアに向かった。


 マユは、小指の先だけ美優の心臓を刺激したぞ。ラノベでいう「胸キュン」てやつだ。


 するとよ、美優の心は瞬間で沸騰しちまって、とんでもねえあぶくが浮かんできやがった!


「わたしが恋人になってあげようか」


「え……」


 左袖をぶら下げたまま、黒羽が振り返りやがる。



「一週間、期間限定の恋人……だけどね(*´꒳`*) 」





☆彡 主な登場人物


マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院

里依紗      マユの同級生

沙耶       マユの同級生

知井子      マユの同級生

指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー

雅部 利恵    落ちこぼれ天使 

デーモン     マユの先生

ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある

レミ       エルフの王女

ミファ      レミの次の依頼人  他に、ジョルジュ(友だち)  ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)

アニマ      異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)

白雪姫

赤ずきん

ドロシー

西の魔女     ニッシー(ドロシーはニシさんと呼ぶ)  

その他のファンタジーキャラ   狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ

黒羽 英二    HIKARIプロのプロデューサー

美優       ローザンヌの娘

光 ミツル    ヒカリプロのフィクサー

浅野 拓美    オーディションの受験生

大石 クララ   オーディションの受験生

服部 八重    オーディションの受験生

矢藤 絵萌    オーディションの受験生

上杉       オモクロのプロディューサー

片岡先生     マユたちの英語の先生  

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ