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7『ダークサイドストーリー・3』

魔法少女なんかじゃないぞ これでも悪魔だ こ 小悪魔だけどな(≧ヘ≦)!


7『ダークサイドストーリー・3』 


 本作は旧作『小悪魔マユ』を改作したものです





 サタン爺ちゃんとミカエルの戦いをべつにして、有史以来初めての「時間よ止まれ、ダブルブッキング事件」から一ヶ月。


 知井子の身長が一センチ伸びた。


 本人はビックリしていたけど一センチなんで、誰にも言わないし誰も気づかなかった。

 落第小天使利恵は、自分の白魔法のなせる技だと思っていけど、ただの自然な成長だった。利恵の思いこみのいきさつについては『3 知井子の悩み』を見てくれよ。


 本題は知井子のことじゃねえ。


 ルリ子たちワルのアミダラ女王パンツに、ことの発端がある。


 マユのイタズラで、ルリ子の仲間の一人のスカートがめくれ上がり、アミダラ女王のパンツが丸見えになったのは言ったろ。


 心を閉ざし、無気力な授業をやっていた片岡先生の心は読めなかったけど、その瞬間、密かに片岡先生がドキリとしたのは分かったぜ。


 しかし、並の男が、こういう状況で感じるドキリとは違ったんだ。


 アミダラ女王に似たブルネット女の顔が一瞬浮かんだんだ。


 ドキッとしたのは、JKのオケツじゃなくて、そのアミダラ女王似の女に対してだったんだぜ!


 そのことが気になって、マユは、階段の踊り場で片岡先生が手にしていた商売道具を滑らせた。さすがに片岡先生も「あ!」と声を上げて、閉ざされた心が、わずかに開いた。


 そこで時間を止めて、先生の心の闇を覗いてみようとしたんだけどよぉ、落第天使の利恵も同時に時間を止めちまいやがった。その差0.01秒。世界はダブって止まってしまった。これがよ、後に天界でも魔界でも「時間よ止まれ、ダブルブッキング」て呼ばれる事件なわけよ。


『またお前らか!?』『やってられんなあ!』


 また担当の悪魔と天使が下りてきて、呆れかえって文句を言いやがる。


「さーせんさーせん」「めんごめんご」


 謝り方が悪かったのかもしれねえ。


『『二人で手を繋いで修復しろ!』』


 担当二人の声も揃った。


「「ええ! こんなやつとぉ!?」」


『そうだ!』


『そして、同時に再起動を!』


『『念じなさい!』』


「「ウゥゥ(-_-;)」」


『『早く!』』


 仕方なく、落第ということで共通している小悪魔と小天使は手を繋いだ。


「「再起動!!」」


 ピッシャァァァァン!!


 ほとんどヤケでやったせいか、すっげー音と光がして無事に世界は



 時間を同時に再起動した。



 それから、一ヶ月。また知井子の身長が一センチ伸びた……だけではなかったぜ。



「今日から、スミス先生の代わりとして赴任された、メリッサ・フランクリン先生です」


 英語科主任の山田先生が紹介した。片岡先生は、月に一度の通院で休んでいる。


「こんにちは。キョウから、みなさんの英会話のベンキョウのオテツダイをするメリッサです。どうぞよろしく」


 前任のスミス先生は、本国の友だちに頼んで買ってもらった宝くじが大当たって。日本円で五億円手に入れていた。


 なんでも、宝くじを買うのに並んでいたら、自分の前に宝くじマニアで何度も賞金を獲得しているキンバリーというオッサンがいることに気づいたのだそうだ。


 キンバリーというオッサンは、宝くじマニアの中ではカリスマと言われている人物。面が割れないように帽子を深々と被って、付けひげを付け、口には含み綿を入れ顔を変えていたので誰にも分からなかった。


 気づくのには理由があった。


 宝くじの行列の脇を、プラダを着込み、濃いめのグラサンをした女性が身を隠すように歩いていた。そして、ヒールを歩道のブロックに引っかけて倒れ込んじまった。


 で、倒れ込んだ先にキンバリーのオッサンがいて、彼女を抱き留めた。


 女性のグラサンが外れて、その顔を見て、オッサンは驚いた。


 女性はオッサンが若い頃からファンであった、名女優のオリビア・ヤッセーだった。


「あ、あなたは!?」


 びっくりした、キンバリーのオッサンの帽子も付けひげも外れて、含み綿も吹き飛んだ。そして、勢いで、二人揃って列から外れて、はみ出してしまった。

 オリビアは、つい二ヶ月前に三番目の夫と別れたばかりでよ。当然パパラッチたちに付け狙われて、このときも三人のパパラッチがカメラを構えた。そして気づいた。


「あ、宝くじのカリスマのキンバリーだ!」


「わたしの車に!」


 キンバリーのオッサンは騎士道精神を発揮して、路肩のパーキングに停めていたTOYOTAにオリビアを乗せて、幹線から外れた裏通りを通り、名女優を逃がしてやった。


 なんで、辣腕のパパラッチをかわせたかというと、キンバリーは、若い頃、映画のカースタントのドライバーをやっていた。一度、オリビアを乗せた車でスタントをやったことがあって、その時から、ほのかな恋心をオリビアに持っていやがった。むろんパパラッチのバイクを撒くなんて屁でもねえ。そんて、TOYOTAが小型で、性能が良かったことも幸いした。やはり、イザというときは日本製!


 ここまでハデにやれば、スミス先生の友だちも気づくわけである。


 で、スミス先生の友だちはキンバリーが外れた順番に立つことになって、本来なら、キンバリーが手に入れるはずであった宝くじを手に入れ、一等の五億円をゲットしやがった。

 それで、スミス先生は、安月給な日本の英語の講師をアッサリと辞め、本国に帰ってしまったというわけさ。


 キンバリーのオッサンは、これが縁で、めでたくオリビアの四番目の夫になった。


 しかし、パパラッチの一人は、キンバリーがスピンをかけて方向転換をしたときに、ハンドル操作を誤り、車線を外れ、対向車線のヒュンダイに激突した。パパラッチは、命は取り留めたものの、腕や脚を骨折。仕事ができなくなり、半年前に買った家のロ-ンが払えなくなり、身重の妻といっしょに夜逃げをするハメになった。


 天使の幸せづくりというのは、どこかにしわ寄せがくるものなんだ、利恵は、そこまでは知らないし責任を持つつもりもねえ。


「似てるわね……」


 メリッサ先生が、やる気になって、髪をまとめてオダンゴにしたとき、ルリ子が呟いた。


 メリッサ先生は、アミダラ女王に似ていた……。




☆彡 主な登場人物


マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院

里依紗      マユの同級生

沙耶       マユの同級生

知井子      マユの同級生

指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー

雅部 利恵    落ちこぼれ天使 

片岡先生     マユたちの英語の先生  


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