54『西の魔女と女子会』
魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!
54『西の魔女と女子会』
ヒエーーーーー(((;゜Д゜)))(((,,ºΔº,,*)))(((;゜;Д;゜;))) !!!
ライオンは驚いて木の陰に隠れ、ブリキマンとかかしは抱き合ってガシャガシャワシャワシャ震えやがる。
でも、ドロシーとマユはちっとも怖くなかったぞ。
西の魔女は褐色の瞳で顔の彫りも深くて一見おっかない魔女だけど、表情は穏やかで人のいいおばさんて感じだ。
まあ、悪魔とおんなじで、最初は身についたデフォルトの表情になっちまうんだろうな。
それを分かってか、トトなんかちぎれんばかりにシッポを振って魔女のところに行きやがった。
「まあ、かわいいワンちゃんね、お名前は?」
「あ、トトって言います」
「ワン、ワン、ワン(''◇'')」
トトは犬らしく魔女に甘えやがる。トトの正体はまだよくわかんねえけど、ひょっとしたらいちばんのくわせものかもしれねえ。
「そちらは、かかしさんとブリキマンさん。木の陰にいるのは……ライオンさんね。シッポが見えてるわよ……あなたは……」
「ドロシーっていいます。カンザスに帰るために……」
「分かってるわ。で……もう一人のあなたは…………女子高生みたいななりだけど……」
「小悪魔のマユだ。エルフの王女のレミに頼まれて、この世界にきたんだ」
「まあ、あなたね。こないだからこの世界を面白くしている人は(^○^)」
「アハハ(^_^;)」
「みんな、よく来てくれたわ。とりあえず楽しくランチにしましょう!」
「あ、わたしたち、さっき食事を済ませてきたところなんです」
「フフ、食べたのはドロシーだけでしょ」
「あ、そうだった。でも、どうして分かるんですか?」
「一応、西の魔女ですからね。それに、わたしのランチは、お腹が空いている人だけじゃなく、心が空いている人にも効きめががあるのよぉ。じゃあ、あなたたちもお願いねぇ」
「「「「「「「「「「「「ハーーイ、喜んで(^▽^)!」」」」」」」」」」」
いつのまにかミナカタたちもメイド服に着替えてマユたちの後ろに集まっていて、ワチャワチャと賑やかにランチの用意にかかったぜ!
西の魔女の指示に従って、庭のレタスやキンレンカを採りにいったり、パンを切ったり、バターを塗ったり、パスタをゆでたり、ケーキを焼いたり、みんなよく働きやがる(*^^)。あ、マユだってお皿を並べたりしたんだぞ(''◇'')。
そして、あっと言う間にランチを作って、西の魔女の「いただきまーす(^〇^)/」の音頭でガッツく、いや、食べる。ほんとうに心がホワホワしてきたぜ。
「こんなに心がユッタリしたのは久々です。お礼に、なにかやらせてください」
かかしが提案しやがる。このソツの無さ、元はどこかの営業マンかぁ?
「そうね……わたし、ここに来て間がないから、庭の手入れが出来てないの、薪割りとかもあるから、やってもらおうかしら」
西の魔女のお願いで、ライオン、かかし、ブリキマンは広い庭に行ってミナカタたちと仕事にかかった。
「トトも、お庭で遊んできたら?」
トトは、キョトンとした顔になった。
「あのねぇ、トトくん、わたしは、この子達と女子会がしたいの」
「ワン、ワン(''◇'')」
「だめだめ、あなたがオスで人間の言葉が喋れるぐらいのことは分かってるわよ」
「ちぇ、しかたねえなあ」
そう言うと、スコップをかついで外股の二本足で庭に行きやがった。
それから三人の女子会になった。
「……というわけで、ドロシー、あなたが最初のお客さん。まさか小悪魔さんがいっしょだとは思わなかったけど」
「アハハ、落第生だかけどな。でもよ、なんでおばさんはこんなとこにいるんだ?」
「西の魔女って、お城にいるものじゃないんですか?」
「冷え性なのよ」
「「冷え性?」」
「うん、石のお城って寒いでしょ。それに、へんぴなとこにあるし、いろいろ不便でね。まあ、ここも人里からは離れてるんだけど、時どきは、こうやって訪ねてきてくれる人もいるしぃ」
「失礼ですけど、西の魔女さんて、寂しがりやさんなんですか?」
「ええ、そうよ」
ポン
かわいい音がして、西の魔女の頭にウサギの耳が生えたぞ。
「あ、ウサ耳!」
「おお、西の魔女はケモミミ族だったのか!」
「そうよ、お父さんはウサギ族でお母さんはハムスター族」
「あ、両方とも『さみしいと死んでしまう動物』です!」
「あ、なんかラベルが付いてんぞ」
「あ……」
「わたし、取ります!」
西の魔女は、ちょうどティーカップを持ったままだったので、ドロシーが手を伸ばして取ってやったぞ。
「ん、ドン・キホーテ エメラルドの都店?」
「アハハハ、ハローウィンの時にミナカタに買ってきてもらったんだ(^_^;)」
「アハ、西の魔女さんてお茶目なんですね(^▽^)」
「あ、わたしのことはニッシーでいいわよ。いちいち西の魔女って微妙に長いでしょ」
「「ニッシー?」」
「うん、西の魔女だからニシ、親しみを籠めてニッシー」
「ニッシー、くだけてていいなぁ」
「でしょ」
「ドロシーも言ってみ」
「あ、えと……わたしはニシさんと呼ばせていただきます」
「カテエなあ」
「いいわよ、それでも。そうだ、お近づきのしるしにホウキを作ってあげよう!」
「え、魔法のホウキですか?」
「そうよ、すぐには使いこなせないだろうけど、持ってりゃきっと役に立つから」
「え、あ、ありがとうございます!」
「でも、少しお話してから。むろん、あなたたちが急ぐんなら、今すぐに持っていってもいいわよ。あんなもの半日もあれば作れるから」
それからはニッシーがホウキを作るのを見ながらお喋りが続いたぞ。
マユは魔界でのことや、人間界で修行させられている苦労や、このファンタジーの世界に来てからも、なかなか思い通りにならないことなどをグチった。
ドロシーは、早くカンザスに帰りたいことや、いかにカンザスでの生活が楽しかったかを話した。
西の魔女は、ハーブティーを飲み干すと、手を休めてこう言った。
「マユのお話は、無意識の誇張や思いこみがあっておもしろい。まさに修行中の小悪魔さんね」
「ええぇ、マユはなぁ……」
「ほら、マユが、この世界に来てやったことが出てるわよ」
ニッシーは、パソコンを操作して、モニターに今までの記録を出した。
「ああ、やめてぇ(>▭<)!」
「白雪姫も赤ずきんも、サンチャゴのライオンのこともグチャグチャね」
「アハハ」
「笑うな!」
思わず、ドロシーを張り倒そうとしたけど、意外な敏捷さでかわされちまった。
「熱くならないの。世の中には『一石を投じる』ってこともあるのよ。マユがやったことの結果は、まだまだ先にならないと分からないわ」
「でもなあ、ニッシー……」
「こう言っとくわ『買わない宝くじは絶対当たらない』って」
「アハハ、マユのやったことって、宝くじ並みの確率しかないんですかぁ」
「ドロシー!」
今度は、手を上げる前にかわされた。
「ドロシー、あなたの方が深刻だと思うわよ」
「え……?」
「隙あり!」
「エ、キャ!」
すかさず、マユの左パンチが……これは避けきれずに、ドロシーはギンガムチェックのスカートをひるがえして、ひっくり返りやがった。
「アイテー……なんでですか。わたしはホウキをもらって、オズの魔法使いに渡したら、ミッションコンプリート。めでたくカンザスに帰れるんじゃないんですか?」
「ドロシーの意識の底には、もっと厄介なものが潜んでいるわ。それはマユがやったことよりもすごい影響を自分にも、このオズの世界にももたらすようなこと……」
「わたしが、そんなことを……」
「そう、でも、これ以上は言えないわ……ほら、こんなとこにも……」
ニッシーは、床に落ちていたドングリを拾い上げると、テーブルの上に乗せ、ナイフで一刀両断にした。
ドングリの中味は、こまかい電子部品で一杯……それは高性能盗聴器だった!
――こんなものが、あちこちにあるようじゃねえ……――
最後の一言は思念で伝えてきやがったぜ。
☆彡 主な登場人物
マユ 人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
里依紗 マユの同級生
沙耶 マユの同級生
知井子 マユの同級生
指原 るり子 マユの同級生 意地悪なタカビー
雅部 利恵 落ちこぼれ天使
デーモン マユの先生
ルシファー 魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
レミ エルフの王女
ミファ レミの次の依頼人 他に、ジョルジュ(友だち) ベア(飲み屋の女主人) サンチャゴ(老人の漁師)
アニマ 異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
白雪姫
赤ずきん
ドロシー
西の魔女 ニッシー(ドロシーはニシさんと呼ぶ)
その他のファンタジーキャラ 狼男 赤ずきん 弱虫ライオン トト かかし ブリキマン ミナカタ
黒羽 英二 HIKARIプロのプロデューサー
光 ミツル ヒカリプロのフィクサー
浅野 拓美 オーディションの受験生
大石 クララ オーディションの受験生
服部 八重 オーディションの受験生
矢藤 絵萌 オーディションの受験生
片岡先生 マユたちの英語の先生




