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41『ベアおばちゃん特製カリビアンソーダ』

魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!


41『ベアおばちゃん特製カリビアンソーダ』 





 レミが言った「急場の問題」がキューバのナゾであることに気がついた……ファンタジーの世界は駄洒落で回ってんのかぁ……そういや、レミの次に現れたのは目の前のミファ、この次はファソとか。まさかな(^_^;)



「ついてきて(^▽^)/」



 ミファは笑顔で言うと歩き出した。生まれながらの友だちに言うような気楽さだぜ。


 道を少し行くと、声をかけられた。


 横っちょの年季の入ったカフェでオバハンが手を振ってやがる。


「ミファー、今日は連れがいるんだねえ」


「うん、従姉妹のマユ。休暇で遊びにきてんの、昨日から」


「そりゃあ、気がつかなかった。こっち寄って、ジュースでも飲んでいきなよ」


「ありがとう、ベアおばちゃん」


 いくらも歩いてねえのに、ベアおばちゃんの飲み屋兼カフェに立ち寄ることになったぞ。


 テラスのテーブルに収まると、港が一望だ。小型の漁船やフェリーが舫っていて、ゆったりと波に揺られている。マストの間を器用に海鳥たちが飛び回って、こぼれた小魚をとったりして、豊かじゃねえけど、いい感じの港町だぜ。


 不思議に思った。ミファは、なぜ自分のことを従姉妹なんて言ったんだろう。またベアおばちゃんも、簡単に信じ込んでんだ……。


「はい、ベアおばちゃん特製のカリビアンソーダ」


「ありがとう。これにアルコールが入るとカリビアンリキュールになるんだよね」


「今日もサンチャゴのとこ行くんだろ」


 ソーダを勢いよく、かつ一滴もこぼさずにテーブルに置きながら、ベアおばちゃんが聞いた。


「うん。今日は、あたしの番だから」


「サンチャゴって?」


「ああ、ポンコツの漁師。若い頃は遠洋航路の貨物船なんか乗ってたんだけどね、近頃は飲んだくれては、寝たり起きたり。身の回りのこともできなくなっちまって、ミファみたいな子供たちが交代で世話してんだよ」


「このごろは、寝たり、寝たり、寝たり、起きたり、寝たりだよ」


「いよいよかねぇ……」


「よいよいだけど、まだまだ」


「大人は世話をしないんですか?」


 よそ行きの言葉で聞いた。一瞬目が光ってベアが続けた。


「サンチャゴは大人が嫌いでね。たまに正気になると大げんかになったりするから、ミファに頼んでんの。ま、マユもゆっくりしていきな」


「うん、ありがとう……勢いもいいけど、姿勢のいいおばちゃんだな」


「昔は、踊り子やってたの。プリマだったんだよ。ほんとうはベアトリーチェって名前なんだけど、このお店開いてからはトリーチェを取りーちぇ」


「アハハ、女の人なのにベアなんて熊みてえな名前で変だと思ってたぞ」


 ビュン!


 感心しているマユの目の前を新聞が飛んでいった。


「びっくりするじゃないのよ!」


 ミファが怒鳴った。


「かわいい子といっしょだからよ。紹介してくれよ!」


 テラスの下で、日焼けした新聞少年が吠えやがった。 


「あたし、ミファの従姉妹でマユ。あんたは?」


「おれ、ジョルジュ。今夜空いてる?」


「マユには婚約者がいるの。あんたなんか足もとにも及ばないような!」


「今はバイトの途中だから、終わったら、そのテラスぐらいには足は及ぶぜ」


「油売ってると、ボスに言いつけちゃうぞ!」


「ヘヘ、じゃ、またミファのいないときにな」


 口笛を吹いて新聞少年は行っちまった。


「あたし、いつ婚約なんかしたんだ?」


「そういうことにしておかないと、直ぐに虫が寄ってくるからね」


「……どうして、従姉妹て設定なんだ?」


 マユがミファの耳に口を寄せて聞くと、奥で新聞を読んでるオッサンが驚いた。


「白雪姫の国が内戦状態だってよ!」


 マユは、オッサンたちの輪の間に顔を入れて、新聞のおおよそを読んだぞ。



 ええ、なんだこりゃ!?



 白雪姫の国は、王妃側と白雪姫側に別れて内戦状態。そこにアニマのゲッチンゲン公国が絡んで、眠れる森の美女の国が仲介。でも失敗して争いに巻き込まれやがった。そして、マユが、この港町に一瞬で来たような気がしていたけど、実際には一週間かかっていたことを知ってしまって……ファンタジーの世界のゆがみは広がっていくばかりだ。


 スマホで確認すると、リアル世界の時間では半日すぎてやがる「ここでの一年はそっちじゃ十秒ぐらい」とレミは言ってやがったけど、それほどでもねえみてえだ。


 でも、まあ、もう少しなら大丈夫か。

 



☆彡 主な登場人物


マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院

里依紗      マユの同級生

沙耶       マユの同級生

知井子      マユの同級生

指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー

雅部 利恵    落ちこぼれ天使 

デーモン     マユの先生

ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある

レミ       エルフの王女

ミファ      レミの次の依頼人  ジョルジュ(友だち)  ベア(飲み屋の女主人)

アニマ      異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)

白雪姫

赤ずきん

狼男

黒羽 英二    HIKARIプロのプロデューサー

光 ミツル    ヒカリプロのフィクサー

浅野 拓美    オーディションの受験生

大石 クララ   オーディションの受験生

服部 八重    オーディションの受験生

矢藤 絵萌    オーディションの受験生

片岡先生     マユたちの英語の先生  



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