37『赤ずきんの秘密』
魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!
37『赤ずきんの秘密』
「赤ずきん、約束だっただろ。白雪の件が片づいたら話してくれるってよ」
「……覚えていてくれたの?」
「悪魔の記憶力は、神さまよりもいいんだぞ」
分かれ道の奥まったところに、ころあいの日だまりを見つけ、魔法で小さなベンチを出して二人で掛けた。
「うれしいわ、覚えていてくれて……みんな、白雪さんのことに有頂天になって、わたしのことなんか忘れてしまったみたいだったから」
「だからさぁ、赤ずきん……」
「あの……」
「なに?」
「本題に入る前に、はっきりさせておきたいんだけど……」
「なんだよ?」
「わたしたちって、著作権が切れてるから、いいって言えばいいんだけどね……でも、やっぱ」
「やっぱ? なんなんだよ!?」
「夕べも言ったと思うんだけど、わたし、アンパンマンのキャラじゃないの」
「は……?」
「だから……」
「はっきりしろよ。天下の赤ずきんだろーが!」
「ほら、また……」
赤ずきんは、ため息をついてうつむいてしまいやがった。
「わたし、赤ドキンじゃないの……赤ずきん」
「え……まだ、そんなふうに聞こえるのか?」
「う、うん」
「マユ、ちゃんと『赤ずきん』て言ってるぞ。ほら、今だってそうだし、三行前も、その前のト書きだって、六行前だって、この37章になってから、五回出てくるけど、ちゃんと赤ずきんになってるぞ」
マユは、携帯魔法端末を出して今までのログを見せてやったぞ。
「ほんとだ……でも、わたしには赤ドキンて聞こえる」
「……これも、この世界のゆがみのせいなのかぁ?」
「じゃないかな。白雪さんは、マユちゃんが、なんとかしてくれたけど、まだ他のゆがみは残ったまま」
「そうだな、眠れる森の美女も、起きてきやがったし」
「わたしも先週までは、十歳の女の子だったのよ」
「ええ……どう見ても十八歳以上……どこ見てんだ?」
「あ、ごめんなさい……かたちのいい胸をしてるなって思って」
マユは、頬を染めて胸を隠したぞ。
「どうせ、マユはBカップだ。おめえのCカップには見劣りするよ!」
「わたしDカップ……あ、そんなつもりじゃないのよ(;'∀')」
「ま、ま、いいけどな。本題だ本題。赤ずきんが、そんなになっちまったのは先週のことか?」
「うん、六日前……猟師さんに助けられた明くる日」
「ああ、狼におばあちゃんといっしょに食べられて、猟師のオッサンが狼のお腹を切って助けてくれたんだよな」
「うん……その明くる朝、目が覚めたら、こうなってたの。最初はうれしかった、急にオネエサンになれたみたいで。それから心配になったわ。ひょっとしたら、一日ごとに歳をとって、一週間もしたら、お婆ちゃんより年寄りになってしまうんじゃないかって」
「でも、そうはならなかった……だろ?」
「うん、明くる日も、その次の日も、起きてみたら変化はなかったわ……」
「だったらよ、なんで、そんなにたそがれてるわけさ?」
「四日目にね……」
「!?」
赤ずきんが、後を続けようとしたとき、後ろの分かれ道で人の気配がした。
――やあ、ここにいたのか!?――
気配が口をきいた……。
☆彡 主な登場人物
マユ 人間界で補習中の小悪魔 聖城学院
里依紗 マユの同級生
沙耶 マユの同級生
知井子 マユの同級生
指原 るり子 マユの同級生 意地悪なタカビー
雅部 利恵 落ちこぼれ天使
デーモン マユの先生
ルシファー 魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある
レミ エルフの王女
アニマ 異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)
白雪姫
赤ずきん
黒羽 英二 HIKARIプロのプロデューサー
光 ミツル ヒカリプロのフィクサー
浅野 拓美 オーディションの受験生
大石 クララ オーディションの受験生
服部 八重 オーディションの受験生
矢藤 絵萌 オーディションの受験生
片岡先生 マユたちの英語の先生




