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31『だったらキスしろ!』

魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!


31『だったらキスしろ!』 





「この棺の中の……白雪姫だよな?」


 五分経った。


 レミはアニマを、アニマは棺の中の女を見つめるばかりでらちが明かねえんで、聞いてみたぜ。


「白雪姫だよな?」


「…………」


「…………」


「あ、ひょっとして蝋人形か( ゜Д゜)!? 最近のはシリコンとかで出来てっから、スゲェーんだよな。胸とかは特に柔らけえの使ってて、ゼリー胸とか言ってプニプニなんだろぉ(〃∀〃)?」 


「触んなアアア!!」


「おっと、なんにも言わねえから、ちょっとふざけただけじゃねえか! なんか言えよ!」


「ハァ、眠れる森の美女じゃなければね(*´Д`)」


 やっとレミが答える。


「ね、そうでしょ!?」


 レミは、矛先をアニマ王子に向ける。


「あ、ああ……スノーホワイトかもしれないし、シュネービットヒィエンかもしれないけど」


「それ、英語とドイツ語に言い換えただけじゃねえか」


「あ、ああ……そうだよね。でも彼女がスノーホワイトなら、英語じゃなきゃ伝わらないし、シュネービットヒィエンならドイツ語でなきゃ。ボクは日本語だから微妙に違うかも……ハァァァァァ(*´▢`)」


 軟弱王子は、長いため息をついて、うなだれやがった。


「まあ、現実を認めるようになっただけ進歩だけどね。ね、スニージー」


 レミがつぶやいくと、棺の陰に気配がしたぞ。



 ハーックション!



 とたんに大きなクシャミがして、棺の向こうからドワーフが現れやがった。



「やあ、レミ、世話かけるね。そちらさんが?」


「うん、魔法使いのマユ。やっと来てもらえたの」


「そりゃあいい。もう、この世界はこんぐらがっちゃってるからね。よろしくマユ」


「お、おう、おめえ七人の小人のドワーフだろ?」


「ああ、そうだよ」


「他のドワーフは居ねえのか?」


「山に行ってるよ。鉱石掘りが俺たちの仕事だからね。夕暮れになったらみんな戻ってくる。もう少し時間があるから、俺も行っていいかなあ」


「もちろんよ。でも、あの山の向こうで、つま先立ちしてるお星様たちが顔を出すまでには戻ってきてね」


「うん、分かった。それじゃ、ちょっくら行って来る」


 スニージーは、アニマ王子に一瞥をくれると、ハイセイコーの馬面を撫で、サッサと、ツルハシをかついで行っちまった。



「ドワーフたちも、持て余してるのよねえ……」



 スニージーを見送りながらレミがこぼしやがる。


 ヘックション!


 とたんに彼方のスニージーが大きなクシャミ。そのコダマが収まって、マユは聞いたぜ。


「なあ、白雪姫の話ってよぉ、王子のキスで白雪姫が生き返って、メデタシメデタシになるんじゃねえのか?」


「それが、そうならないから、苦労してんのよ」


「ああ、いったいどうすればいいんだ……僕はぁぁぁぁ!?」


 アニマ王子が、頭をかきむしりながら身もだえやがる。


「簡単だ。キスしちゃえばミッションコンプリートじゃねえか!」


「それがね……」


 レミが腕組みをした。


「ひょっとして、アニマって〇〇……なのか?」


「そんな、ボクは〇〇でもなきゃXXでもない! 心から白雪姫のことを愛しているんだ!」


「だったらあ……!」


「ボクが王子でなくて、白雪姫が王女でなきゃ事は簡単なんだけどね」


「ハア……」


 組んだ腕をほどいて、レミはため息をついた。



「僕と白雪姫がいっしょになったら、どうなると思う……」


 アニマ王子は、両手を広げると空をあおいでつぶやいた。


「ハッピーエンドじゃねえのか?」


「考えてもくれよ。一国の王子と王女だよ。それが好きになって結ばれたら、二つの国が合併することになるんだよ。うまく根回ししても、強力な同盟関係になったと思われるし、現にそうなってしまうだろう」


「それがぁ……( ¯ࡇ¯ ) 」


 めんどくさいやつだ。


「ここは、北にシンデレラの王国、南に眠れる美女の王国、そのまた南が白雪姫の国だ。うちと白雪姫の国がいっしょになれば、この微妙なファンタジー世界のパワーバランスが崩れ、緊張関係がいっそう増してしまう。王子であるボクは、自分の思い通りには行動できないんだよ」


「でもよ……んなこと、やってみなきゃ分かんねえだろーが。ディズニーアニメだったら、もうとっくにメデタシメデタシでエンドマーク出てんぞ」


「あれはディズニーが、無理矢理話をねじまげたからだよ。ファンタジーの世界はもっとリアルで残酷なんだよ。このグリムの原作を読んでみるといいよ」


 ズイ! パシ!


 岩波文庫のグリム童話なんか出しやがる。そいつをパシっとはたいて襟首を捕まえてやった!


「な、なんだぁ(;'∀')!?」


「グリムの残酷さぐらいは魔法学校で習ったわ! しっかり現実を見てみろよぉぉぉッ!」


「な、なにをする(>○<)!?」


 もう辛抱ブチギレて、アニマを棺の前に引き据えてやったぞ!


「マ、マユ……(;'∀')」


 マユの強引さに、レミは、思わず声をあげやがる。


「好きなんだろーが!?」


「う、うん……」


「愛してんだろーがあ!?」


「だったら、何も考えることは無ぇえ。キスしちまえええ(>▢<)!」


 ありったけの魔力で、王子の顔を白雪姫の顔に近づける……しかし、アニマ王子は渾身の力で抗いやがって、その唇は五ミリの距離を置いて止まってしまう!



「……なんちゅう根性なし!」



「だって、ここで二人が結ばれたら、白雪姫の国で内戦がおこるよ。王妃側と白雪姫側に分かれた血みどろな内戦が!」


「それをなんとかすんのが、王子だろーが!」


 アニマ王子が、顔を真っ赤にして、何か言おうとしたとき。お花畑の横の道に気配がした。



「あのぉ……お取込み中のところ失礼します。このへんでライオンさん見かけませんでした?」


「「「ああん!?」」」


 三人メッチャ不穏な返事をしたのに、 そいつは、白と水色のギンガムチェックに半袖パフスリーブのワンピース。髪はツインテール、バスケットを腕に下げ、赤い靴を履いていて、人の事なんかぜんぜん気にしねえでリフレインしやがった。


「このへんでライオンさん見かけませんでしたぁ?」




☆彡 主な登場人物


マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院

里依紗      マユの同級生

沙耶       マユの同級生

知井子      マユの同級生

指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー

雅部 利恵    落ちこぼれ天使 

デーモン     マユの先生

ルシファー    魔王、悪魔学校の校長 サタンと呼ばれることもある

レミ       エルフの王女

アニマ      異世界の王子(アニマ・モラトミアム・フォン・ゲッチンゲン)

黒羽 英二    HIKARIプロのプロデューサー

光 ミツル    ヒカリプロのフィクサー

浅野 拓美    オーディションの受験生

大石 クララ   オーディションの受験生

服部 八重    オーディションの受験生

矢藤 絵萌    オーディションの受験生

片岡先生     マユたちの英語の先生  

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