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16『知井子の悩み・6』

魔法少女なんかじゃねえぞ これでも悪魔だ 小悪魔だけどな(≧▢≦)!


16『知井子の悩み・6』 



 


 オーディションはHIKARIシアターで行われたぜ。



 HIKARIプロの常設劇場なんだけどよ、午後は、そのアイドルユニットの公演がおこなわれるんで、午前八時という異例に早い開始時間なんだぜ。


 歌うにしろ踊るにしろ、きちんと体調、声の調子を合わせにくい時間帯だ。


 マユは思った。わざと、そういう時間帯を選び、オーディション受けるやつらの本当の適性とやる気を見定めるつもりなんだ。黒羽ディレクターの意地悪にも見える本気度がよくわかったぜ。

 

 知井子と駅で待ち合わせして、会場へ行ったぜ。


 そこで、また驚くことがあった。


 会場には三十分前に着いたんだけどよ。もう、ほとんどの奴が来てやがる。


――あと、一人だな――


 会場整理のおっさんが、そう思ったことでわかったぜ。


 そして、このおっさんが、ただの会場整理でないこともな……。


 二三分して最後のやつがやってきて、全員がそろったんだけどよ、時間までは会場には入れねえみてえだ。


 そうやって外で待たせている間にも、おっさんやスタッフ、そして監視カメラなんかが、みんなの様子を観察してやがる。


 もう、すでにオーディションは始まっていることをマユは理解したぜ。


「さあ、時間です。受付を済ませた人は、指示された控え室に入って」


 偉そうなスタッフが、ハンドマイクで穏やかに誘導しやがる。


 受付もなにも、ここに着いた時に胸に付けるように配られたバッジにチップが組み込まれていて、カメラや、スタッフの特殊なメガネを通して個人は特定できるようにしてあるんだけどな。



 受付をすませて、マユは驚いたぞ。



「これって、最終選考だぜ……新ユニットの」


「マユ、気がついていなかったの?」


 知井子が不思議そうな顔をする。


 マユは、やっぱり自分をオチコボレの小悪魔だと思い知った。人間が目につかないことばかり見て、会場の正面に貼り出されていた看板を見落としていたんだぜ。


――HIKARI新ユニット最終選考会――


 受付から先は本人しか入れねえ。母親といっしょに来ているやつも半分近くいてよ、まるで、長期留学の見送りみてえだ。


 試しに心を読んでみると、その親子は、はるばる北海道から来てやがる。他にも、九州や四国から来てるのもいやがる!


 そして、すごいことを読み取っちまった。


「なあ、知井子。このオーディション2400人も受けてたんだぞ!」


「そうだよ、一次で400、二次で、46人まで絞られてたんだよ」


 平然と言う知井子に驚いたぜ。そして、そんなオーディションの最終選考に二人を横滑りのように入れた黒羽のおっさんにもな。



 準備室に入って、また驚いたぜ!



 みんな真剣に、でも静かに着替えてやがる。着替え終わると声も出さずに歌ってるやつ、壁に背中をあずけて姿勢をを整えるやつ、ストレッチをやるやつ。マユみてえにキョロキョロしてるやつは居ねえ(^_^;)


「なあ、知井子……え?」


 横を向くと、知井子も、他のみんなと同じような闘志をみなぎらせ、口パクしながら振りの確認に余念がなかったぜ。


 こっちに補習に来させられてよ、学校や街で若いやつらを見たり混じったりして分かったつもりでいたけどよ、ちょっと認識を改めたかもな。


 そんで、そのエモーションみてえなのにあてられて……いつもなら見落とさねえ気配に気づかねえマユだったぜ。




☆彡 主な登場人物


マユ       人間界で補習中の小悪魔 聖城学院

里依紗      マユの同級生

沙耶       マユの同級生

知井子      マユの同級生

指原 るり子   マユの同級生 意地悪なタカビー

雅部 利恵    落ちこぼれ天使 

黒羽 英二    HIKARIプロのプロデューサー

片岡先生     マユたちの英語の先生  

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