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「大変ご迷惑おかけしました。まさかこんなとこにいたなんて」
エプロン姿で少女をおぶっている彼女は今江さんといった。
首にかけられたネームプレートには「見送り下手人 NO.24」の肩書きが印刷されている。なんでも今江さんは少女、篠輪せつなの専属世話係だそう。
「今江さんは、いつからこのお仕事を?」
「う~ん。つい一ヶ月前かしら。これでも学生と兼業している身なの」
「はじめて見たときは通報すべきなのかと」
「あ~。引っ越してばっかりなら、無理ないわよね」
「さきほど、この娘は町の守護神なのだと」
「そう、夜な夜な私たちの見えない物陰にたまる悪い邪気をとっぱらってくれるの」
「それって、集会を通して行われたりするものでは?」
「それが代々伝わる風習とは違うんだよね~」
「ベンチャー儀式ってことですか」
「というより参例代理ってとこかな。あの茂みの向こうにはね、普段はだれもよりつかないけど鎮魂しきれてないお墓があるんだ~」
「ご不幸が、あの林の奥で・・・」
「ご不幸、ねぇ。私達地元住民はそんな暢気な口調では言い表せないな」
2年前、ここでは異臭騒ぎがあり、のちにそれがホームレス男性の遺体が河川敷で孤独死していることが発覚した。
以前から持ち上がっていた町の文化財登録への意欲とは裏腹に、路上生活をしていた人への視線は厳しくなっていた。
すると、ある日を境に、パタリと姿をくらませたのが、例のホームレス男性だっととのこと。
住民は半ば理不尽な締め出しを促してしまったと反省しながら、一貫したうしろめたさがありつつ、死体発見場所も奇妙な噂が絶えないいわくつきであるという要素が重なり合って、現場への接触はタブー視されていた。
しかしそれでも抑えきれない良心の奮発を、篠輪せつなのようなボランティア集団が中和するかのように一人儀式と行っているのだそうだ。
「それで幽体離脱を模した出動の仕方を・・・」




