プロローグ
「被告人、前え!」
その男は15歳の少年であった。
「被告人を禁固刑1億年とするっ!!」
裁判官が少年に告げた刑は、世の中を震撼させた。
歴史あるこの国で初めて起きたこの裁判での結果。いったい少年を何をしてしまったのか。
そして、何故各国の国王が裁判所に同席しているのか。
この異様な光景に傍観者たちは驚きを隠せなかった。
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世間を騒がせてから1週間が経過し、牢屋での生活が慣れてきたある日
「出ろ!!」
静かな牢屋に1人の兵隊が荒い声が響いた。
「うわっ!びっくりした~」
あまりに唐突な出来事に少年はビクッと体を震わせた。そんな少年の姿は、決していいものではなかった。真っ暗な鉄づくりの部屋に手足を拘束されている状態である。
「拘束を解いてやる!」
兵隊はそう言い、少年の拘束玩具を解いた。
「やっべ、手足が動かせる。泣きそっ」
少年は1週間ぶりに手足の自由を味わい、泣きそうになっていた。
しかし、そのあとすぐに目元を隠された。
「はいはい、次は目なんですね」
そして少年は、兵隊から行く場所を明かされず、目隠しをされたまま連行された。
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「そのまま進め」
「はいはい」
少年はある一室に通された。
「目元のそれを外してやれ」
「ハッ!」
先ほどの兵隊の声とは異なる穏やかな声が部屋に響いた。そして、目隠しを外された少年は驚愕してしまった。
「うそだろ.....」
「元気にしていたか、少年」
少年は目の前に広がる光景に目を疑ってしまっていた。
「なんで国王がいるんだ」
そう、少年の目の前にはこの王国の長「国王様」が座っていた。そして少年が案内された場所とは、まさに国王の自室であった。
「裁判所ぶりかな?少年」
少し笑みを浮かべながら、そのまま国王が言葉を続ける
「君が犯した罪、国家機密である××××を窃盗した罪は今までに類を見ないくらい罪が重いのだ」
「しかし、そんな大罪人である君と交渉をしたいのだ」
「交渉....?」
「そうだ、君なら、、いや君しかできないことなのだ」
自室に少年を招待するほど、交渉したいこと、そして秘密裏に行う必要性があることが少年自身にも理解できていた。
そして、真剣な顔つきで国王は言葉を続けた。
「娘の頭についているティアラを盗んでくれないか」
少年の名前は、イリアル・フォビィウス。窃盗に関する天才である。
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