第一話 襲撃
初めて書いてみました。投稿するのも初めてで、右も左も分からないですが何卒宜しくお願いします。
第一話 襲撃
「ヘデラ、ご飯よー」
藁葺き屋根の家から向かってすぐ後ろの木に向かって母は呼びかける。
「はーい」
ヘデラは大きく返事をし、またがっていた木の上からスルリと降りていく。
この村『アガパンサス』の人々は、いわゆる先住民族だった。
彼らなりに文明は築き、巨大な木や森の近くに住んでいた。
「ねえ、ヘデラ。私達はね、普通の人間にはない特殊なチカラを宿しているの。でもね、そのチカラは誰かを傷つける為ではなくて守るためなのよ。」
母は優しい口調で言った。
「分かってるって。」
ヘデラは何回もその話を聞いているので、次第に鬱陶しくなっているのである。
だがそれも仕方がない。その言葉を言う母はまるで宗教じみているからだ。
この村の住民には言い伝えがあり、普通の人間にはないチカラを宿しているという。だがそれはどのように発動するのかもわからないのである。
「あ、お母さんね、今から隣の国に買い物に行ってくるから、遅くなるけど留守番お願いね。」
母はご機嫌な様子だ。
ヘデラは思っていた。
いくら家が貧乏でも、毎年毎年誕生日プレゼントすら子供に与えないのはどう言うことかと思っていた。
「せめて10歳の誕生日くらい何かくれたっていいじゃないか。くそぅ」
「お母さんはどうせ新たな男を捕まえるための化粧品や服などを買い揃えるに違いない。」
そんなことをヘデラは考えていた。この後自分がいかに醜い奴だったと知ることになるなどと思わずに。
日が落ちてしばらく経っても母は帰らず、ヘデラは戸惑いを隠せなかった。
だが、村の入口から何か騒がしくなったかと思うと、5人ほどの大柄の男たちが何かをぶら下げてこちらに向かっていた。
見張りが眉間にシワを寄せる。
「何だあれ、誰かこっちに来てるぞ。暗くてよく見えないな。なぁ、あr…」
一瞬のことだった。銃声が村中に鳴り響いたかと思うと見張りの一人の顔の半分が無くなっていた。
他の見張りは絶句して2秒ほど固まったが、すぐに銃を乱射した。
「うわぁぁぁ!」
だが、銃撃戦の経験をしてきた者たちとしたことの無くて精神が不安定な者たちとが戦っても結果は見えていた。一瞬にして村は崩壊したのである。
見張りがいなくなったことを知った奴らは、住民を一人ずつ殺し始めた。女子供も。
「なんか騒がしいな」とヘデラが思った直後、近所のオバサンがドアに突進するかのように家に入ってきた。
「ヘデラちゃん、お母さんは?」焦った口調でそういった。
戸惑いながらもヘデラは話した。
「え?お母さんは隣町に買い物に…」
おばさんは焦った様子で続ける。
「いい、今から言うことをよく聞くのよ。
何者かが村に侵入して村の人達を殺しているの。ヘデラちゃんも早く逃げて!」
ヘデラは何を言ってるのか分からず、問いただす。
「待って、一体何が…」
次の瞬間だった。
銃声が聞こえたかと思うとおばさんがズルリとヘデラの体から崩れ落ちた。
「え?」
5人組のトップでありそうな髭の濃い男が銃を構えながら言った。
「おお、可愛い子発見〜犯しちゃおっかなー」
ヘデラは何もわからずただ突っ立っているだけだったが、男の手に持っているソレを見て崩れ落ちた。
「おかあ…さん?」
男が持っていたのは母親の首だった。ナイフで無理やり切り離したのか、切断面はでこぼこだった。
「ああ、コイツか?コイツは隣町で歩いていたところをとっ捕まえて犯したあと、殺したのよ。イイ叫びだったぜ~。そういえば、なんかカバンの中に入ってたな。確か『ヘドラ、10歳の誕生日おめでとう。これはそのプレゼントよ。』って書いてある手紙とワンピースだったな。しかし、コイツの娘か〜さぞかしいい締まりだろうな〜。」
ヘドラは思った。自分がいかに惨めでどうしようもないクズだということを。母を蔑み、ましてや男を捕まえるために買い物に行ったんだと信じていた事を恨んだ。
「あぁあ…あ、あああああゴブッオエッ」
ついには嘔吐した。
男は続ける。
「さて、コイツみたいになりたくなかったらおとなしk…」
瞬間、男の腕か切り落ちた。
「え?な、な、なんじゃあこりゃあぁぁ!テ、メエなにしやg」
ヒュンと音を立てて今度は男の首を落とした。
「お、かぁ、さ…ご、め…」
ヘドラの手には竜巻型の風が発生していた。その風は一瞬で相手の手と首を切り落とした。ヘドラは半狂乱状態でいた。
その音に気づいた他の奴らが集まる。
「何だこの音は?って、え…ボス?コレは一体…」
仲間の一人が問いただす。
「まさか…てめえがやったんじゃねえだろうなぁ?もしそうなら…!!」
そう言って銃を向けた瞬間にそいつの首は落ちた。
「な、何が起こってんだよぉ!」
「知るか!撃ち殺せ!!」
銃が連射されるが、ヘドラの前で必ず威力を失い玉は転げ落ちる。
「き、きかねえ?!」
男の一人は思い出した。アガパンサスの人々には普通の人にはないチカラが宿っており、なにかのキッカケで発動するという代々伝わる恐るべき力を…
「逃げるぞ!はやく!」
そういった直後に残りの3人の首は落ちていった。
ヘドラは、人を殺めてしまった事よりも最後に母親に蔑んでいた自分を、ただひたすらに恨み、壊滅して誰もいなくなった村の中でひどく泣いた。
いかがでしたか?ヘドラのに発動した代々伝わるチカラ。その条件とは…そして、その後のヘドラは…という感じで連載していきたいと思います。ここまで読んでくださってありがどうございました。