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【 ババア無双 】  作者: W.A.M
第弐章 『ババア、異地にて隣を忘れず』
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第六話 『ババア、草と陽光と優しさに包まれる』

 

「ステラさん。これは、どういう、ことですか?」


 冷たくなった“石板”を挟み、私に相対した課長が問うた。

 課長はデスクに座ったまま、肩をすぼめ頭を垂れる私を見上げる体勢だ。



「えっと、これは……おばあちゃんがやったことで……」

「管理責任、という言葉を知っていますか?」


 こわい。

 間髪入れずに、がなり立てずに問い詰めてくる。

 やや色のついた眼鏡の奥が、こちらを鋭く突き刺す。

 ルックスもコワモテだ。

 もう一度言う。こわい。


「……」

「……」


 あーどうなるのかなーとか、弁償かなーとか、【ヤクザ無双】ていう小説が新連載されたらこの人主人公だなーとか、この気まずいサイレントを耐えていると、



「貴方には、特別任務を与えることにしました」


 沈黙を破った課長の言葉は、意外なものだった。




「あのおばあちゃんのクエストに、同行しなさい」






【 ババア無双 】


 第六話

『ババア、草と陽光と優しさに包まれる』






 というわけで、薬草採集のクエストを受けたおばあちゃんに同行することになった。

 課長曰く「ステータスを確認できない以上、実地で判断するしかないでしょう」とのこと。はい、ぐうの音も出ません。

 まぁいいか。今日もいい天気だし。薬草採集はそんなに危険もない初歩クエストだし。

 現地は町はずれの高原と森だから、ちょっとしたピクニックみたいなものね。



 今日もおばあちゃんは健脚です。現地まで歩いて行くつもりみたい。

 でも今日は、小型の手押し車と一緒だ。小型の物入れがアクセントでかわいい。

「歩きやすいし、この籠が結構モノが入るんだよぉ」

 そんなことを話しながら大通りを歩いていると。


 ドンッ。


「オイババァ!どこ歩いてやがる!!」

「そうだそうだ!!」

 二人組のあらくれさんに、ぶつかっちゃった。


 その口の汚さにムッとした私。

「ちょっと!何なのその言い方…」

「うるせぇ!!」

 でも、怒鳴るあらくれさんに押し切られてしまった。


「ここは大通りで!馬車の往来もあるだろうが!対面ですれ違うしな!!

 だから歩行者は端に寄って広がらずに歩きやがれ!!」

「そうだそうだ!いざという時に庇えねぇじゃねーか!!」


「あ、はい」

「ありがとう、気を付けるよぉ」


「覚えてやがれ!」

「そうだそうだ!できれば右側を一列にだ!!」


 その背中を、呆然と見送る私達。

「優しい人達だねぇ」

「え、あ、うん」


 優しい、のかなぁ。




「そう言えばステラちゃん。

 実はねぇ、さっき役場のロビーでも、別の男の人に怒鳴られたんよぉ」

「え!?どうしたの、大丈夫だったの?」

「窓口が開くのをまってたらねぇ、『ババア何突っ立ってんだ!』って」

「ちょ!ひどいそれ!出禁よ出禁!」

「それがね、『俺の席の横が空いてるだろうが!』って」

「ふぇ?」

「ふふふ、『年齢とともに関節の栄養は減っていくの知らねぇのか!労ってやりがれ!』ってねぇ。みんな優しい人達ばかりだよ」


 何そのツンデレ。


 そう言えば、町ゆく人達みんな、笑顔ですれ違ってく。

 ひょっとして、すっごくモテてる……?


 まぁ、おばあちゃんだからね。

 こないだの飴の味は、そうそう忘れられないよ。




 そんなこんなで、町はずれの目的地。

 薬草の群生地帯であり、一帯を見渡せる高原に着いた。



「遅かったな!」


 先客。そこには、




「やはり、貴女には我々のパーティーに入ってもらう!」

 

 ビシィ!という効果音とともにこちらを指さす、

 あの勇者3人組が待ち構えていた。





(後半へ続く)







<余談>



 ~高原の中ほど~


おば

「そういえば、この辺だったよぉ。異世界で初めて目覚めたのは」


ステラ

「へぇー。

 って、ホントに、原っぱのど真ん中に置き去りじゃないの!

 何て雑な転生するの、神様……」

作者です。

お読みいただき、ありがとうございます。


えー、今まで(とは言っても短いですが)挑戦してきた、

毎日8:08に投稿するという心の誓い、

別名“ババアチャレンジ”ですが、


早くも不可能と判明致しました。

朝ミーティングの途中でババアってるのバレたら私の首がババァンしてしまいます。



つきましては、今後、

毎日18:08に投稿の心の誓い、

別名“イイババアチャレンジ”に挑戦していくつもりですので、

今後ともお読みいただけますと、幸いです。


追伸。

↓の星の煌めきを与えていただきますと、とても喜びます。気が向いたら是非お願いします。

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