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【 ババア無双 】  作者: W.A.M
第肆章 『ババア、再び……』
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第18話 『ババア、敵黒幕殿も退室されたので失礼する』

「メガネ……貴様、何しに来た?わざわざやられに来たのか?」

 アゲハさんの言葉尻が、血走っているのが私にもわかった。


 でも、それに返すメガネは……なんていうか更に挑発的で。


「っはは、ご冗談を。

 逆です逆、勝利を確実にするためですよ。

 だから部下に頼らず、こうやって直接赴いて、ご婦人に手をかけた」


「はッ、とんだ趣味をお持ちなようだ……こんな高齢者がご趣味とは」

 ちょっ、それはアゲハさんとはいえ聞き捨てならないぞ!?


「そのご婦人の魅力がわからないようだ、愚かですね転生者よ。

 なら教えてあげましょうか。

 貴方達パーティーで行動を共にし、分かったのです。

 この町を……この地を手に入れるには、


 そのご婦人の力こそが。最も邪魔だ、障害である、と」






【 ババア無双 】


 第18話

『ババア、敵黒幕殿も退室されたので失礼する』






 さすが。

 こんな時までモテエピソードを披露ですか、おば…おねえさん。

 でも、少しだけわかるような気がするよ、私。


「そのご婦人の加護は……人々を奮い立たす。

 我々の信じるステータスだけでない。それ以上の“何か”を」


 アゲハさんも、それには反論しない。できない。だって……

 奮い立たされ成長したことは、アゲハさん自身が一番わかってるんだ。


「だから、あーし達をこの村から引き離して……」


「その通り。

 本来なら先日暗殺できたはずだったが、まぁいい。

 今日こうやってご婦人は無力化できたのだ。

 そして勇者タカユズルは、引き離され戦線離脱。

 これで!以前この村を襲撃したときとは、戦力が違うでしょう?」



「でも!何でこんな辺鄙な田舎なんかを!?」

 私の言葉は、もはや地元民代表の言葉だけど。

 それに対する侵略者の客観的評価は。びっくりするくらい違った。


「気付いていないのですか?この町の、あまりに恵まれた条件に」


「年間を通じ太陽に見守られ、三方を山に囲まれ、

 更には、転生者も今年だけで2人も召喚され……

 この地方は間違いなく、神々の寵愛を受けた地である、と!

 実に!我が領地に相応しい!!」


「え、転生者、2人……?」

「あれ、言わなかったっけ?

 あーしが目覚めたのって、おばあちゃんが住む前のあの家だよ」


 ええええ、聞いてない!

 こ、の勇者パーティーは、まったくっ!!



「つまりだ。全ては計画に沿った形で進んでいるのですよ!

 この私、父・魔王の第一皇子たる私の、野望通りに!」



「なら……この場でお前を倒して、野望を終わらせる!」

「おや怖い怖い。では私はこの辺りで失礼させていただこうか。

 先日の隣町と同じように、君達の相手するのは私ではなく、ね」


 その言葉を合図に。周囲が、魔の気配に包まれ……

 あの時と同じだ、東の空に、夥しい数の魔物の姿!!


 そしてメガネは、隙を見せずに後退し。

 気付けば、町の屋根の上に跳躍済みだった。


「くそっ!また逃げるつもりかっ、この卑怯者!弱虫!

 降りてこい!その眼鏡、指紋でべたべたにしてやる!!」


 そのアゲハさんの挑発にも全く乗らず、

 メガネは不敵な笑いを浮かべて。


「ふふ、価値観が違うようなので教えてあげましょう。

 ラスボスとはね……

 “強いこと”も重要ですが、それよりも。

 “やられない”ことに!最重要の価値が在るのですよ」


 そう言うと、メガネは消えていった。



 だが、悔しがっている場合ではない。



 カンカンカン!! カンカンカン!!

 けたたましい鐘の音が、辺りを引き裂き。


『市民のみなさん、魔物です。速やかに非難しましょう』


 町に、広報が鳴り響いた。



(続く)


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