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年の差10歳の恋  作者: いのかなで
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13/19

打ち上げと先輩の家にお泊りと

シャワーの音で目覚めた。知らない天井を見上げ昨日何があったか思い出す。


「えっとここどこだ・・・?」


 昨日はプレゼンの本番だった。プレゼンの仲間内での打ち上げに行った私達。実はプレゼンには結構色々な人たちが関わっていた。実際発表するのは私だったわけだけど、資料作りやプレゼンに使うパワーポイント作り、そして作業をしてくれた上司。後から聞いた話だけど、何故か清水先輩も今回のプロジェクトには関わっていて、打ち上げには清水先輩もいた。

 私はと言うと、プレゼン直後の出来事から幸子さんとの距離を開けていた。打ち上げ中にもちらちらと視線を感じたような気がしたけれど、私は知らないふりをして。出来るだけ幸子さんとは離れた席について清水先輩と飲んでいた。清水先輩という気ごころが知れた人と飲んでいたせいか、清水先輩に誘われるがまま二次会に出かけた。清水先輩が私の新人担当をしてくれていた頃からそれは結構あることだった。それに、私は昨日は幸子さんのことで凹んでいたこともあったのかも知れない。昨日の私は確実に飲み過ぎだった。清水先輩においおい大丈夫か?と心配されていた事をかすかに覚えている。


「清水先輩の家?」


 そう思ってからはっとして自分の姿を確認する。よかった服着てる。しかし、昨日は本当に飲み過ぎだ。相変わらず二日酔いと言うのは無いのだけど、記憶がないのが我ながらイタい。


「おー起きた?」


 さわやかに髪の濡れたイケメンが現れる。白いTシャツにトランクスのパンツ姿の清水先輩ですけど。


「ちょ、下履いて下さいよ」

「えーいいじゃん昨日はあんなに激しく求めてくれてたのに」

「そ、そんなわけないですよね??服着てますし」


 バレた?と笑ってごまかすあたりも清水先輩らしい。


「しかし、昨日の上野ちゃん荒れてたね。本当にヤっちゃっててもおかしくない状況だよこれ」


 よく我慢した俺と言ってガッツポーズをする清水先輩。確かに私がうかつだった。飲んだ挙句お持ち帰りされちゃったというに等しい状況である。相手はしかもあの女ったらしの清水先輩で、何もなかったことが不思議なくらい。


「あの、すいません先輩泊めてもらって。それで、昨日私どうして泊めてもらったのか覚えてないんですけど・・・」

「あーそれはあれだけ飲めばね。流石に一人暮らしの俺のところに連れて来るのはためらったけど、帰りたくないとか言うから仕方なく?それで夜中までずっと喋ってたよ。」

「うぇ、すみません」

「いや、まぁ恋愛は大変だよね。」


 ちょっと待て。私は何を昨日言ったんだ?全く記憶にないことに焦る。しかも、今の私の恋愛って幸子さんの可能性が高いんだが。


「せ、先輩私何か言ってました・・・?」

「好きな人が相手してくれなそうとか。アピールしても妹みたいだと思われてるとか」

「な、名前とか言ってました・・・?」

「いやー?職場の後輩がどうとか聞こえたけど?」


 良かった。名前は言ってないみたいだ。後輩と言っても幸子さん以外にも今年の新入社員は何人かいるし。先輩に私の趣味がばれなくて良かったと一安心した。


「それにしても、そろそろ準備しないと会社遅刻するぞ?」


 言われて見て気づく。時刻は7時を回っていた。これは帰って着替える暇はなさそうだ。昨日と同じ服装になってしまうのは仕方ない。化粧直しさせてもらって先輩ん家から出社するか。


「佐伯さんってさ、彼氏いるのかな?」

「んあ?何ですか急に」

「俺、密かに狙ってるんだよね。」

「うえ?」

「俺こう見えて一途なのよね。だから昨日ヤラなかったじゃん?」


 こっちに同意を求められても困る。しかし、清水先輩が幸子さんを狙ってるだと?


「佐伯さんは清水先輩にはもったいないです。」

「上野ちゃんそう言わないでさ、今度紹介してよ」

「嫌です。先輩には佐伯さんはあげたくないです」


 ちぇっという不満顔の清水先輩と一緒に出社した。


 今はセクハラと言われるのが怖いせいか、昨日と同じ服を着てても突っ込まれたりはあまりしない様で、少し心配して損をした気分だった。まぁ陰では言われているだろうけど。「上野さん昨日と同じ服よ。彼氏のとこにお泊りかしら」という声が今にも聞こえてきそうな視線ではある。まぁ面と向かって言ってこないのは気にしても仕方がないからあきらめて仕事に没頭することにした。


「うっえのちゃーん!」


 だからその気の抜けた呼び方辞めてくださいよ先輩と思って振り向けばやはり今朝ぶりの清水先輩だ。


「どうしました先輩」

「そんなじとっとした目で見ないでよ。昨日はあんなに語ったのにさ」

「っちょ!先輩!」


 誤解されたらどうするんだ。事実が事実なだけに今日は私に向ける視線がそんな雰囲気の時にやめてくれ。


「で、なんの用ですか」

「なんもー?」

「は?何もないのに来たんですか?先輩別の部署でしょ?」

「今朝のやつの目的を観察しに来ただけ」


 やっぱいいなぁと先輩の眺める先は幸子さん。ちょっとやめて、先輩に幸子さんを汚されるみたいですごく嫌なんですけど。一通り眺めたら満足したのか清水先輩は自分の部署に戻って行った。全くなんだったんだ。私の幸子さんだぞと独占欲丸出しの心の叫びを抑えながら仕事に戻った。


 今日は流石に疲れていた。飲み会の次の日に出社というのは結構キツイもので。ようやく終わった仕事に帰ったあとはすぐに寝ようと心に決めて家に帰った。


 スマホの着信音にこんな時間に誰だと思って画面を見ると美智子からだった。


「はーい」

「もう寝てたの雅美?」

「んー寝不足だったから。」

「あーそう。」

「で?何?」

「いや、姉ちゃんがね。電話しろってっちょ姉ちゃん痛い」


 なんだか幸子さんの声がする。「もうみっちゃんの馬鹿」という声。何故か怒られている美智子はしばらく幸子さんと格闘したあと、ああごめんと言って電話に戻った。


「昨日さ、飲み会だったんでしょ?」

「うん、そだけど」

「何かその後雅美がいなくなったのが心配だったらしい。」

「あー。飲み過ぎたから先輩んちに泊めて貰っただけだよ」

「それって男?」

「うん。まぁ。」

「わかったちょっと待って」


 何やら幸子さんに教えているらしい美智子の声がかすかに聞こえる。「彼氏」というワードが出た気がした。


「美智子何幸子さんに教えてるの?」

「いや、だから雅美が昨日彼氏ん家に泊まったって」

「ちが!彼氏じゃないから」

「でもさ、男んちに泊まったらそれでしょ」

「だから違うから!ヤッてはない。ただ喋ってただけらしい」

「らしいって、雅美まさか記憶ないの・・・?」


 うぅと声にならない声が出て肯定した。信じられないようで、また幸子さんに報告してるし。もう、やめてよ。


「雅美前科あんじゃん?」


 美智子の言っていることは、私の学生の時の失敗談である。飲み過ぎて記憶無くして、知らない男の人とヤッてしまった過去。黒歴史である。あの時に絶対もう記憶無くすまでは飲まないと決めていたはずだった。美智子はこの過去を知っている。


「それはそうなんだけど」

「雅美ちゃん?」

「えっと、幸子さん?」

「明日私の家に集合」


 有無を言わせぬ迫力にはいと返事をしてしまった。幸子さんなんか怒ってる気がする。私が何かしたのだろう。明日は休日、幸子さんのお家にお邪魔する。この雰囲気だと怒られる気がする。今から冷や汗が出て来る。



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