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異説・東方紅魔郷  作者: 小湊拓也
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第1話 怒りの弾幕少女

原作 上海アリス幻樂団


改変・独自設定その他諸々 小湊拓也

 本来こういう作業は夜間に行うべきなのだろう、と俺は思う。

 まあ夜は夜で忙しい。空いた時間に済ませておくべき仕事ではあった。

 大久保の運転するパワーショベルが、山の地面をほじくり返している。

 うちの会社が所有している山である。かなり無理をして、買い取ったようだ。

 こういうものを、埋めるためにだ。

「許して……許して、くださぁい……」

 ボコボコに顔を腫らした男が、森川と隅田に取り押さえられたまま泣きじゃくっている。

「お金なら返します……もうちょっとで、返せますからあぁ……」

「もういいんですよ石岡さん。お金は、もういいです。あんたに返せるワケねえってのは、わかりましたから」

 微笑みながら俺は、石岡にタバコの煙を吹きかけた。

「だからね、金返す代わりに埋まってもらいます。まあアレだ、借りパクした人ほっといたら色々と示しがつきませんし、うちの会社のこれからの商売にも差し障りが出ますからね」

「矢野さーん。深さ、このくらいでいいッスかねえ」

 大久保が、重機の運転席で大声を出す。俺は怒鳴り返した。

「バカおめえ全然足りねえよ、人1人埋めようってんだぞ!」

 生かしたまま埋めるか。せめてもの情け、死体に変えてから埋めてやるべきか。俺は思案した。

「それにしても……うちの会社、こんな山持ってたんスねえ」

 泣きじゃくる石岡に蹴りを入れながら、森川が言う。

「……何か、建物がありますけど。大丈夫なんすか?」

「ほう……何だいこりゃ、神社か」

 木立の中で朽ち果てかけた、掘っ立て小屋のようなものを、俺はちらりと観察した。

 拝殿であろうか。辛うじて、神社の原型は残しているようである。

 貧相な鳥居は、いつ倒壊してもおかしくない。

 こういうものの有無を確認せず、かなり大急ぎで買った山である。いくら何でも、人が住んでいない事くらいは確かめてあるだろうが。

 いきなり、声をかけられた。

「何やってんのよ、あんたたち。こんな所で」

「ああん?」

 そんな声を出しながら、俺は息を呑んでいた。

 そこにいたのが、1人の少女だったからだ。紅白の少女。第一印象は、それだ。

 何しろ神社がある。赤と白を基調とした衣服は、もしかしたら巫女装束のつもりなのかも知れない。紙垂の付いたお祓い棒を携えている。

 コスプレにしか見えない、というのが正直なところではあった。

 長い黒髪に赤いリボンが、まあ似合ってはいる。顔は可愛いが、俺の好みではない。

 こういう小娘を放ってはおかないのが、女子高生好きの戸塚である。ニタニタと獣欲を剥き出しにしながら、少女に絡んでゆく。

「困るなあ、お嬢ちゃん。私有地に勝手に入り込んだらあ、何されても文句言えないよぉお?」

「私有地って何。ここ博麗神社の敷地なんだけど」

 紅白の少女が、謎めいた事を言っている。

「変なもの埋めないで、持って帰ってよね。それ」

「……石岡さん、良かったですねえ。可愛い女の子と一緒に埋めてあげられますよ」

 俺は、部下たちに娯楽を提供してやる事にした。

「なあ嬢ちゃん、見られちまった以上は埋まってもらうしかねえ……お前ら、好きにやっちまっていいぞ。どうせ殺すんだ」

「マジ? や、やっちまっていいんスか矢野さん。あんな事とか、こんなコトとか」

「こここここんとこ風俗も行けなくてぇ、溜まりまくってんすよ俺。ぶぶぶちまけてイイんすか、こここんな可愛い子に」

「じっ嬢ちゃんよォー、抵抗してくれていいんだぜえ? その方が俺も燃えっからよぉおおお」

 戸塚にそう言われて、少女は遠慮をしなかった。

 ヒキガエルを思わせる戸塚の顔面が、音を立てて激しく歪む。折れた歯が飛び散る。

 少女の愛らしい片手が、平手打ちの形に叩き込まれていた。

 倒れ伏した戸塚を片足で踏みつけながら、紅白の少女は言う。

「……すっとぼけた事言ってると、口の中に弾幕ぶち込むわよ」

「てめえ……!」

 森川と隅田が、石岡を放り出して身構える。

 石岡がそそくさと逃げて行くが、気にしている場合ではなかった。

 森川の身体が、へし曲がっていた。

 少女の、赤い袴のようなスカートが跳ね上がり、綺麗な脚線が鞭のようにしなったところである。これほど見事な蹴りを、俺は見た事がなかった。

 反対側から襲いかかった隅田が、お祓い棒に叩きのめされて吹っ飛び、大木に激突し、ずり落ちる。

 西田が、久我山が、林が、他何人もの男たちが、血飛沫を吹いて揺らぎ、倒れ伏し、錐揉み回転をしながら吹っ飛んで行く。少女のしなやかな四肢が、紅白の衣服をはためかせて躍動する度にだ。

 俺は懐から拳銃を抜き、警告も無しにぶっ放していた。

 動くな、などと言っている間に殺される。そんな気がしたのだ。

 山中に銃声が響き渡り、少女の細身が激しく翻る。

 銃弾を撃ち込まれ、よろめいた……わけではない。

 かわしたのだ。まるで、舞うように。

 俺は、引き金を引き続けた。

 銃声が轟く度に、少女の柔らかな細身が躍り、赤いリボンが揺れ、黒髪がふわりと跳ねて弧を描き、白い袖が翼のように舞う。つるりと綺麗な腋の下を見え隠れさせながらの、回避の舞い。

 慣れている。俺は呆然と、そんな事を思った。

 この少女は、銃弾をかわす事に慣れている。弾丸が絶え間なく身体をかすめるような銃撃戦を常日頃、経験している。

 そんな根拠のない確信を抱きながら、俺は引き金を引き続けるしかなかった。

 弾切れの音が、虚しく響き始める。そんな事にも、俺は気付かなかった。

「……弾幕戦をやりたいんなら、最初っからそう言いなさいよね」

 相変わらず謎めいた事を言いながら、少女が片手で何かをかざした。

 札、である。何やらよくわからぬ文字が書かれている。

 それは、呪いの言葉に違いなかった。丑の刻参りの類とは違う、人を即座に殺せる呪い。

 そんな事を思いながら、俺は地面に座り込んでいた。

 巨大なものが、傍を爆走して行く。大久保の運転するパワーショベル。少女を、躊躇いもなく轢き殺す動きだ。

 札が、飛んだ。

 少女が投げつけたようでもあり、札そのものが自力で飛んだようにも見える。

 その札が、パワーショベルに貼り付いた。そして爆発した。

 重機の残骸もろとも、大久保が吹っ飛んで行く。

「博麗神社は、結界の要……幻想郷、だけじゃない。こっちの世界を守るためのもの」

 言いつつ、紅白の少女が片手をかざす。

 呪いの札が、何枚も出現していた。愛らしい五指が、それらを扇型に広げてゆく。

「それをね、あんたたちが蔑ろにしたら駄目でしょう。何、こっちの世界は別に守らなくていい? あっそ。じゃ滅ぼしちゃおっかなー」

「何やってんだ霊夢、おい!」

 少女がもう1人、いつの間にか、そこにいた。

 霊夢というのが、紅白の少女の名前か。

 新しく現れた方は、言うならば白黒の少女だった。霊夢が巫女なら、こちらは魔女だ。黒いとんがり帽子からは、艶やかな金髪が溢れ出している。顔は可愛いが、こちらも俺の好みではない。

 無論そんな事を言っている場合ではなかった。

「人殺しをやるつもりかよ! それもお前、外の世界で!」

「幻想郷で人死にが出なきゃいいのよ。外の世界の人間なんて、何人死んだって私の知った事じゃなし」

「冗談で言ってるんだと思いたいぜ……そこの連中、とっとと逃げろ! 早く!」

 白黒の少女が、霊夢を背後から取り押さえながら叫ぶ。

 言われずとも、俺は逃げ出していた。

 戸塚や隅田たちも、鼻血を垂れ流したり悲鳴を上げたり足を引きずったりしながら逃げた。

 怒声だけが、追いかけて来る。

「ちょっと、放しなさいよ魔理沙! あいつら許さない、待てこらぁあああああッッ!」

「だから、こんな事やってる場合じゃないんだぜ……おい、お前ら2度と博麗神社には近付くなよ。妖怪がこの辺りをうろつく事もある、お前らなんか喰われて終わるぜ!」

 どうやら魔理沙というらしい白黒の少女が、意味不明な事を叫んでいる。

 悪い夢でも見ているのだ、と俺は思うしかなかった。



 外から見た博麗神社は、寂れた廃屋である。

 誰もいない、と思われるのも無理はない。だから、あのような輩が寄って来る。

「もっと立派な神社に建て替えればいいと思うんだぜ」

「……そんなお金、どこにあるのよ」

 博麗霊夢が、じろりと睨みつけてくる。

「魔理沙も、魔法の研究してるんなら錬金術でも編み出しなさいよ。で私にお金ちょうだい」

「あんまりカネカネ言うなよ。巫女ってのは、俗っぽさを出しちゃいけない職業だと思うぜ」

 廃屋同然の神社の境内を、霧雨魔理沙は霊夢と一緒に歩いていた。

 ふと空を見上げる。

 気持ちが良いほどの、青空だった。

「……こっちの世界は、いい天気だぜ」

「地面で蠢いてるのは本当、ゴミみたいな連中だけどね」

 霊夢が呟く。

「弾幕ぶちまけて皆殺しにしたくなるわ。こっちの連中、冗談抜きで」

「お前なあ、全然知らないわけじゃないだろ。幻想郷の生活ってのは案外こっちの世界の物に依存してるんだぜ?」

「物だけあればいいの。人は要らない」

「まったく。そんなんだから鬼巫女とか黒巫女とか言われるんだぜ」

「言ってる連中、いつか滅ぼす」

 愚かな会話をしながら歩いているうちに、境内の風景が変わっていた。

 廃屋から、それなりに立派な神社へと。

 幻想郷の側から見た博麗神社は、まあ、このようなものである。それなりに、という程度ではあるが、神社として機能している建物には見える。

 巫女である霊夢が毎日、一応はきちんと掃除をしているのだ。

 例えば先程のような輩が、普通に歩いているだけで、こうして幻想郷に入り込む事はない。

 幻想郷と「外の世界」の往来が可能な人間は、限られてくる。例えば霊夢や魔理沙程度には「力のある」人間でなければ、この博麗大結界を超える事は出来ない。

 魔理沙はもう1度、空を見上げた。

「外の世界は、いい天気……だったんだけどな」

 赤い。その一言で表現するしかない有り様である。

 鮮血を思わせる赤色が、空一面に広がり、地上にも仄かに立ち込めている。

 紅い霧が、太陽を覆い隠していた。

「夏なのに涼しい、のはまあ悪くないんだけどねえ」

 霊夢がぼやく。

 夏に、日照が遮られる。それが地上に、特に農作物に、どれだけ深刻な事態をもたらすのか。

 この紅い霧を発生させた何者かに、それを想像するような思考能力があるのだろうか。

 あるとすれば、幻想郷に住まう人々にそれだけの害を与えて問題なしと、その何者かは判断したという事になる。

「……悪意、って言うんだぜ。そういうのは」

 この紅い霧が、自然現象の類ではなく、悪意ある何者かの仕業である事を、魔理沙はほぼ確信していた。

「普通に考えて……あいつらの仕業、って事になるよな」

「湖の近くに湧いて出て来た連中ね」

 幻想郷で湖と言えば『霧の湖』を指す。その名の通り霧深い湖で、妖精やら妖怪やらが集まりやすい。

 基本的には、放置しても特に問題のない妖怪ばかりである。釣り人が妖怪に釣られる事も稀にあるが、その辺りは幻想郷においては自己責任だ。

 放置するには、あまりにも不可解なものが数日前、湖の畔に出現した。

 巨大な、洋館である。

 外の世界から時折『もの』が入り込んで来るのが幻想郷。とは言え、これほど巨大な『もの』が現れたのは、魔理沙の知る限りでは初めてだ。

 そして。この紅い霧が幻想郷全域に発生したのは、洋館の出現とほぼ時を同じくしての事である。

「あの屋敷に誰か住んでるとして、そいつらが犯人なら……しばく。犯人じゃないにしても、何かしら関係あるってんなら色々聞き出さなきゃいけないんだぜ。その何かしらの度合い次第では、やっぱりしばく」

 言いつつ魔理沙は、魔法の箒をくるりと振り回した。

「というわけで、私らの出番なんだぜ霊夢」

「やけに乗り気じゃないの。幻想郷のために異変解決を頑張ろうってわけ?」

 霊夢が、じとりと疑わしげな目を向けてくる。

「お金持ちっぽいお屋敷だもんね。何か、めぼしい物があるかも知れない……なんて、これっぽっちも考えてない?」

「わはははは。これっぽっち、くらいは考えてるかも知れないぜ」

 魔理沙は笑い、霊夢は溜め息をついた。

「まったく……欲で身を滅ぼすのは勝手だけど、私を巻き込まないでよね」

 言いつつ霊夢が、賽銭箱を開いている。

「うぎぎ、今日も全然入ってない……さっきの奴らから奪っとけば良かった! ちきしょーっ!」

「……欲で身を滅ぼす前に、ほら異変解決さっさと行くんだぜ」

 魔理沙は箒にまたがった。

 これが無くとも空は飛べるが、あった方が便利ではある。飛行を箒に一任しておく事が出来るからだ。

 ともかく。真紅に染まった空へと向かって、魔理沙を乗せた箒が地上から射出される。

 風を切る魔理沙に、霊夢が追い付いて来る。白い付け袖を翼のようにはためかせながら、霊夢は箒も使わず空を飛んでいる。

「何かもう頭に来た。私に断りもなく幻想郷に入って来て何かやらかしてる連中! 全員ぶちのめす! ちょっと、待ちなさいよ魔理沙!」

「ほらほら、さっさと来ないと私1人で異変解決しちまうんだぜー」

 魔理沙は思う。

 他はともかく、速さだけなら霊夢には負けない。



 妖精たちが、楽しそうにしていた。

 歌い、飛び回り、舞い踊り、そして弾幕をぶちまけている。

「何だこりゃああああああああああ!」

 縦横無尽に飛行する箒にしがみつきながら、魔理沙が悲鳴を上げた。

 眼下に広がるは霧の湖。冷気を孕む霧が、普段から立ち込めている場所である。

 それにも増して、今はこの紅い霧だ。湖上は今や、この世のものとは思えぬほど禍々しく烟っている。

 その烟りを断ち切るように、魔理沙は飛び回っていた。右へ向かって高速で霧を蹴散らし、即座に左へ取って返したかと思えば上空へ向かい、急降下を敢行し、湖面にぶつかる寸前で方向転換をして水飛沫を蹴立てる。

 妖精たちの放つ光弾を、ことごとくかわしながらだ。

 相変わらず、見事な高速回避ではある。しかし、と霊夢は思う。

「飛ばし過ぎよー魔理沙。駄目駄目、妖精の弾幕なんて、こう最低限の動きでかわさなきゃ」

 ふわりと空中に浮いたまま、霊夢は身を揺らめかせ翻した。白い袖が、軽やかにはためいた。

 つるりと綺麗な腋の下の近くを、妖精の光弾が通過して行く。

 純粋な速度は魔理沙に劣るとしても、制動を駆使した小刻みな回避は自分の方が上であると霊夢は自負している。

「ま……張り合っても意味はないんだけど、ね。それにしても」

 妖精が人間に悪戯をするのは、本能のようなものだ。鳥は飛び、魚は泳ぐ。それらと同じように、妖精は悪戯をする。

 例えば、歩いている人間を道に迷わせ、ひどい時には落とし穴や崖に導いたりもする。

 こんなふうに直接、弾幕をぶつけてくる事はない。霊夢の知る限りでは。

「露骨に人を殺しにきてるってわけ……それ、もう悪戯じゃないわよ。わかってんでしょうね妖精ども!」

 霊夢の左右に浮かぶ2つの陰陽玉が、怒声に合わせて光を放つ。

 迸った光が、妖精たちを粉砕していった。

 外見は小さく可憐な少女である妖精たちが、ことごとく砕け散ってゆく。

 無残に飛び散った肉片が、キラキラと光の粒子に変わりながら集合し、少女の形を取り戻す。

 これが、妖精という生き物の最も厄介な点であった。粉砕した程度では死に至らない。再生してしまう。だが。

「早過ぎる……!? 一瞬で再生するなんて……」

 際限なく襲い来る光弾を、お祓い棒で打ち砕きながら、霊夢は息を飲んだ。

「くそっ、どうなってんだ! こいつら!」

 魔理沙が叫び、箒を駆る。星を、ばら撒きながらだ。

 星あるいは金平糖にも似た、破壊の光。

 超高速で撒き散らされるそれらが、妖精の群れを片っ端から粉砕してゆく。

 破片を蹴散らすように魔理沙は飛行し、霊夢の近くで急停止した。

「妖精どもが発狂してる! こんなの見た事ないぜ」

「……聞いた事は、あるわ」

 魔理沙に打ち砕かれた妖精たちが、ことごとく再生復活してゆく様を見据えながら、霊夢は言った。

「妖精が、群れて暴れる。それは警告……とんでもなく危険な妖怪の類が、近くに潜んでる証だって」

「……ま、アレの事だろうぜ。当然」

 魔理沙の視線の先。霧の奥に、巨大なものがある。湖畔に、そびえ立っている。

 暗黒の塊……いや、よく見ると紅いのか。

 紅い霧が凝り固まったかのような、赤色の巨大建造物。

 幻想郷に突然、現れた、例の洋館であった。霊夢と魔理沙の目的地である。

 妖精たちの動きは、洋館を警護しているかのようでもある。

「この妖精ども、まさかとは思うけど……あそこに住んでる妖怪だか何だかに、手懐けられちまったんじゃあ」

「妖精が? ありえない。この連中に、誰かのコントロールを受け付けるような知能なんて、うぐっ!」

 空中で、霊夢はのけぞった。妖精の光弾が、顔面に命中したのだ。光の飛沫が、飛び散った。

 霊夢にしてみれば、雪玉がぶつかったようなものだ。だが普通の人間が食らえば、頭蓋骨が陥没する。

「おい霊夢、大丈夫か……って痛、痛い痛い! 痛いって!」

 いくつもの光弾が、立て続けに魔理沙を直撃した。

「こいつら……狙いが、良くなってきてるぜ……!」

「動きもね……」

 空中を蹴るようにして、霊夢は後退した。

 一瞬前まで霊夢がいた辺りの空間を、いくつもの光弾が高速通過する。

 最小限の動きで回避、などと言っている余裕も無くなりつつあった。

 妖精たちは、でたらめに飛び回っているように見えて、そうではなかった。

 超高速飛行を続けている魔理沙も、湖畔の赤い洋館には一向に近付けずにいる。

 編隊飛行と弾幕展開を披露し、完璧に洋館を警護している妖精たちを、霊夢はじっと観察した。

 あり得ない、と思いたいが間違いない。

 何者かが、この妖精の群れを統率している。

「立ち去りなさい……」

 統率者は声を発し、自ら正体を明らかにした。

「紅魔館に近付いては駄目……お願いです、立ち去って下さい」

 妖精は通常、小さな少女の姿をしている。人間の、およそ10歳前後の女の子が最も近い。

 だが、その妖精は、霊夢や魔理沙とそう違わぬ年齢の少女に見えた。10代の、半ばから後半。

 成長した妖精。そんな、あり得ない単語が霊夢の頭に浮かんだ。

 幼い少女の姿で発生し、そのまますぐに寿命を迎えて消滅し、また発生する。それが妖精だ。

 妖精が成長するなど、少なくとも幻想郷では起こり得ない事態である。そのはず、なのだ。

「……紅魔館、っていうのか。あの建物は」

 魔理沙が、その妖精と会話を試みている。

 妖精と会話。これもありえない事態だ、と霊夢は思う。

「なあ、お前さん方……その紅魔館の連中に、飼い馴らされてるのか? 雇われてるのか? どんな餌もらってんのか気になるぜ」

「馬鹿にしないで下さい。私たち妖精を、餌で飼い馴らす事なんて出来ません」

 成長した妖精が、いくらか気を悪くしたようである。

 成長した妖精……大妖精、と霊夢は呼称する事にした。大きかろうが、所詮は妖精である。

「私はただ、貴女がたのような人たちに……紅魔館の方々を、刺激して欲しくないだけです」

「なるほど。私らがここで暴れてると、藪をつついて蛇どころか龍を出す事になりかねないわけか」

 所詮は妖精でしかないはずのものと、魔理沙は興味深げに会話を続けている。

「あの紅魔館ってとこには……龍が棲んでるわけだな。そいつは実に興味深い、つついてみたいぜ」

「興味本位で、そういう危ない事をする。好奇心で危険を呼ぶ! あなたたち魔法使いの、いけないところだと思います。紅魔館の方々を怒らせでもしたら、幻想郷全体にどんな災いが広がるか」

「好奇心と探究心を無くしたら、魔法使いはおしまいなんだぜ」

「ちょっと魔理沙、何やってるの……」

 霊夢は、ようやく言葉を挟む事が出来た。

「何、妖精と……話なんか、してるのよ」

「現実を見なきゃ駄目だぜ霊夢。妖精が喋ってる、それもちゃんとした自分の考えを持って……こいつは紅い霧なんかよりも異変なんだぜ」

 魔理沙の悪い癖が出始めた、と霊夢は思った。

「本で読んだ事あるぜ。幻想郷の状態を知りたかったら、まず妖精を調べろって……霊夢! あの妖精、私がもらうんだぜ!」

 燃え上がる魔理沙を冷やすような風が吹いた。

 この湖上には常に、冷気を孕んだ霧が立ち込めている……にしても寒い、と霊夢は感じた。それに痛い。

 剥き出しの二の腕に、ぴしぴしと冷たいものが当たってくる。

 大粒の雪、あるいは氷の粒だった。

「いけない……早く立ち去って下さい、本当に」

 大妖精が、焦り始めている。

「あの子が来る前に、早く……!」

「あの子、ってのも妖精か」

 魔理沙が言った。

「お前さんと同じく、何かおかしな感じになっちまった妖精がいるのか」

「妖精を餌で飼い馴らす事は出来ない、とは言いましたけど……実はその、紅魔館の方に手懐けられちゃった子が1人いるんです」

 俯き加減に、大妖精が答える。

「その子が来て、貴女がたのような人たちと顔を合わせたら、ちょっと面倒な事になるんです。だから早く立ち去って下さいと」

「目の前に、異変の塊が立ちはだかっている。群れている」

 濃霧の奥にぼんやりと佇む、紅魔館の威容。それを守る形に群れる妖精の編隊。

 見据えながら、霊夢は言った。

「逃げられるわけ、ないでしょうがっ……! 博麗の巫女がどういうものか、妖精の頭でもわかるくらいに! 思い知らせてやる!」

 陰陽玉から光が迸り、大妖精を直撃する。

 間髪入れず霊夢は、呪符を投げた。先程、外の世界で、重機を破壊した一撃である。

 大妖精が、まともにそれを喰らった。血飛沫が散った。

 空中でよろめき、だが墜落せず踏みとどまっている大妖精に、霊夢は声を投げた。

「原形をとどめているとはね……その頑丈さ、耐久力、妖精とは思えない。とんでもない突然変異ね」

「……普通の妖精は……一撃で、キラキラ砕け散って再生します……今の私みたいに、痛みを感じる……暇もなく……」

 可憐な美貌を流血で汚しながら、大妖精は苦しげに微笑み、そして周囲の妖精たちを見回した。

「ああ、本当に痛いです……こんな痛みを知れば、この子たちも……少しは、慎重になってくれるんでしょうか……お馬鹿な悪戯をする事も、なくなって……人間の方々とも、仲良く出来るんでしょうか……」

「……妖精が、本当におかしくなってるみたいね」

 霊夢は呟き、もう1枚の呪符をかざした。

 それを、しかし大妖精に撃ち込む事は出来なかった。

「ちょっと魔理沙、何やってんの!」

「言ったろ? この妖精は私がもらって行くんだぜ」

 空中でよろめく大妖精の背後に、いつの間にか魔理沙が回り込んでいた。

「な……何するんですか! 放して下さい!」

「まあまあ、悪いようにはしないんだぜ」

 暴れる大妖精を後ろから抱き捕えながら、魔理沙は言った。

「私、お前さんに興味があるんだぜ。ちゃんと物を考えて喋る妖精なんて、そこそこの妖怪なんかよりずっと珍しいんだぜ。色々調べさせてもらうけど心配無用、別に解剖しようってわけじゃあない。ただ何種類かキノコを食べてもらうだけ」

 衝撃が、魔理沙を黙らせた。

 巨大な氷の塊が、隕石のように飛来して魔理沙を直撃し、砕け散った。

 氷の破片を散らせ、大妖精を解放しながら、魔理沙が箒もろとも霧の湖に墜落し、水飛沫を跳ね上げる。

「ふふふ誰かな。大ちゃんをいじめるのは一体、誰かな」

 偉そうに腕組みをしながら、その妖精は、いつの間にかそこにいた。氷の翅を広げ、空中に佇んでいる。大妖精よりは、いくらか小柄だ。

「あんまり妖精をバカにしてると痛い目見るって事、お前ら人間はそろそろ学習しないとダメだぞ」

「……妖精ごときが人間をバカにしてると、痛い目じゃ済まないわよ」

 気が付けば自分も妖精と会話をしている、と霊夢は思った。

「チルノちゃん、駄目!」

 大妖精が叫ぶ。

「弾幕で戦うのって、きっとチルノちゃんが思っているよりずっと痛いのよ!」

「そうかそうか。大ちゃんを痛い目に遭わせたのは、お前だなっ」

 どうやらチルノというらしい氷の妖精が、びしっと霊夢に人差し指を向ける。

「駄目なんだよ大ちゃん、優しいばっかりじゃ。人間も妖怪も痛い目に遭わせないと、あたいら妖精はバカにされる一方なんだ! だから、あたいは戦う。巫女とか魔女とか、力のある人間と戦って、妖精の強さを思い知らせるのだ!」

「なるほど……ね。あの紅魔館とかいう所の連中に、そんなふうにそそのかされたわけ」

 霊夢は言った。

「……別に、いいじゃない。バカにされたって」

「何だとー!」

「妖精が人間に、まあ悪戯して懲らしめられたりバカにされたり。博麗の巫女はね、そんな普段通りの幻想郷を守るために居る……普段通りじゃない幻想郷なんて、私は認めない。外からワケわかんないものが入ってきたり、妖精が変な知恵つけて暴れたり」

 霧の奥に佇む、紅く禍々しい洋館に、霊夢はお祓い棒を向けた。そして叫んだ。

「……幻想郷に、おかしなものを持ち込むのは! この私が許さない!」



 人数も、それに道具も、充分に揃えてきた。

 このままで済ませるわけにはいかない。やられっぱなしでは、これからの商売に差し障りが出る。

 俺たちの仕事は、そういうものなのだ。

「あのメスガキ……俺に下さいよ、矢野さん」

 戸塚が言った。歯が何本か折れているはずだが、その痛手よりも憎悪と獣欲が勝っているようだ。

「クソふざけやがって……女のくせに、子供のクセによお、大人の男をコケにしやがるとどうなるかってのをよォ!」

「殺すのはかわいそうですよ戸塚さん。口もきけねーメス犬に仕立て上げてよお、肉便器として飼ってあげましょーよお」

「たたたまんねーよヒへへへへ、俺あの嬢ちゃんにブチのめされて勃っちまったんだよお。勃っちまったモノぶち込まねえと、どうにもおさまんねえんだよおおお」

 西田も、林も、やる気満々である。

 他にも森川や隅田、久我山、それに今回は高島や本庄といった特に荒事の得意な連中も連れて来ている。

 霊夢と呼ばれていた、あの紅白の少女は、それほどまでに油断のならない相手なのだ。

「冗談キツイっすよ矢野さん。俺らが駆り出されるくれえだから、どんな相手かと思えば」

「何コスプレ巫女? ギャグ? 今日ハロウインでもクリスマスでもねーんだけどォ」

 本庄が、鮮やかにナイフを弄びながら、へらへらと笑う。

「まあ何だってイイけどぉ。可愛い嬢ちゃんズッタズタにアレしたりコレしたり、それで仕事になるんだから言うコトねーよそりゃあ。俺もようやく童貞捨てられっかなー」

「イイ女見つけると、犯る前に切り刻んじまうからなあ本庄は」

 そんな会話をしているうちに、到着した。

 今にも倒壊しそうな、廃屋も同然の神社。博麗神社、というらしいが知った事ではない。

 今から、この神社は地上から消え失せる。あの紅白の巫女もろともだ。

 雑草が伸び放題の境内で、俺たちを待ち構えていたのは、しかしあの小娘ではなかった。

「あら……丁度良い事。遠出をしなくて済みそうね」

 そんな事を、言っている。

 あの紅白の少女よりも、いくらか年上と思われるその娘に、まずは本庄がへらへらと絡んでいった。

「何でぇ、巫女じゃなくてメイドさんかよ。ま、どっちだってイイけどよォー」

 本庄の言う通り、青系統のメイド服が実に良く似合った娘である。メイド服以外は何を着てもまるで似合わないのではないか、と思えるほどに。

 そのメイド服を切り刻みたくて仕方のない本庄が、くるくるとナイフを操りながら舌を出す。

「胸あんまり大っきくねーのが俺好みじゃねえかよゲヘヘヘヘ」

 言葉と共に、ナイフが一閃した。

 本庄の首筋から、血飛沫が噴出した。

 俺は、辛うじて視認した。メイドのたおやかな手が、花でも摘むように本庄の腕を捻じ曲げ、へし折る様を。

 折れた腕が、本庄自身の頸部を、ナイフで切り裂いたのだ。

 境内に鮮血をぶちまけながら、本庄が悲鳴を上げ、のたうち回る。

 確かにさほど大きくはない、程よいサイズに形良く膨らんだ胸。

 そんな胸元から、メイドは懐中時計を取り出した。

 のたうち苦しんでいた本庄の動きが、止まった。首筋からの激しい出血も、止まっていた。

「何だ……」

 林が、呆然と声を漏らす。

「てめ……本庄さんに何、しやがった……」

「この男の、時間を止めただけよ。血抜きの作業に入るまでは生かしておかないと」

 意味不明な事を言いながら、メイドが俺たちを見回し、溜め息をつく。

「不味そうな食材ばかり……」

 その手に、きらりと光るものが現れた。

 本庄が持っていたものよりも幾らか小振りな、ナイフである。

「お嬢様のお口に合うよう、これらを調理するのが、まあ私の腕の見せ所なのだけど」

「美味しそうじゃないかー、みんな。いい感じに腐ってる」

 闇が言葉を発した。俺はまず、そう思った。

 暗黒の塊が生じ、その中から1人の少女が現れたところである。

 白黒を基調とした、ややゴスロリ調の洋服。金髪に赤いリボン。そんな色合いが印象的な、可愛らしい少女だった。少なくとも外見は。

「みんな、取って食べれる人類? いただきまーす」

「待ちなさい、雇われ妖怪」

 言いつつ、メイドは無造作にナイフを投げた。

 それが、雇われ妖怪などと呼ばれた少女の頭にスコッと突き刺さる。

「痛いなー」

「お前の食事のために、わざわざこんな所まで来たわけではないのよ」

 言葉と共に、メイドの綺麗な人差し指が、俺たちの何人かに向けられた。

「それと、それ。そこのそれと、あとは……それと、その後ろ。お前の取り分はそこまで。あとは全て紅魔館のものよ」

 指差されたのは森川、桜田、小笠原、林、それに米崎の計5人である。

 その5名だけではない、このままでは全員が死ぬ。俺は、そう直感していた。

「撃て……」

 俺は拳銃を取り出し、躊躇いなく引き金を引いていた。

「殺せ! 今すぐ殺せ! 2匹ともぶち殺せええええええッ!」

 俺が喚くまでもなく全員、拳銃をぶっ放していた。

 やけくそ気味な銃撃の嵐の中で、青と白のメイド服がひらひらと舞いはためく。

 全て、かわされていた。

「ふふ……お嬢様の、お戯れの弾幕と比べて何ともまあ、優しげで緩やかな事。まるで、そよ風のよう」

 すらりと綺麗な両脚が、微笑みに合わせて軽やかに躍動する。

 スカートが舞い上がり、太股の眩しい白さが俺の目を刺した。

 いや違う。俺の左目に突き刺さったのは、ナイフである。

 形良い太股に巻かれたベルトから、ナイフが引き抜かれ、投擲されたのだ。

 半分になった視界の中で、雇われ妖怪の少女が、全身に銃弾を撃ち込まれていた。

 頭にナイフが刺さったまま、蜂の巣になりながら、しかし少女は笑っていた。

「弾幕戦をやるのかー!」

 そんな楽しげな声を発しつつ、雇われ妖怪が両腕を広げる。まるで十字架のように。

 その十字架から、いくつもの光の球が迸った。

 それらが森川を、桜田を、小笠原と林、米崎を、正確に直撃した。

 5人とも、砕け散っていた。手足が、臓物が、肉のこびりついた骨が、眼球の飛び出した生首が、境内にぶちまけられた。

 とりあえず、死亡したのはその5名だけである。他の連中は、うずくまったり尻餅をついたり倒れたりしている。

 戸塚が、泣き叫びながら小便を漏らしていた。下腹部に、ナイフが突き刺さっている。

 高島は、のけぞったまま痙攣していた。額に、やはりナイフが突き立っている。

 隅田の喉仏も、久我山の鳩尾と小島の顔面も、西田の金的も、疾風のように飛んだ投げナイフに深々と穿たれていた。

 全員、放置しておけば遅くとも数分後には死ぬ。

 ひらひらと軽やかな回避の舞いを披露しながら、このメイドは一体、何本のナイフを投擲したのか。

 雇われ妖怪の少女が、境内にぶちまけられたものを拾い食いしている。可愛らしい唇から、白く鋭い牙と赤い舌を見え隠れさせながら、森川の左足を食いちぎり、桜田の心臓を齧り、小笠原の眼球を舐め転がし、林の小腸をしゃぶって咀嚼し、米崎の脳髄を啜っている。

「おいしい! 不健全で濁ってて腐りかけてて、とっても美味しい最高!」

「……お前の、その好き嫌いの無さ。お嬢様にも見習っていただきたいものねえ」

 呆れたように微笑みながら、メイドが歩み寄って来る。

 俺は、左目だけでなく両手両足にナイフを刺し込まれていた。正確に、筋を断たれている。

 拳銃を構えるどころか立ち上がる事も出来ず、無様に座り込んでいる俺を、メイドが冷ややかに見下ろしている。

 カチューシャと一部三つ編みの似合った、銀色の髪。あの紅白や白黒の小娘と比べて、大人びた美貌。冷たく、鋭利な眼差し。

 いくらかは、俺の好みに近い。

「こちらの世界は……相変わらずね」

 謎めいた事を、そのメイドは言った。

「いくら狩っても、殺しても、心が痛まない。そんな輩が、探すまでもなく至る所で蠢いている……助かるわ、本当に」

「こっちの人間なら、いくら食べてもいいのかー?」

 雇われ妖怪の少女が、林のどの部分かわからぬ骨付き肉をバリバリと齧りながら言う。

 メイドが微笑んだ。

「幻想郷の人間を食い殺すのは、ね……色々と面倒な事になるようだから。だけど紅魔館が幻想郷を支配すれば、そんな制限も無くなるでしょう。お前たち下々の妖怪にとって、決して悪い事にはならない」

 ナイフが突き刺さったままの少女の頭を、メイドは優しく撫でた。

「だから、私たちのお嬢様に忠誠を誓いなさい。お嬢様のために働きなさい。まずは、この者たちを紅魔館へ運びなさい。そのために、お前を雇ったのだから」

「はーい」

 境内が、綺麗になっている。ぶちまけられていた5名が、ほぼ完食されたのだ。

 小さな口で、誰かの骨を咥えしゃぶりながら、雇われ妖怪の少女が闇を発生させた。

 その闇の中に、戸塚が、本庄が、西田や高島その他、死にかけている男たち全員が、ぽいぽいと放り込まれてゆく。

 全員、放っておけば数秒から数分で死ぬ、その状態のまま時が止まっている。

「安心なさい、まだ生かしておいてあげる。鮮度を保っておかないと」

 言いつつメイドが、懐中時計を弄ったようだ。

 俺の時間も、止まっていた。

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