そうだ献血に行こう
江戸川探偵事務所ご一行と、大山刑事は、
JR沢袋駅付近を歩いている。
当然のような顔をして直美が混ざっている。
「ねねね、治さん。献血を募集してるよ」
直美が大山に呼びかける。
「治さんと同じ血液型で80人分が必要だって。私も同じだからあと78人にでき
るよ」
大山の手を取り引っ張る。
「お姉ちゃんも。ほらほら、人助け、人助け」
振り返って絵美にも声をかける。
「私はいいでしょ。私と同じ型は30人分でいいって書いてあるし」
絵美は乗り気でないようだ。
「私と同じ型の人は、別の型の血液でも輸血できるって聞いたことあるし」
絵美に献血する気はないようだ。
「じゃ。ほら、探偵の先生も」
江戸川も乗り気ではないようだ。
「僕と同じ血液型は20人分でいいらしいよ」
直美はそんな江戸川に食って掛かる。
「そんなこと言ってたら、絶対集まらないじゃん」
「いいよ。血液型診断みたいなのでは、散々に言われるから、僕はそもそも血液型の話題がキライなんだよ」
「たしかにあまり評判はよくないかもだけど・・・」
直美は標的を切り替えたようだ。
「えーい!じゃいいわよ。かわりに英吉さん参加ね。あなたと同じ型は65人必要だって」
ある意味ヤブ蛇だが、英吉はこういうとき逆らわない。
「はいはい。わかりましたよ。人助けですよね」
「そうそう。あんな人非人共は、ほぉっておきましょ」
献血参加しない組は、人非人呼ばわりをされても全く気にしていないようだ。
「昔、一度だけ献血してみた後、しばらく立ちくらみに苦しんだことがあるんだ」
「結構、針の跡って目立っちゃうのよ?」
などと、いろいろ、言い訳をして献血をしようとしない。
まぁ、わからなくもないけど。
良い子は、献血しようね。
お兄さんとの約束だ。(誰だお前)
【そうだ献血に行こう】は完全な新作です。
短いですけど10年ぶりに書いた三人称形式です。
最近【自分の説明書】とかいう血液型関係の書籍がはやっているらしいので、
遅ればせながら、血液を話題にしてみました。
血液型って、結構繰り返しブームになってますよね。
ただ、「X型はこういう性格」という書き方をすると、
「俺は違うぞ」って人が出てきてしまうと思うので、
誰が何型とはっきり書くことはしないようにしようと考えました。
はっきり書いてないから、誰が何型かは、ワカンナイでしょ?(笑
【ABO式殺人事件】はこちら。
http://ncode.syosetu.com/n3295e/novel.html
シリーズ【アイス】ものはこちら。
http://ncode.syosetu.com/n7345e/novel.html