表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少年冒険者の生活  作者: ▲■▲
四章:復讐と裏切り
93/379

ルッカリー散る



「んじゃ、風上から仕掛けるか」


「それだと匂いで気づかれるんじゃ?」


 アルコンの集団繁殖地ルッカリー破壊のため、突撃班として出てきたレムスさん、セタンタ君、ガラハッド君は密かに繁殖地の風上へと移動していきました。


 その事に関して「風下の方が奇襲が成功しやすい筈です」とガラハッド君は疑問しましたが、レムスさんとセタンタ君は「風上で良い」と返しました。


「奇襲かけたところで俺達三人だけじゃ直ぐに倒しきれねえからな」


「集団繁殖地は大量にいるからなー。相手が弱いからまだ救いあるけど」


「奇襲の効果薄いから、正々堂々と行こう、と?」


「いやいや。卑怯全開で楽しようや」


 レムスさんはニヤリと悪い顔をしつつ、薬瓶を取り出しました。


 三人は風上でコソコソと準備した後、集団繁殖地に向けて突撃を開始。


 煙を背に突撃を開始しました。


 煙は人為的に起こされたもので、繁殖地全体を包む形で飛んできました――が、包んで間もないところで直ぐに消えていきました。


 消えてしまっては魔物アルコンとの乱戦において煙幕の役にも立たないのですが、撹乱目的ではありません。


 煙が消えた後も魔物達の動きは鈍いものとなりました。


 煙を浴びたものは、どの個体も目をしきりに気にしています。


 目が開けなくなり、飛ぶ事もままならないものすらいましたが――そういった魔物達は直ぐに冒険者達が振るう刃の餌食となっていきました。


 目を潰されているようですね。


 潰したのは先ほどの煙です。


 風上で焚き火を起こし、それにレムスさんが持ってきた薬を投入。すると即席で煙が催涙ガスに似た成分になる、というものを使ったのです。


 効果は目が少しかゆくなる程度。


 水で洗うなり、レムスさん達のように中和する目薬をさしておけば対策は可能ですが、大半の魔物達はそれが出来るほど器用ではありません。


 アルコンは瞬膜も持っているのですが、煙を完全に防ぎきれるようなものではなく、冒険者三人に何とか応戦できている個体も頻繁に目測を誤っています。


 しばし、冒険者による一方的な蹂躙が続きました。


 が、何とか復帰した魔物達が数に任せて反撃を開始していきます!


 弱い魔物とはいえ、数がいる以上は捌くのも一苦労。


 レムスさんは人狼化してゲラゲラ笑いながらやってくる端から迎撃していますが、セタンタ君とガラハッド君はちょっと捌ききれなくなってきているようです。



「ガラハッド悪い、ちょっと任せる」


「ヌワッ!? セタンタ、貴様! 私を盾にしてるな……!」


「擦り付けただけだよー」


 セタンタ君が襲ってきていた魔物達を引き連れ、ガラハッド君の傍を通過。


 それにより魔物が手近な標的に変え、大量のアルコンに襲われる事になったガラハッド君は悲鳴をあげながら全身を鷹達に包まれる結果となりました。


 それほどまでに襲われると、普通なら死も見えてきます。


 が、ガラハッド君は全身を手作り甲冑で覆っているため、魔物達の爪も多くがそれに阻まれています。相性良いですね。隙間からは引っかかれますが、致命傷にはまだまだ程遠いようです。


 魔物側も頑張って応戦しました。


 しかし、さすがに相手が悪かったらしく、百を軽く超える数が集っていたアルコン達は撃滅される結果に終わりました。


「さてと、こっから後片付けだ」


「ホントに、やるんですか?」


「これが冒険者の仕事だからなぁ。人間都合でゴメンなー」


 レムスさんが魔物アルコンの雛や卵を踏み潰し、殺し始めました。


「まだ成体になってないとはいえ、コイツらも魔物だ。神様が人間を襲うよう本能に刷り込んでいる以上、共存は出来ねえよ」


「理屈では、わかるんですけど……」


「まあ、気が引けるわな。こういう経験が少ない駆け出し冒険者なら当たり前の感情だ。いずれやらなきゃならんが、今日は見学だけでもいいぞ?」


「……いえ、やります」


 毒を食らわば皿まで。


 ガラハッド君は先輩冒険者二人に続き、黙々と駆逐していきました。


 途中、遠出していたアルコンが戻ってきて巣の惨状を見て、襲ってくるという事も何度かありましたが無残に撃墜。


 人類の敵とはいえ、こうまで一方的に大量の命が奪われたとなると判官びいきの一つはしたくなる……かもしれません。


 三人も依頼を終えた後、しばし黙祷を捧げました。


「さて……状態が良いのを数羽、縄でくくって持って帰るか」


「了解」


 駆け出し冒険者の二人用のお土産です。




 その作業が済んだ後、パリス少年達が待つ場所に戻る最中、三人は後方で待機しながら索敵をしていたマーリンちゃんが首をひねるところに遭遇しました。


 何かを掴んだようです。


「どうした、マーリン。何かヤバイのでも出たか?」


「うーん……それがさぁ、ちょっと提案があるんだけどさぁ」


「何だ?」


「この後、パリスとエレインさんのとこに戻ったら、パリスが多分『なんか変な音が聞こえる』って言い出すと思うんだよ」


「音?」


「うん。エレインさんにはもう交信魔術で話を通したから、パリスの前では知らないフリをしててくれないかな?」


「そりゃいいけど……何の音が聞こえているんだ?」


「駆け出し冒険者にとって良い教材だよ。先に説明しておくとね――」


 マーリンちゃんはレムスさんとセタンタ君にこっそり説明し始めました。


 ガラハッド君は待ちぼうけで待機と相成りました。


「まあ、話は多少合わせるが……私には詳細を教えてくれないのか?」


「秘密。楽しみにしててねー」


「ふむ……?」


 ガラハッド君は首をひねらずにはいられませんでした。


 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ