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少年冒険者の生活  作者: ▲■▲
二章:足跡の読み取り方と砂塵舞う採掘遠征
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不運な運搬冒険者



 セタンタ君達がそれなりに順調に遠征を進めていた、ある日の事。


 殺伐とした雰囲気が流れている砂上船が砂漠を疾走していました。


 航行中もろくに会話も無く、交わされてもハキハキしたものとは言い難く、一言二言話すだけで一日が終わってしまう人もいるほどでした。


 砂上船といっても、セタンタ君達がいるアンニア号とかイカ号ではありません。


 それとは別の船――セタンタ君達を追跡している船の事です。


「……どうしてこうなった」


 その船を取り仕切る親方さんがウンザリした様子で呟きました。


 その声は船底をヤスリのように削る砂音で掻き消えましたが、仮に誰かに聞こえていたとしても受け答えする人はいなかったであろうほど船の雰囲気は最悪です。


 余談ですが砂上船は航行距離に応じて結構頻繁に船底のコーティングを行わなければいけません。魔術的に保護しているのですが砂原を征く砂上船は常に紙やすりにかけられているような状態なのです。


「早く街に戻りたい……楽になりたい……陸に戻りたい……」


 ここも一応は陸なのですが、親方さんはもう随分参ってしまっているらしく、船の操舵輪におでこをつけてブツブツと呻いています。


「ああ、けど、それでも、カンピドリオの採掘物を掻っ攫えば……」


 参ってしまっているあたり、とても危ない事をもくろんでいるようです。


 かなり精神的な余裕が無くなっていらっしゃる御仁のようですね。


 寝不足気味なのか目元にはクマが浮かんでおり、心なしか頬もこけています。


 その所為か本来は青年と呼ぶに相応しい年頃なのに中年ほどの雰囲気です。


 上からも下からもつつかれて疲労した中間管理職のようです。



 親方さんがこうなってしまったのも、一応は事情があるのです。


 元々、彼は普通のバッカス冒険者でした。


 特別腕が立つわけではなく、それでも「コツコツやってればいいのさ」と心構えをし、危険な橋は出来るだけ渡らず命を優先に頑張ってきた少年冒険者でした。


 いまは青年冒険者です。


 そして、青年になった頃合いから慎重な性分が変化していきました。


 それは友人らの影響でした。


 親方さんの友人達は少し無鉄砲なところがあり、親方さんも少年時代は内心、鼻で笑っていたのですが、青年になっても生き残った友人達の中には一角の冒険者となり、活躍に応じた財産を掴んでいく者達が出てきたのです。


 財産と共に、伴侶を手に入れ成功していく人達が出てきました。


 それでもペース乱されず、親方さんなりに慎重にやっていけば良かったのですが……親方さんは内心馬鹿にしていた友人達の栄達に焦り、友人達に追いつくため、信条であった「コツコツ頑張る」を捨ててしまったのです。


『こう……ドカンと一山、当てたやりたい』


 親方さんは焦るあまり、そんな事を考えてしまいました。


 そして「今までのやり方はダメだ」と自分が主に出入りしていた狩場を捨て、アラク砂漠にやってきました。砂漠採掘の本場でガツンと稼ごうとしたのです。


 友人達に追いつくため、親方さんは雇われ鉱夫ではなく事業主を目指しました。人の下でコツコツとノウハウを積んでいくのをすっ飛ばし、船を買ったのです。


 それも、借金してまで。


「あぁー……! クソクソクソ……! 思い出しただけで腹が立ってくる、くそったれの猫背エルフめ……! アイツぜってー、騙しやがっただろ」


 親方さんが操舵輪にゴツゴツと頭をぶつけ、唸っています。


 実際、親方さんは騙されました。


 騙されて、いまの砂上船を買ってしまったのです。


 親方さんが友人達との差に思い悩み、酒場で飲んでいる時に揉み手してやってきた人に「旦那、いい儲け話があるんですよ」と言われ騙されていったのです。


 最初はうろんげだった親方さんですが、やってきた猫背のエルフさんに「いまは採掘が儲かるんですよぅ」「自分で船主になればガッツリと利益を抱え込む事が出来ます」などと言われ、周りにいた方々にも「ああ、オレも採掘やってるけどガンガン儲かってるぜ」などと言われ、ちょっとその気になってしまったのです。


 そして猫背のエルフさんに「中古ですが良い砂上船を知ってるんですよ~」と言われて一緒に見に行き、殆ど自分の蓄えで買えるそれを見て、自分と同じく購入検討している人が来た事で「取られちゃいけない」と焦り、キッチリと申込みをして買う事にしたのです。


 ちなみに全員ぐるで動いていました。


 親方さんが買った砂上船の価格は実際に安いものでした。


 これで船がちゃんと機能すれば良かったのですが……所有権移った後の三回目の運行でサクッと壊れるようなオンボロ船だったのです!


 親方さんは沈みゆく自分の砂上船を呆然と見送り、泣く泣くサルベージを依頼し、そこで諦めきれず追加で借金までして船を「中古としてはまあまあ」ぐらいの水準までは直しました。


 そこまで持っていくのに使ったお金を鑑みると、最初からもっとマシな中古を買っていた方がマシなレベルだったのですけどね……。


 時すでに遅しでしたが、親方さんは騙されたのです。


 船が沈んだ時点でバッカス政府に「騙された!」と泣きつけば、まだ取り返しがついたかもですが、友人達に「採掘稼業を始めるために船を買ったんだ」と自慢までしていた手前、引くに引けず、親方さんは採掘稼業を本格的に始めました。


 しかし殆ど素人が始めた事で採掘稼業は難航しました。


 砂漠に出てみたものの、ろくに鉱石も見つからず、ただいたずらに砂漠をウロウロするばかり。船の良し悪し以前の問題が横たわっていたのです。


 今は何とか航行のための油代は稼げていますが、他の諸経費や仲間の雇用費を含めると赤字が積み重なっている状態です。借金もまだまだ残っています。


 体面的にも金銭的にも引くに引けず、親方さんはいまも採掘業を続けています。


 行く先に広がる暗い未来から俯き、歯噛みしながら続けていました。



「クソッ……それでも、今回の仕事を成功させりゃあ……!」


 それで大逆転出来ると、親方さんは思い込んでいました。


 思い込まされてしまったのです。


 久しぶりに出会った猫背のエルフさんをとっ捕まえたのが始まりでした。


 文句と共に殴ろうとしたところ、愛想笑いされて止めるよう言われ、「旦那、旦那! お詫びにタダで情報差し上げますよ!」と告げられたのです。


 それがロムルスさん率いる採掘遠征部隊の情報でした。


 それも単なる採掘遠征部隊ではなく、カンピドリオ士族の次期士族長が直々に差配を振るう部隊! 極めて希少な鉱石の鉱脈を見つけたので取りに行く可能性が高いと言っても過言ではない――と猫背のエルフさんに言われたのです。


 前半はともかく後半はデマカセに近いですね。


 しかし、窮している親方さんがすがるには十分な情報だったようです。


「ああ、でもでも……どうやって掻っ攫えばいいんだよ……」


 情報掴んで慌てて物資整え砂漠に出てきたものの、色濃く残る痕跡を追うのが精一杯で、肝心の「鉱石を掻っ攫う手段」を考えついていませんでした。


 下手に顔を見られようものなら奪取が成功してもバッカス王国で暮らせなくなるかもしれませんし、そのうえ生半可な手段では武闘派のカンピドリオ士族を出し抜くのは難しいでしょう。


「……いや、待てよ?」


 親方さんは、ふと閃きました。


 相手の方が数は多いですが、それでも砂上船は二隻。


 小規模の鉱床であっても全ての鉱石を持って帰れるかは怪しい編成です。


「とりあえず追跡する。で、希少鉱石の場所を割り出す……それで、アイツらが帰った後に残りを採掘すればいいだけの話じゃないか……!」


 親方さんの頭の中に、にわかに希望が湧いてきました。


 これなら正面からやり合わなくても良くて、仮にバレても政府が裁くのは厳しいところです。誰かが所有している敷地に忍び込んで採掘するわけでも無いので。


 親方さんは「勝った勝った」と小躍りし、親方さんが何を考えているのか知らない雇われ乗員の皆さんは「ついに頭わいたか」といぶかしげに見ています。


 そもそも親方さんが借金返済に困っているほどなので、乗員の皆さんも大して儲けていません。賃金の滞納こそ親方さんが苦心して起こしていませんが、ボーナスは長らく貰えておらず、待遇に不満を抱いて出ていった乗員もいました。


 いま残っているメンバーは何とかカツカツで砂上船を動かせる程度しか残っておらず、残っている人達も「今回が最後かな」とか考えたりしていました。



「……いっその事、この船を奪うか?」


「こんなオンボロ中古を奪っても……まあ、いくらか金は入るかもだが」


「今回の遠征が成功したら賞与貰えるって話だったけど」


「怪しいもんだべ」


 怪しい会話が交わされています。


 それぐらい、彼らの信頼関係はガッタガタになっていました。


 いまの稼業を続けていれば、遠からず破滅するかもしれません。


 ひょっとすると、それは今日の事になるかもしれません。




 夕刻。親方さんは憔悴した顔ながら、気分だけはハイになりながら舵を取りつつ、ロムルスさん達の船を追っていました。


 親方さんは航路を追っていましたが、やがて追跡抜きで速度を緩めざるを得なくなりました。


「岩礁地帯か」


 渋い顔をしつつ、船速を緩めて舵を取る親方さんの視線の先には砂原に顔を覗かせる岩石の姿がチラホラとありました。砂中を岩石が移動しているアラク砂漠ではよく見られる光景です。


 砂上船を動かしづらいところなので、魔物に襲われると大変ですが、この砂漠ではこういうところに鉱石が見つかる事も多いです。移動する岩石達と共に難破した砂上船や人間の死体が流れている事もあります。


 しかし、親方さんが追跡している船の航路は止まる様子を見せていません。


 岩石の間を縫うように進み続けているようです。


 親方さんは「避けずに進んでるって事は、この奥に希少鉱石があるのか?」と思いつつ、気を引き締めて舵を握り、乗員にも激を飛ばしました。


「もうすぐ目的地……かもしれない! 気を引き締めて警戒してくれ! 岩石でも魔物でもぶつかる事になったら帰る事すら覚束なく――」


 船の進む先の砂中から、何かが現れました!


 ズボズボと砂の中から這い出てきています! 待ち伏せです!


 親方さんは舵を持ったまま身をすくませ、乗員さん達も「魔物だ!」と言いながら悲鳴をあげつつ応戦を開始しました。


 相手は砂上船を目指し走ってきて、乗り込もうとしてきました。


「う、うわあああ!」


「いたいいたい!」


 悲鳴と共に槍を突き出す乗員さんと、それを突き刺された何か達が「痛い痛い」と言葉をもらしています。


 聞こえてきたのが明らかに人間の声だったので、乗員さん達はキョトンとした様子で槍の穂先を見て、自分達が刺しているのが人間だと気づきました。


「おいテメエら! よくも刺してくれたな!?」


「殺す気か! 殺す気だったんだなぁ!!」


 槍が刺さった人間達が激昂し、襲ってきました!


 新手の当たり屋――レムスさん達です!


 なぜか砂中に潜み、親方さん達の接近に合わせて浮かび上がり、呼びかけもせずに近づいてきてわざと槍に刺されたようです。


 レムスさん達は「殺人未遂だ」「捕まえなきゃ」と言いつつ、船に這い上がってきて、親方さん達を襲いはじめたではありませんか!


 親方さん達は弁解と共に武器を放り出し、腕だけで抵抗しようとしていましたが相手は恐ろしい人狼達。刺されたという口実を武器にあっという間にロープでぐるぐる巻きにされてしまいました。



「や、やめてくれー! 事故だ、事故なんだよ!」


「あ、あんたらが紛らしい行動を取るから……!」


「うるせえ。お前ら、初日からずっと俺らの事を追ってきただろうが」


「ロムルス若のとこに連行しなきゃー」


 親方さん達は青ざめました。


 うまくおこぼれに預かるつもりが、もう罪人のような扱いです!


 弁明を続けましたが、レムスさん達は親方さんの船を勝手に操り、どこかに連れて行こうとしています。まったく関係なさそうな話もしていました。


「やった。とりあえず成功したから今日は麦酒飲めるの?」


「私はお酒いらなーい。レムス様ー、ちゅーしてー」


「へへっ、いいぜ~」


 関係ない以前に何か楽しそうです。


 楽しそうですがカンピドリオの人狼の怖さはバッカス人――特に冒険者の間では知れ渡っています。驚異的な戦闘能力と再生能力を持ち、槍で刺された傷なんてとうに治ってケロッとしています。


 治ってるんだから許してくれ、と親方さんは言いましたが無視されました。


「もうダメだぁ……」


 親方さんの頭の中には最悪のシナリオが描かれ始めていました。


 人を襲った罪人として政府に突き出されるかもしれません。


 最悪は、ここでペイッと首をはねられて殺され、砂原に捨てられ人知れず死ぬ事です。親方さんは砂漠を流されていく白骨死体に自分の将来を重ね、涙しました。


 レムスさん達はドンドコ勝手に人の船を進めていきます。


 少し進むと、一隻の砂上船に追いつきました。


 レムスさんが船主のイカ号です。


 アンニア号の姿はありません。


 アンニア号はイカ号に先んじ、採掘場所へと向かったのです。


「俺達も直ぐにアンニア号に追いつくからな」


「お前らはそこでロムルス様に裁かれるのだ」


「若は白狼だけど、お腹の中は黒いよ~」


 親方さんは慈悲を訴え、親方さんが雇った乗組員達は親方さんだけに罪をなすりつけようと餌をねだるツバメのように盛んに喋っています。


 レムスさん達はどちらも無視し、船を進めました。



 やがて、一向は一際大きな岩石が転がる地帯へと辿り着きました。


 その中でも小山ほどのサイズがある岩には先行していたアンニア号が横付けされており、レムスさん達もそこに船を停めて見張りを立てました。


「で、お前らはこっちだ。兄者のとこ行こうぜ」


「ゆ、許してくれ、この紐を解いてくれ……」


「えー。まだ兄者と話してないしなぁ」


 親方さん達が怖がって歩きたがらないので、レムスさんは担いで歩きました。


「おーい、兄者、捕まえてきたぜー」


 レムスさんは兄であるロムルスさんの姿を見つけ、ケラケラ笑いながら親方さん達を頭の上に軽々と掲げました。


 ロムルスさんは岩石の一角を採掘用ゴーレムで掘らせ、出てきた鉱石を検分していたようですがそれを中断し、弟さんのところへ歩み寄りました。


「ゆるしてくれー! ほんの出来心だったんだー!」


「そうかそうか。では商談と行こう」


「ゆるっ……商談?」


「ああ」


 ロムルスさんは親方さん達を縛っていた紐を解かせました。


 親方さんはへたり込んでいましたが、他の乗員の人達は「ワァ」と言って一斉に逃げようとしてサクッとレムスさん達に捕まりました。


 ロムルスさんはその辺は無視しつつ、「貴方が我々を追っていた船の責任者だな?」と問いかけました。


 親方さんは観念して自分がやろうとしていた事を白状しましたが、ロムルスさんは「まあそれはどうでもいい」とサクサクとスルーしました。


「正直、痕跡を消して貴方がたを撒く事も考えたが、鉱床の規模次第でいてもらった方が助かるので放置させてもらった」


「泳がされてたって事か……ちくしょう……」


「そう落ち込まずに。こちらの商談を受けてもらえれば、そちらも損せずに済むどころか、得をする事になるのだから」


「……また、あやしい儲け話か!? そういうのはもう勘弁してくれ!」


 親方さんは怯えました。


「それほど怪しい儲け話ではない。本当に、普通の商談だ」


「……生かして帰してほしければ金払え、とか?」


「そんな物騒な話ではない」


 ロムルスさんは「簡潔に説明しよう」と言い、話を続けました。


「鉱床に眠る鉱石がこちらの船からあふれるほどある。余りをそちらに譲ろう。ついでに都市に戻るまで我々、カンピドリオの人狼で護衛もさせていただこう」


「…………そっ、そんなうまい話、あるわけ」


「もちろんタダではない。売価の一割を譲渡と護衛の代金としていただきたい」


 それが持ちかけたかった商談だ、とロムルスさんは言いました。



 親方さんは混乱しつつ、頭を回転させました。


 売価の一割をピンハネされるのは苦しい、と思いました。


 しかし、そう言って渋った親方さんにロムルスさんが告げてきた採掘が見込まれる希少鉱石を売ればピンハネ込みでも十分利益が出る、とも考えました。


 護衛してもらえるのもおいしいです。


 現状、親方さんの船はカツカツの人員で何とか動かしているので、今回の遠征はかなりリスキーな状態でした。


 目論見通りに鉱石を積んで帰る事が出来ていたとしても、鉱石の重量で船速にも影響が出て、帰路はさらにリスクが高まる可能性も十分ありました。


 ロムルスさん達、カンピドリオ士族の人狼の武勇は恐ろしさと共に知れ渡っており、味方として守ってもらえるなら心強い護衛となるでしょう。


「え、ええっと、仮にアンタ達の申し出を受けない時は、どうなるんだ?」


「残念ながら今回は縁が無かったという事で、お別れだ。ただし残った鉱石をそちらに持っていかれるのは非常に癪なので、そちらに見つからないように捨てる」


「えぇー……! そこは放置してくれよ! アンタらの船に乗り切らないなら、次にまた来た時にはもう砂原の中に沈んでいってるかもだろ!」


「だが、それだと単にそちらが儲けるだけだろう? こちらはそちらを撒く事も出来たんだ。その辺は受け入れてほしい」


「ぐぬ……」


 いまロムルスさん達が掘ろうとしている小規模鉱床も、砂の流れで一時的に出てきているだけのものなので、親方さんの言う通りになる可能性は高いです。


 それはロムルスさんも知っているからこそ、相手方を巻き込む形で独占ではなく譲渡と護衛によって利益を増やそうとしているのです。



「選択肢は希少鉱石の売価を一割のピンハネで我慢するか、空手で帰るかのどちらかだ。そちらにとって悪い話ではないと思うが、どうだろうか」


「…………」


「…………」


「…………けっ」


「…………」


「契約書を、くれ」


「了解した、直ぐに用意させよう。だが、仮に護衛が失敗して鉱石を無くすような事はあっても保証は行わないので、あしからず」


「ああ……だが、アンタ達との契約は、あくまで、売価の一割だろ? 落とした分に関してはどうしようもないから……ちゃんと持って帰って売りさばけるよう、アンタ達も必死に護衛してくれるって事……だよな?」


 ロムルスさんはそれには答えず、しかし微笑みながらへたり込んでいた親方さんに手を差し伸べ、助け起こしました。


 こうして両者の間には血が流れる事もなく、ロムルスさん達側にとっては利潤を増やす結果となりました。


 正確には増やせそうだった、と言うべきでしょうか。


 彼らが行く先にはまだ、波乱が待ち受けていたのです。




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